この1年、黄帝内経に触れてきた。その内容に感動した。大学の教養教育において全学部対象に理解させても良い哲学書でもある。本ブログでも時折、触れていくつもりです。
cystic fibrosis、amyloidosisとタンパク質のミスフォールディングによる遺伝性疾患に関する研究や分子シャペロンを誘導する薬や医療機器、ガンの温熱療法に併用する分子シャペロン抑制薬の研究という河の流れが行き着いたところが、アルポート症候群という主に慢性的な腎病態を示す遺伝性のタンパク質ミスフォールディング病(原因タンパク質は4型コラーゲン)であった。それまで、糖尿病を対象にしたMET(Mild Electrical and Thermo-stimulation)と呼んでいたPhysical Medicineプロジェクト(後述)における臨床試験で、メタボ対象者の腎機能が少し良くなっているような所見から、METの腎保護作用を動物実験で検証できないかと、当時の大学院生の古賀君と話をしていた。しかしながら、慢性腎臓病として有名なのが糖尿病から進展する糖尿病腎症であるが、顕著なタンパク尿などの病態を示すモデル動物は様々な観点から探索したが適切なモデルはなかった。そのような状況の中、アルポート症候群のファミリーが身近な仲間にいたことを偶然知った。アルポート症候群患者の置かれている深刻な状況を知ると共に、創薬研究のために明確な腎病態を示す有用なマウスモデルが存在することを知った。そこで、至急、海外のマウスバンクからモデルマウスを入手し、研究がスタートすることにした。最初の頃は、地道にマウスを交配し、数を確保しつつ、METが慢性腎臓病に有効であるかどうかを検証するプロジェクトを実施した。その結果、METがアルポート腎病態にある程度有効であることを証明することができ、2012年、PLoS Oneに論文を掲載した。Class2認定のMET機器もアルポート患者に使用できないか、何とか助けることができないか、考え始めていた頃である。
2024年は辰年である。辰のように天に向かう年。
昨年の8月22日に我が家の住所で登記した創薬ベンチャー、GALTS Pharma(ガルツ ファルマ)は、Good for Alport Syndrome(アルポート患者に幸あれ)という意味と、Good for All Three Sides (三方良し)という意味を持つ。これまで、十数年の慢性腎臓病のプロジェクトから見出されてきた腎臓病治療薬の有力な候補化合物の、臨床における有効性までを確認するためのスタートアップ企業である。CEO、CSO、CLO、CFOや顧問弁理士などが、最短期間で患者に手元に薬を届けるというビジョンのもとに集まった。GLPプレクリニカルやPhase I, IIなどを実施していくための資金調達のための箱としてのベンチャーである。本年はいよいよ、慢性腎臓病の病態を忠実に反映するアルポート症候群のモデルマウスにおける基礎研究成果を公開する。また、同じビジョン「最短期間で患者に手元に薬を届ける」を有する仲間の支援を集める年にもなる。リスクが無い挑戦は無い。アカデミアにて創薬研究に関わってきた研究者として使命と覚悟で挑戦していく。
GALTS Pharma, a drug discovery venture registered on last August 22, means Good for Alport Syndrome and Good for All Three Sides. The CEO (Hirofumi Kai), CSO, CLO, CFO and patent attorneys have come together with the vision of getting the candidate drug into the hands of patients in the shortest possible time. The venture is a fundraising box for the implementation of GLP pre-clinical, Phase I, II. This year, we will finally publish the pharmacological results of our basic research in a mouse model of Alport syndrome, which faithfully reflects the pathophysiology of chronic kidney disease. It will also be the year to gather support from our colleagues who have the same vision: to bring medicines to patients in the shortest possible time. There is no challenge without risk. As a researcher who has been involved in drug discovery research in academia, I will take on this challenge with mission and determination.
朝ゼミ再開。4月以降、テクニカルセミナーが行われていた。今朝の朝ゼミは、Cell Metabolism 2023 1月号から。Choyo君のプレゼン。腸内細菌は、肥満・糖尿病といった代謝疾患に深く関与していることが知られていたが、どの腸内細菌が、どのように肥満・糖尿病を悪化させるか、そのメカニズムは明らかになっていなかったという。Fusimonas intestiniという細菌が肥満・糖尿病の患者から多く検出されること、高脂肪食負荷マウスにFusimonas intestiniを投与すると肥満が悪化すること、そして、Fusimonas intestiniは、トランス脂肪酸であるエライジン酸や飽和脂肪酸であるパルミチン酸などの、肥満・高血糖を悪化させる代謝物を多く産生し、腸管バリア機能に影響することを明らかにした論文。Fusimonas intestini由来の脂肪酸合成のマスターレギュレーターfadRが重要な悪玉という。
バランス良い食事が重要であることを改めて認識させる研究成果。理化学研究所と味の素との共同研究。新たな商品開発を期待したい。
研究室OBの素晴らしい活動です。やくそう会主催の第2回「みんなの薬草観察会」を日向市東郷町 牧水公園にて開催されました。次回は、参加したいです。学部長時代に宮崎県日向市と薬草の里作りで包括連携を締結し、その後、日向市等の薬剤師会がこのような形で活動を継続しています。薬草に絡んだ商品開発で地方創生にも貢献しています。