2010年5 月20日 (木)
炎症性シグナルとガン増悪炎症性シグナルとガン増悪
Cellの論文をNukky(薬学科4年)が初ゼミで紹介した.良いプレゼンであった。炎症性シグナルNFkB経路がガンの増悪に関わることは知られていた。本論文では,Let-7というmicroRNAが、NFkBにより転写活性化されたIL-6の発現を抑制していること、また、NFkBにより転写が活性化されるLin28がLet-7を分解すること、IL-6はオートクリンでNFkB経路を活性化することなどを明らかにし、これらのメカニズムにより、NFkBの活性化が、これらのポジティブフィードバックループにより、IL-6の恒常的な発現増加を促し、ガンの増悪化が誘導されるという。この知見は、肝炎ウイルスの感染から肝がんへの移行のメカニズムを示唆しているようでもあり,極めて興味深い。現在,IL-6抗体等を用いたガン治療の臨床試験が実施されていることもあり、結果が楽しみである.