恒例になった就職活動がもうすぐ始まる。昔と違い、今の就職活動は異常な状態である。世の中が不安をかき立て、就職等、何とかなるさという考えは今の若い人達には極めて少ない。親も不安だから資格をとらせようという意識も強い(資格だけでは飯が食えなく時代は色々な分野で既に始まっているにも関わらず)。来年の3月の企業の決算は最悪になるのではという。求人も間違いなく少なくなるだろう。過去に、ある企業は、形式的に求人して、最終面接までしながら、結局、1名も取らないということもあったが、今年は似たような企業が増えるかもしれない。。学生が学業と交通費を犠牲にして活動しても、結局、企業側が1名も取らないとなると本当にどうしようもない話である。企業の採用担当者の業務を維持するためだけの求人だったと解釈されても仕方が無い。
以前の大学と企業の取り決めで、本来は4月から就職活動が始まるという話だったが、そのルールは、大企業の一部だけが守り、他の多くの企業は、正月早々から、説明会と題したリクルート活動を、入社を希望する学生に反強制している。説明会は、地方の大学生にとっては、時間も経費もよりかかり大きな負担である。また、ネットでのエントリーのしやすさが異常な就職活動を助長している。このエントリーシステムは採用側は効率的かもしれないが、実験科学を重視した理系学部の学生にとっては問題である。その結果、4ヶ月、あるいは、半年も就職活動ばかりで継続的な研究ができない学生がかなり出て来ている。
一方で、そこまで犠牲にして入社しても3年以内で辞める人も多いという。あの就職活動の時間は何だったのだろう。また、中途入社(経験者)を積極的に採用している企業が増えている。今,就職活動を迎えた学生達が何を大切に考えないといけないのか。それは、若くて、様々なことにチャレンジができる時は、人生の中で今しかないということ。8月に記載したブログの内容を今一度、記した。
「私達は、日々、日本で生きているのではなく、地球に生きていることを常に意識し、行動を起こすことが、生命力が強い、スケールの大きな人間に成長する術だと思います。卒業後、目の前のたいしたことない高収入や比較的楽な職場を求めるのではなく、40〜50歳代にどういう生き方をしていたいかを考えて、進路を選択すべきでしょう。未知である、将来の心配をして、ネガティブに物事を考えて日々送るのではなく、一生懸命、頑張っていたら必ず良いことがあると信じて、大学院生あるいはポスドクの時は、少なくとも実験量では誰にも負けない、そして、それに伴う実験技術でも誰にも負けないという気持ちでポジティブに邁進するということが何よりも忘れてはならないことです。企業での面接試験においても、面接官は学生がどのくらい頑張って来たのかはすぐにわかります。それが採否を決めるものです。ひたすらがむしゃらに頑張る、こういう時期も人生には必要です。」730ブログ
一生懸命頑張って来た学生に将来の道筋を示してあげるのは教授の責任である。その学生の適性を考え、能力の可能性を考えつつである。朝7時半からのセミナーを大切にしてきた卒業生は伸びているし、自分が望むような人生を送れていると思う。辛くても頑張って、自分を前向きにコントロールできる社会人になってほしい。逆境にこそチャンスがある。