2011年のCell Metabolism 7月号に、掲載された内容は、チアゾリジン系抗糖尿病薬が、皮下脂肪に作用して、adiponectinの産生を増加させ、増えたadiponectinが血管内皮細胞に作用し、NO産生増加やROS産生抑制を介して,血管病変を抑制するというもの。学部3年のChosanのプレゼン.
この効果には、内臓脂肪ではなく、皮下脂肪が重要であることがポイント。論文のデータの信憑性に関する議論はあるにせよ、やせたタイプの糖尿病患者には、インスリン抵抗性の改善作用は期待できても、血管病変抑制作用を期待できないといえる。臨床成績との関連性について知りたい。
ところで「Obesity paradox in patients with hypertension and coronary artery disease.
Am J Med 2007 120:863-70. Uretsky S, Messerli FH, Bangalore S et al.」
の論文発表をきっかけに、「Obesity Paradox」という現象が注目されている。BMIが増えると合併症・死亡率が減るという報告であり、その後、COPDでも同様な臨床データが得られているという。小太りの方が長生きであり、皮下脂肪も無く、スタイルが良い美女は短命かも(美人薄命)と考えると興味深い。皮下脂肪から産生されるadiponectinがさまざまな血管性合併症予防に関わっていると考えると納得がいく。私の健康診断で異常マークが付くのはいつもBMI。でも、他のパラメーターは正常だし、やせていた若い頃より、風邪を引いたり、熱を出したりしなくなっている。バイオメトロノームの基礎、臨床試験のデータで体重には全く影響を与えず、内臓脂肪を減らし、炎症性パラメーターは抑制しているという知見(血液中のadiponectinは増加しつつ)は大変リーズナブルではないだろうか。逆に、筋肉を収縮させるだけの健康機器を用いて(効果の信憑性は別にして)、皮下脂肪が無くなりスタイルが良くなるという話は寿命的には?ではないだろうか。ということで、「小太り健康法」というのを推奨したらどうだろうか。そう思ってGoogleで「小太り健康」でサーチしたら、いろいろとヒットしてきた。今日の話題は、最近、食欲が旺盛で、少し体重が増えてきた自分を慰める話。私はまだまだ小太りに達していないからうまいものを食べても良いとーーー。