Cellの3月号から。B4 Ryokoちゃんのプレゼン。多発性硬化症(MS)は中枢神経系の脱髄性自己免疫疾患であり、免疫細胞が中枢神経において炎症を起こし、運動麻痺や感覚障害などの神経症状の悪化を繰り返す。本論文の著者らは、過去にMSの遺伝的要因の一つにIL7Rが関与していることを明らかにしている。IL7シグナルはT細胞においてT細胞の生存、増殖、恒常性の維持に関与している。著者らはMS患者のMSリスクが高いIL7RのSNPsを同定し、その変異はスプライシング時にエクソン6をスキップし、分泌型IL7Rを産生し、メカニズムは不明であるが、IL7シグナルが逆に増強され、T細胞が自己細胞を攻撃することによりMS病態が悪化していることも明らかにしていた。このCellの論文では、そのIL7Rの選択的スプライシングがどのように制御されているかを検討している。その結果、DDX398というトランスエレメントがIL7Rの選択的スプライシングを制御していること、MS患者にDDX39B の多型があることを同定し、IL7Rのエクソン6の変異と協同して、分泌型IL7Rを増加させていることを明らかにしている。二つの遺伝子の多型の相互連関での疾患リスクの上昇を明らかにした例となろう。
2017年5 月29日 (月)
2017年5 月28日 (日)
2017年5 月27日 (土)
2017年5 月26日 (金)
2017年5 月24日 (水)
人生とは。働くとは。生きるとは。
様々な生き方があります。定番が普通ではないことを改めて考えさせられる。仕事への取り組み方、割り切り方、就職への考え方も参考になるのでは。以下のサイトは面白い。偶然、ヤナギマンのFBから行き着きました。
投稿情報: 08:16 | 個別ページ
2017年5 月23日 (火)
ソフトボール
本日、決勝戦でした。薬剤Aに負けました。3連覇はなりませんでしたが、悔しいというより、なぜか清々しさを感じました。怪我なく無事に終わり、研究室の絆が深まったように思いました。夜の打ち上げは、生協の食堂で。イエール大学の岩切先生の中国土産の火鍋の素を使って、鍋も作りました。ほどよく辛くて、美味しい料理となっていました。岩切先生、ありがとう。本年の私個人の成績は、ホームラン6本(内2本、柵越え)でしたが、なぜか後半の3試合はパワーがありませんでした。準々決勝まではピッチャーをし、なんとなく左腕と背筋の筋疲労が原因のようにも思いました。Agingと共に、パワーアップしているように思います。21歳の時から薬学部長杯ソフトボール大会に出て、ほぼ毎年、ホームランを打ってきたことを考えると通算50本は越えているかもしれません(笑)。来年はどうなるか楽しみです。研究室で、定期的にソフトボールのレクレーションも良いかも。
投稿情報: 20:17 | 個別ページ
2017年5 月22日 (月)
RIPK3が中枢神経におけるウイルス感染病態を抑制
Cell 3月号から。Junのプレゼン。西ナイルウイルスは蚊を媒介してヒトや鳥などに感染し、リンパ系組織で増殖後、中枢神経系へと移行する。中枢への感染は死をもたらし、生存者においては認知機能低下を起こすという。今回の論文は、RIPK3シグナルと西ナイルウイルスとの関係に注目した。RIPK3シグナルは様々なウイルス感染を細胞死依存的に抑制することが知られていた。本論文では、西ナイルウイルス感染により、RIPK3の活性化が起こり、ケモカイン発現が上昇することにより、白血球が大量に浸潤し、細胞死非依存的炎症を誘導を介して感染病態悪化が抑制されることが明らかになった。RIPK3はネクロプトーシス(プログラム型ネクローシス)を制御するタンパク質であり、ネクローシスを起こした細胞が細胞外にサイトカインを産生して炎症反応を誘導すると考えられたりしていた分子である。以前、潰瘍性大腸炎モデルにおいて、RIPK3がネクロプトーシスに非依存的に樹状細胞におけるサイトカインを産生を促進し、傷害を受けた組織の修復を促進することが明らかにされていた。ということは、本論文は中枢神経におけるウイルス感染病態というところがポイントかもしれない。特に西ナイルウイルスは米国でも話題になったこともあり、トピック性があったのかも。
投稿情報: 07:59 | 個別ページ
2017年5 月20日 (土)
2017年5 月18日 (木)
Thymosin α1がCF治療に
Nature Med. 5月号から。マリアムのプレゼン。28個のアミノ酸からなるthymosin α1というペプチド(商品名 ZADAXIN)がCF治療に有用であるという論文。thymosin α1は、胸腺細胞から単離され、免疫系に影響し(T細胞分化因子)、様々な感染症やがんに有用であることは報告されていた。thymosin α1はimmature CFTRを細胞膜への移行を促進し、同時に、IOD1 (Indoleamine-2,3-Dioxygenase)を介して、NFkB系を抑制したりNLRP3を抑制し、一方で、IL-10等の炎症抑制サイトカインを増加させるという。CFマウスに、thymosin α1 200μg/kg, i.p.を投与することで、治療的に働くだけでなく、CF患者の痰中のthymosin α1は有意に低いという。
投稿情報: 08:16 | 個別ページ
2017年5 月15日 (月)
BBBの形成と役割に関する分子メカ
Nature Med. 4月号から。BBBは脳を守るために重要。発生時のBBBの形成に重要な分子としてGpr124という内皮細胞Gタンパク質受容体が注目されていた。本論文では、成体の病態時における役割を明らかにしている。Gpr124のコンディショナルKOマウスは正常時は変化ないが、脳卒中後のBBBの崩壊を促進すること、Gpr124の下流シグナルも低下し、βカテニンの恒常的活性化で補うことができるということが明らかになった。ヘテロマウスでは、正常ということで、完全なKOでのみ表現型が出ているので、創薬ターゲット分子としての有用性は今後の研究の展開次第であろう。
投稿情報: 07:57 | 個別ページ