Cellの3月号から。B4 Ryokoちゃんのプレゼン。多発性硬化症(MS)は中枢神経系の脱髄性自己免疫疾患であり、免疫細胞が中枢神経において炎症を起こし、運動麻痺や感覚障害などの神経症状の悪化を繰り返す。本論文の著者らは、過去にMSの遺伝的要因の一つにIL7Rが関与していることを明らかにしている。IL7シグナルはT細胞においてT細胞の生存、増殖、恒常性の維持に関与している。著者らはMS患者のMSリスクが高いIL7RのSNPsを同定し、その変異はスプライシング時にエクソン6をスキップし、分泌型IL7Rを産生し、メカニズムは不明であるが、IL7シグナルが逆に増強され、T細胞が自己細胞を攻撃することによりMS病態が悪化していることも明らかにしていた。このCellの論文では、そのIL7Rの選択的スプライシングがどのように制御されているかを検討している。その結果、DDX398というトランスエレメントがIL7Rの選択的スプライシングを制御していること、MS患者にDDX39B の多型があることを同定し、IL7Rのエクソン6の変異と協同して、分泌型IL7Rを増加させていることを明らかにしている。二つの遺伝子の多型の相互連関での疾患リスクの上昇を明らかにした例となろう。