Cellの9月号から。Namiちゃんのプレゼン。グリオーマの放射線治療において重要な情報。グリオーマにおいて、IDH1/2(イソクエン酸デヒドロゲナーゼ)遺伝子の点突然変異が高頻度に認められることは知られていた。IDH1/2は生体内でイソクエン酸を2-オキソグルタル酸(2-OG)に酸化する。しかし、グリオーマで見られるmutant IDH1/2は2-OGから2-ヒドロキシグルタミン酸((R)-2-HG)まで代謝し、その(R)-2-HGがBCAAトランスアミナーゼ(BCAT1,2)を直接阻害することにより、BCAA(分岐鎖ケト酸)由来のグルタミン酸合成を阻害しているという。グルタミン酸合成経路にはGLS(グルタミナーゼ)経路もあり、mutant IDH1/2のグリオーマにあってもグルタミン酸の合成は代償的に増強され、グルタチオンを介した酸化ストレスの抑制によりグリオーマ細胞死が抑制されているという。そこで、IDH1変異細胞におけるGLS阻害薬を投与すると、細胞死が誘導されることから、実際に、マウスレベルで、IDH1変異細胞ガンに放射線照射する前に、GLS阻害薬を投与しておくと、劇的にガンが死滅するということを明らかにしている。ヒトにおける効果やGLS阻害薬がBBBを通過できるかなど、今後の研究に期待したい。