先週のNature(4/16)のNews&Viewsに「Be cool, lose weight」というタイトルのレビューがありました。ヒトの幼児や小さいほ乳類動物には、脂肪酸を分解し、発熱することができる褐色脂肪組織がある。この熱発生の過程は、寒さにさらされても、体を温めるために震えたり、自らを暖かく保つための他の方法をとる事ができない新生児において重要であるという。もし、大人にも褐色脂肪組織があれば、そしてそれを刺激することができれば、効果的な減量療法になると考えられていた.最近の研究により,大人にも胸部に褐色脂肪組織が存在し(男性より女性の方が多い),これらの組織を刺激する方法が低温刺激だということが報告された.N.Eng.J.Med. 360号,2009年に異なるグループから三報連続で発表された臨床研究データに基づいているから信頼性大.少ない褐色脂肪組織を増やす分子としてBMP7が2008年Natureに報告されているが、この分子と同様な作用を持つ薬物は抗肥満薬になりうるかもしれないという。バイオメトロノームは腹部にマイルド温熱と特定の微弱電流を負荷し、白色内臓脂肪を減らそうというものである。温熱刺激だから矛盾しそうだが,我々のマウスを用いた検討では,褐色脂肪組織におけるUCP1のmRNA量が有意に増加していた.特定の微弱電流に謎があるのかも---.
2009年4 月21日 (火)
2009年4 月16日 (木)
特別講演
昨日は、大阪大のtokunaga先生に特別講演をお願いした.今年の2月のNature Cell Biol.に掲載された「直鎖状ユビキチンによるNFkB経路の制御機構の発見」を紹介して頂いた.話は大変緻密で面白く,今までの教科書を書き換えるような内容だっただけに学生たちも大変満喫したようだ。また、学生が個々に、実験手法の相談にも乗って頂いたようで大変有意義であった.先生とスタッフで薬学部のそばの「うしお」にて歓迎会をした。この店は、店長の両親がその日の朝に取った魚を料理に使うということで有名であり,不漁だとメニューが少なくなるらしいが、いつも予約をしないと入れないぐらい盛況である.
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2009年4 月14日 (火)
敗血症治療の新たなアプローチ
今日の730セミナーはM2のT君でした。本年1月Nature Med.に掲載された骨髄ストローマ細胞が敗血症に有効であり,そのメカニズムまで明らかにしたという内容。一般に,骨髄ストローマ細胞を用いた治療法の大きな利点は、他のヒト由来の細胞でも拒絶反応がない点であるという。静脈内に投与された骨髄ストローマ細胞はマクロファージと相互作用し,免疫過剰による炎症反応を多面的に抑制するという。投与に関して効果の持続性など気になるところはあるが、骨髄ストローマ細胞を用いた方法は、再生医療という観点から,様々な疾患に対する治療法として大変期待しても良いと思う。特定の分子に特異的に作用する薬剤より、このように多面的に抑える作用を有するところが臨床でも有効である可能性を感じる。T君のプレゼンは以前より余裕を感じるが、もう少し深みあるdiscussionを期待したい.
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2009年4 月10日 (金)
国際シンポ in 熊本
昨日、今日と「The Kumamoto University Global COE International Joint Symposium on Cell Fate Regulation Research: Molecular Basis and Therapeutic Potentials」が開催されました.台湾のAcademia Sinica(アメリカのNIHに相当)の研究者との密な交流が大変有意義でした.学生たちもほぼ全員参加し、国際的な環境が身近に感じられたのは良い経験だったようです.Academia Sinicaからの参加者は、大変フランクで、しかも研究レベルが高い、素晴らしい研究者ばかりでした.今度は、我々が台湾に行きましょうということになりました。今から楽しみです.高いレベルのアジアンネットワークが構築されそうです.
東京大学から講演者として参加して頂いたKuranagaさんの映像を交えた発表内容にも大変感銘を受けました.御礼に例の琥珀色のコーヒーの店にご案内しました.「たかがコーヒー、されどコーヒー」。一杯のコーヒーに何十年という人生をかけ、オリジナルにこだわり、かつ本物を追求するマスター。毎回,本当のプロフェッショナルとは何かを実感させてくれる。研究だけでなく、社会における活動にも相通ずるものがありますね。
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2009年4 月 8日 (水)
熊本大学大学院博士後期課程授業料半額
今年3月に勇退された前学長の置き土産として,熊本大学の全大学院の博士後期課程の今年の入学生の授業料が実質半額になるという体制がスタートした。私の知る限り、日本の総合大学で、このような支援を全学的に実施するのは初めてだろう。経済的に困っているけど研究意欲はあるという学生が沢山集まることを期待したい.本来は、海外並みに、授業料全学免除で、かつ、ティーチングアシスタント代等の支援で生活を全面的に支えたいのだが、全学的な予算の限界もあり、現時点では仕方がない.
昨日、一昨日と京都での国際シンポに参加してきた。学会にまじめに参加するのはもったいないほど,外は快晴で、清水寺等のサクラが満開で、さぞ美しかっただろ.せめて、少しは京都のサクラを鑑賞したく、一昨日の夜に、最近、小野薬品に就職した教え子達と一緒に四条界隈の夜桜と酒を楽しんだ.その時の写真がコレ.皆、ほろ酔い状態。
投稿情報: 16:53 | 個別ページ