2010年5 月27日 (木)
血管内皮細胞におけるインスリンシグナル
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2010年5 月26日 (水)
制御性T細胞とPKCシータ
慢性関節リウマチなどの自己免疫疾患に対して制御性T 細胞を増やす、あるいは、活性化することは治療に繋がる方法として注目を集めている。今朝のセミナーは、Science4月号から、ucchi-が、一昨日のサッカー日本代表の日韓戦の誘惑に負けつつも、しっかり(!?)準備をして紹介してくれた。内容は、制御性T 細胞のPKCθを阻害する、あるいは発現を抑制することで,制御性T 細胞が元気になり、自己免疫疾患を治療できるのではという話。また、悪玉であるTNFαは制御性T 細胞を抑制しているが,その下流のメカニズムにPKCθが関与しているという。データもしっかりしており、信頼できる内容。セミナーの質疑でもあったが、慢性関節リウマチに対して有効なTNFαの抗体の作用機序のひとつに、今回のPKCθの活性化抑制による制御性T 細胞の活性化があるのではないかという点は極めて興味ある。色々、調べてみると,PKCθのノックアウトマウスを用いた論文がいくつも報告されており,PKCθがTh1、Th2、NK、mast cellなどの活性化に重要であること,さらに、骨格筋での発現は、インスリン抵抗性に関係し、2型糖尿病の患者でPKCθの発現が高いことなど、新しいタイプのprotein kinaseとして注目を集めてきている。
ところで、昨日、Suwa君が二人で「結婚します」の報告にラボに来ましたよ。雰囲気が大変良いカップルでした。新婦は、透析医療に関わる専門家でして、今の進めているプロジェクトに絡み、縁を感じます。11月に挙式です。皆でお祝いしましょう!
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2010年5 月25日 (火)
Early endosomeからLate endosomeへ
今朝のセミナーは,Cellの4月号からの論文の紹介。Sako君がいつものように落ち着いた分かりやすいプレゼンで説明してくれた。Early endosomeからLate endosomeへのswitchingに関わる分子の同定に関する内容。Early endosomeには、Rab5が多く存在し、late endosomeには、Rab7が多く存在するという。このRab5がRab7に入れ替わるためには、SAND-1/Mon1が一過性に必要であるという。線虫、ほ乳類細胞株、酵母を駆使し,その現象の普遍性を示していた。まだまだ謎は沢山あるため、この分野の研究は、さらに探求されていくのだろう。
話は変わりますが,相田みつをのエッセーより、
「つまずいたりころんだりしたおかげで、すこしずつだが自分のことがわかってきました。あやまちや失敗を、くり返したおかげで、人のことをいう資格のない自分に気が付きました。そして、いざという時の自分の弱さとだらしなさがよくよくわかってきました。だからつまずくのもおかげさま、ころぶのもおかげさまです」
自分一人で生きているのではない。多くの人に生かされているのだという気持ち。「おかげさま」って良い言葉ですね。英語では,「Thanks to you」ですが、「おかげさま」の方が深みを感じます。良いことがあった時に感謝をすると幸せな気分になれ,悪いことがあった時に誰かのせいにすると、余計に腹が立ったり、悔しかったり、悲しかったりしますよね。悪いことがあった時は,将来の自分の成長の糧になるのかな、しようがないかなと考えてみるとだいぶ楽になりますよね。どのような場面でも,常に、どう考えたらpositive thinkingかということを、まずは考える癖をつけることは、精神衛生上、大切かなと思います。
相田みつをさんの本や詩集の購入を是非とも勧めます。
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2010年5 月21日 (金)
TOEICと人工生命
今朝は、TOEICのヒアリング45分を皆でやった。個人的にも自分の曖昧さを知り、良い機会となった.学生達もショックを受け,モチベーションがかなり高まったようだった。今後もずっと続けていきましょう
ところで、今朝の朝日webでも紹介されていたが、サイエンスに「人工生命、完成みえた。ゲノム合成し、自己増殖する人工細菌」というトピックが発表された。確かにサイエンスが掲載するようなネタであり、知的好奇心はくすぐられるが,技術的に可能であっても人工生命まで科学技術を進展させる必要があるのだろうかとも思う。科学技術は何のためにあるのかを個々の研究者が常に意識し、単に、研究者の実績と地位と本能的な欲求を得るための道具になってはならないとも思う。
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2010年5 月20日 (木)
変異型p53とがん転移
今朝のセミナーは、Rui-chan(薬学科4年)がCellからガンの転移に関わる論文をうまく初プレゼンしてくれた。有名なガン抑制分子であるp53は、約50%のガンで変異があり、loss of functionでのガン化との関わりは良く研究されてきた。一方,変異型p53は、gain of functionによりガンの浸潤,転移に関わることも知られていた.今回の論文では,そのgain of functionのメカニズムを解明したという。変異型p53が同じファミリーのp63に直接結合することにより、p63の転写因子としての作用を抑制し,結果的に、浸潤、転移に重要なインテグリン分子のリサイクリングを間接的に亢進させるという。その結果、インテグリンとそれと共存するEGF受容体が膜上に多く発現し、ガン細胞の浸潤転移を引き起こすという。創薬ターゲットは、変異型p53とp63の相互作用阻害か? また、p63で転写活性化される下流分子が何であるかも興味ある話.
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炎症性シグナルとガン増悪
Cellの論文をNukky(薬学科4年)が初ゼミで紹介した.良いプレゼンであった。炎症性シグナルNFkB経路がガンの増悪に関わることは知られていた。本論文では,Let-7というmicroRNAが、NFkBにより転写活性化されたIL-6の発現を抑制していること、また、NFkBにより転写が活性化されるLin28がLet-7を分解すること、IL-6はオートクリンでNFkB経路を活性化することなどを明らかにし、これらのメカニズムにより、NFkBの活性化が、これらのポジティブフィードバックループにより、IL-6の恒常的な発現増加を促し、ガンの増悪化が誘導されるという。この知見は、肝炎ウイルスの感染から肝がんへの移行のメカニズムを示唆しているようでもあり,極めて興味深い。現在,IL-6抗体等を用いたガン治療の臨床試験が実施されていることもあり、結果が楽しみである.
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2010年5 月18日 (火)
肺水腫とCOPD
今朝のセミナーは昨年発刊のEMBO Mol.Med.の1月号からアミロライド感受性上皮型ナトリウムチャネル(ENaC)の活性化に関わるプロスタシンの肺胞上皮特異的なノックアウトマウスに関する論文。本研究室で展開中のテーマに有用な情報提供であり、jyurianがうまくプレゼンしてくれた.気道内に大量の生理食塩液を入れることで、肺水腫モデルとなるが、プロスタシンKOマウスでは過剰な水分を気道腔から排除できないという.すなわち、ENaCの活性化は肺水腫治療に繋がるということを意味する.一方では、ENaCの過剰活性化は、気道クリアランスを低下させ、COPDの増悪と繋がることが示唆されている。面白いことに、気管支拡張薬として用いられるβ2アゴニストはENaCの発現を上げることが知られている.臨床用量で本当にENaCの発現上昇をもたらすか検証が必要である.いずれにせよ、気道において、ENaCを適度にコントロールすることが重要である.
ソフトボール大会のBチームの試合後の集合写真(私はダブルヘッダーで、かつ外野を走り回って疲労困ぱいで笑顔も作れませんでした)。今年のT-shirtはかなりおしゃれでした.
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2010年5 月17日 (月)
小胞体ストレスと糖尿病
5月13日のセミナーの内容紹介が今日になってしまった.理由は、14日締切りの書類作成に追われていたことと、14日のソフトボール大会、打ち上げが重なり、ついつい先送りになっていた。言わずもがな、ソフトボールはAもBも善戦したも負けました.個人的にはAの試合でノーヒットが悔しくて、夕方のBにも参加した。打ち上げはいつもの「テニスクラブ」で飲み放題。土曜日曜は、何となく筋肉に異常緊張があるような無いような状態でした.
ということで、5月13日の朝セミナーの紹介ですが、Sho-chanが大変面白い論文をうまく紹介してくれた.小胞体ストレスは病態の発症に関わることで知られているが、今回は、生体防御としても重要という話。小胞体ストレスと糖尿病の関連性を示す研究としては、膵臓のβ細胞において小胞体ストレス誘導のアポトーシスが糖尿病発症に関わるという報告が有名.今回のNature Med 4月号の論文では、小胞体ストレスにより誘導されるXBP-1sというタンパク質とインシュリン受容体の下流シグナル分子であるp85 (PI3K regulatory subunit)が相互作用し、XBP-1sの核内移行を促進すること、インシュリン抵抗性を示すob/obマウスではp85が単量体かしていないため、これらの相互作用が認められないこと、p85をob/obマウスの肝臓で高発現するとXBP-1sの核移行が改善する(unfolded protein responseが改善)と共に耐糖能も改善するということが示された.これらの知見はXBP-1sの活性制御機構を明らかにしただけでなく、2型糖尿病の治療ターゲット分子としてp85に注目しても面白いということを示している。
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2010年5 月12日 (水)
トランスファーRNAの新たな機能!?
今朝のセミナーでは、Oka-chanがMol. Cellの3月号から、もし本当であれば,教科書に追加しないといけないレベルの話題を紹介してくれた。トランスファーRNA(tRNA)がcytochrome cに結合し、Caspaseの活性化を阻害することでアポトーシスを抑制するというもの。最後のFigureの前まではアーチファクトではないかと怪しまれても仕方が無いデータだなと思っていたが、最後のFigureのonconase (tRNA特異的分解酵素、rapirnase)と抗ガン薬ドキソルビシンの併用により、ガン細胞のアポトーシスがほぼ100%起こるようになるという相乗的な効果は極めて重要な知見だと思う(正常細胞では?)。この併用の臨床試験はすでに米国でPhase IIIであり、悪性の中皮腫患者を対象にしている(臨床試験情報)。この臨床試験は1999年に開始と書いてあり,今回の論文の最後のFigureの新規性はどこにあるのかということを考えてみても面白い。また、tRNAが本当にアポトーシス抑制に関わっていることをより明確に証明するにはどのような方法を使えば良いのかを考えるのも研究の良いトレーニングになる。
中皮腫は、胸腔の壁と肺、心臓との境界である縦隔を覆っている胸膜の中皮細胞に由来する悪性腫瘍であり、80%以上がアスベストが原因ということでも有名(疾患情報1、2)。臨床試験の結果が楽しみである。
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2010年5 月11日 (火)
不規則な生活と食塩感受性高血圧
ソフトボールの試合は、雨のため金曜日の朝7時半からとなった。夕方もBチームの試合があり,早速、金曜日の夜の打ち上げ会場を予約したーーー。
投稿情報: 16:24 | 個別ページ