Nature Med. 2017 11月号から。Sakiちゃんのプレゼン。グリオブラストーマは悪性度が高く、治療抵抗性を克服し、患者の予後を改善する治療法が求められている。グリオーマ幹細胞を標的とした治療法は重要であり、これまで、網羅的な転写プロファイルとDNAメチル化の解析により、血管領域にあるがん幹細胞と低酸素領域にあるがん幹細胞があることがわかり、がん幹細胞の不均一性が治療困難性の一因ともなっている。血管領域にあるがん幹細胞では、H3K27me3修飾因子であるEZH2の発現増加、低酸素領域にあるがん幹細胞では、H2AK119Ub修飾因子であるBMI1の発現増加が見られており、EZH2阻害薬とBMI1阻害薬のそれぞれの併用経口投与により、脳内担がんマウスの生存率を有意に上昇させることを明らかにしている。ここで使われたそれぞれの阻害薬は現在、他のがんに対する臨床試験が行われているものでもあり、特に、脳内のがん幹細胞をターゲットできている薬という観点から、今後の臨床試験に期待したい。