Nature Med. 9月号から。B5のマリアムによる英語プレゼン。小胞体膜に存在するNogo-Bという分子が血管の内皮細胞におけるスフィンゴ脂質の恒常性維持に関わっており、血管の機能や血圧制御に関与していることを明らかにした論文。Nogo-BはSPT(serine palmitoyltransferase)を抑制し,S1P産生を抑制するという。S1Pは内皮細胞上のS1P1(受容体)を介してeNOSを活性化し、NO産生を促し血管平滑筋弛緩による血圧を低く抑えることに関わっているという。ただ、この知見は再現できないともこの間の熊本国際シンポでも聴いた。どこの血管かによってメカニズムが違うのもかも。
2015年10 月28日 (水)
2015年10 月19日 (月)
2015年10 月15日 (木)
2015年10 月 9日 (金)
Sirt1安定化薬!?
Nature Med. 8月号。Nicotinamide N-methyltransferaseがSirt1タンパク質の安定化作用を介して肝臓における脂質代謝を制御していることが明らかにされた。このメチル化酵素の代謝産物であるメチル化されたニコチンアミドの経口投与(えさと共に)により、Sirt1のユビキチン化を抑制し、タンパク質の分解を防ぎ、Sirt1を安定化し、肥満病態における脂質代謝、糖代謝を改善できるという。ヒトの肝臓において、Nicotinamide N-methyltransferaseの発現量とSirt1タンパク質の発現量がきれいな相関関係を示すという。肥満マウスに対するカロリー制限において、このNicotinamide N-methyltransferaseの発現量が増えてくることなどから、もしかしたらNMNによるSirt1を介した種々の治療、予防的効果は、Nicotinamide N-methyltransferaseによって産生される代謝産物による効果が主であるということであれば大変面白い。NASHの治療薬となれば面白い。
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2015年10 月 8日 (木)
制御性T細胞の新たな機能ー組織修復
Cellの8月号から。Tureのプレゼン。制御性T細胞は種々の免疫抑制に関わることは知られている。今回の論文は、インフルエンザA感染の初期にAmphiregulinというEGFRのリガンド(損傷治癒や組織修復に重要)の発現をTregにおいて増大させ、炎症病態を抑制するという。TregにおけるAmphiregulin産生はIL-18、IL-33刺激により誘導され、TCR経路には非依存的であるという。肺や筋肉などに常在するTregは炎症時にAmphiregulin発現が亢進しているという報告もある。Amphiregulin欠損Tregを有するマウスに、ウイルス感染させると肺病態がより悪化するというデータもあり、Tregが直接的、間接的に組織ダメージを抑制していることがわかる。
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2015年10 月 7日 (水)
1型糖尿病に対する新しい治療法に!?
Nature Med. 7月号から。ネパールからの留学生ニラジさんの初ゼミ。高血糖の時に、膵臓のβ細胞からインスリンと共に、Urocortin3が分泌され、このUrocortin3がδ細胞上の受容体Crhr2に作用し、Somatostatinを分泌させるという。このSomatostatinはβ細胞からのInsulin分泌を抑制する(Negative feedback)と共に、α細胞からのグルカゴン(血糖を上げる)分泌も抑制する。ゆえに、2型糖尿病の時には、Urocortin3は恒常性維持に関わるということであるが、1型糖尿病の時には、β細胞が無くなるため、この時にCrhr2に対するアゴニストを投与すると、グルカゴンの分泌を抑制し、高血糖をコントロールできるのではないかという考えも成り立つという。ただ、消化性ホルモン産生腫瘍に用いられるSomatostatin製剤は、インスリン製剤との併用は、高血糖が起こるときも低血糖が起こることもあり、もし、Crhr2に対するアゴニストを用いても一緒で、薬は無理では。とにかく、血糖コントロールを行なうUrocortin3という新たなホルモンが存在することを明らかにした点で有用である。2型糖尿病患者のβ細胞において、Ucn3の量が少ないという。ネガティブフィードバックが機能していないという。
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2015年10 月 2日 (金)
ERKダイマー化阻害による抗がん薬
Cancer Cell8月号から。Takagi君のラスト?プレゼン。ガンの悪性化に関わるERKはダイマー化することで、活性が増強されており、このダイマー化阻害は抗がん薬として期待できるという。この論文では、ダイマー化を阻害する化合物をスクリーニングにより見いだし、その結合部も同定している。in vivoでの効果も明確であり、従来のリン酸化阻害より、副作用が少ない抗がん薬として期待できるのではないかという。安全性に関するエビデンスが少ないように思う。
投稿情報: 09:04 | 個別ページ