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2019年10 月18日 (金)

ジペプチダーゼ1と敗血症治療

ジペプチダーゼ1と敗血症治療

Cell 8月号から。Akimasa君のプレゼン。ジペプチダーゼ1(DPEP1) というジペプチドを分解する膜結合の酵素が炎症時に好中球が肺や肝臓に浸潤するときに接着受容体として機能することを明らかにした論文。in vivoモデルとして、LPSの腹腔内投与で調べているが、その生存率がDPEP1ノックアウトで完全に抑制されていることから重要な分子であることは間違いない。このDPEP1に結合し、阻害するLSALTというペプチドをLPS投与後に投与しても有効であることから、敗血症の治療薬として、ショック後に、このペプチドの静注あるいは点滴でも有用である可能性がある。現在、カナダの企業がPhase 1の試験中という。LPS受容体であるTLR4の阻害薬は、事前投与で有効であるが、臨床の現場を考えると、LPSがTLR4に結合した後の現象である好中球の影響をブロックする、このペプチドの方がより効果的ではないだろうか。なお、DPEP1は酵素であるが、今回の作用には酵素活性は関係ないことも明らかにしている。故に、酵素阻害薬は有効ではないだろうとのこと。

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2019年10 月17日 (木)

ケトン食と腸の幹細胞維持

ケトン食と腸の幹細胞維持

Cell 8月号から。Tatsuoのプレゼン。糖質制限を徹底したケトン食は、ダイエットや健康維持に効果があると言われ、様々な疾患の治療などに有用であることが知られている。過去にケトン食が炎症を抑えるというNature Med.の論文が報告されたりした。今回の研究は、腸の働きを担う腸管上皮細胞へと分化する腸管上皮幹細胞において、ケトン体がHMGC2というケトン体生成に関わる酵素に影響し、HDACを抑制し、その結果、NOTCHシグナルを活性化し、腸管上皮幹細胞の維持、傷害後の組織再生に関わることを明らかにしたという。グルコース食は、この経路を抑制し、例えば、放射線による腸管ダメージに対して腸管再生が起こらないという。ケトン食はそもそも小児てんかんの治療食として知られ、この治療していた子供の腫瘍も小さくなったという事例もあったという。食は大事。

 

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2019年10 月16日 (水)

心理的ストレスとがん治療効果

心理的ストレスとがん治療効果

Nature Med. 9月号から。Rickyのプレゼン。精神的なストレスががん患者は、治療薬の効果、抗がん免疫を抑制するという分子メカニズムの一端を明らかにしたという報告。ストレスがかかるとグルココルチコイドを増加させ、腫瘍成長を促進するが、そのメカニズムとして、腫瘍内の樹状細胞におけるTsc22d3(グルココルチコイド誘導性転写制御因子であり、かつ、抗炎症や免疫抑制メディエーターとして機能する)を介して、治療時の抗がん免疫応答を抑制するという。これまで、心理的なストレスの度合いで、がん患者の死亡率が変化するという大規模メタ解析の結果もあり、今回の論文は、そのメカニズムの一端を明らかにしたという。がん治療中の患者に、ストレスが少ない環境を与えてあげることは、周りができる唯一の手助けなのかもしれない。

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2019年10 月 9日 (水)

新たながん治療法!?

新たながん治療法!?

Cellの1月号から。B3のShotaroのプレゼン。Krasというがん遺伝子は有名であり、がん細胞におけるタンパク質の合成を盛んにし、癌増殖に大きく関わっている。この研究では、METTL13というメチルトランスフェラーゼの一つがeEF1Aというタンパク質合成に重要な酵素の55番目のリジンをジメチル化することにより、eEF1AK55の酵素活性が上がり、KRASによるがん細胞の増殖作用をさらに促進することが明らかにされた。細胞やマウスで、METTL13を欠損させると癌の増殖を一部抑制することも明らかにし、さらに、METTL13の欠損下に、OmipalisibというPI3KとmTORを阻害する抗がん薬を投与すると、Kras遺伝子変異がんを劇的に抑制することを明らかにしている。METTL13の阻害薬の開発というのは、創薬で狙い目なのか。。

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2019年10 月 7日 (月)

脂肪肝とミトコンドリア融合因子Mfn2

脂肪肝とミトコンドリア融合因子Mfn2

Cell 5月号から。B3のTinaさんのプレゼン。NAFLDの治療、予防は重要である。今回の論文では、小胞体とミトコンドリアの接触領域にあるミトコンドリア融合因子Mfn2が小胞体からミトコンドリアへリン脂質のホスファチジルセリンの輸送に関わっており、正常なリン脂質代謝に関わっており、NASH、NAFLDにおいてMfn2の発現が低下していることによって、そのリン脂質輸送が障害を受け、ミトコンドリアの機能障害をもたらすという。小胞体ストレスは、炎症や線維化には関与しているが、脂肪酸合成には関与していなかったという。ところで、小胞体ストレスは本日のノーベル賞発表の話題でもある。今日のセミナーは運命を感じる。森先生には、これまで何度か熊薬にて講演をお願いした。共著論文も発表した。将来のノーベル賞候補者が招待されるという、ストックホルムでのシンポジウムにも応援に行った。もうそろそろである。

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2019年10 月 3日 (木)

肺細菌叢と肺線維症

肺細菌叢と肺線維症

Immunity 3月号から。HoriJyunのプレゼン。肺内は通常、無菌状態であるというのは、これまでの教科書レベルの話。肺にも細菌が常在していることが明らかになってきた。今回の論文は、グラム陰性菌であるovatus, stercoris, melaninogenica由来の外膜小胞が肺マクロファージを刺激して、IL-17Bの産生を促進し、肺線維化の病態を悪化させるという。

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2019年10 月 2日 (水)

セリアック病の最新情報

セリアック病の最新情報

Cell 2月号から。B3のMegumyのプレゼン。JAMAの8月号に、「Association of Gluten Intake During the First 5 Years of Life With Incidence of Celiac Disease Autoimmunity and Celiac Disease Among Children at Increased Risk.」という論文発表があった。1型糖尿病やセリアック病関連HLA抗原遺伝子型を有する小児6605例を対象に、グルテン摂取量にセリアック病自己免疫やセリアック病との関連があるか多国籍出生コホート前向き観察研究で検討している(TEDDY研究)。この結果から、5歳までにグルテンを高摂取するとセリアック病のリスクが上昇するという。セリアック病の患者はグルテンフリー食を生涯に渡って摂取しないといけないというが、そのメカニズムは何かということを明らかにしたのが、今回、紹介されたCellの論文である。セリアック病では、グルテンを摂取し続けると腸内で慢性炎症が起こり、最終的には絨毛の萎縮により吸収不良を起こし、関連の症状が起こってくる。故に、腸において何が起こっているか。腸管上皮における免疫監視には、組織常在性の腸管上皮細胞間リンパ球(IELs)が関与している。IELsの大部分がαβT細胞とγδT細胞で構成され、今回の論文によると、セリアック病では、γδT細胞が関わっており、γδT細胞の中でも組織型のVδ1+細胞が関与し、かつ炎症性サイトカイン産生が高い性質を持つものに変貌しているという。その性質の変化は、TCR遺伝子再構成によるものであり、その変化は、腸管上皮細胞に発現するブチロフィリン様分子(BTNL3/8)と結合できなくなるγδT細胞Vδ1+となり、正常な免疫応答を維持することができなくなるという。すなわち、γδT細胞Vδ1+の性質の不可逆的な変化が、セリアック病がグルテンフリー食で予防するしか手がない理由かもしれない。。

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2019年10 月 1日 (火)

10月19日、第7回アフリカ開発会議(横浜)のポストフォーラムを熊本で開催します。

10月19日、第7回アフリカ開発会議(横浜)のポストフォーラムを熊本で開催します。

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ホームページから参加を申し込んでください。参加費無料。

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2019年7 月24日 (水)

パーキンソン病治療と腸内細菌との関係

パーキンソン病治療と腸内細菌との関係

Science 6月号から。L-dopaはパーキンソン病の代表的な薬である。脳へ到達するL-dopaは、投与量の5%以下であり、その有効性に影響するだけでなく、末梢でdopamineに代謝され、副作用発現上昇や有効性低下に繋がるという。これは、体内に存在する芳香族アミノ酸脱炭酸酵素(Aromatic L-amino acid decarboxylase;AADC)が、L-dopaからdopamineへと代謝する酵素が、脳だけでなく、末梢にも存在していたことが原因であり、この酵素を末梢で阻害するカルビドパが併用薬として用いられていた。本研究は、経口投与されたL-dopaは、まず、腸内で、腸内細菌のEnterococcus faecalisに由来するチロシン脱炭酸酵素(TyrDC)により、dopamineに代謝されると共に、Eggerthella lentaに由来するモリブデン補因子依存性ドパミン脱水素酵素(Dadh)により、dopamineがチラミンに分解され、不活性化されていることを明らかにした。故に、腸内のTyrDCも抑制することで、末梢におけるdopamineを増やすことができるという。さらに、本研究では、TyrDCの阻害薬として、AFMTを合成し、in vivoでの効果を見るとL-dopaの有用性を向上させることができるという。さらに、Dadhについては、Eggerthella lentaによっては、1アミノ酸変異があり、それにより、活性があるものと無いものに分類されるという。これが、副作用発現の個人差に関係しているかもしれないという。この研究成果を臨床の現場に届けるために、臨床試験プロトコールをどう工夫していくか大変興味がある。L-dopaでの副作用発現患者を対象に、腸内細菌叢をチェックした後、AFMTの投与量を固定し、L-dopaの有効性と忍容性を考慮しながら投与量を上げていくことになるのだろうか。。少ない患者数で対応できそうなので、開発コストはあまりかからないかも。。

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2019年7 月23日 (火)

悪性リンパ腫とSIRT3

悪性リンパ腫とSIRT3

Cancer Cell 6月号から。Nasuくんのプレゼン。悪性リンパ腫の治療抵抗性に関わる分子が見出された。SIRT3がびまん性大細胞型B細胞リンパ腫において、高発現していることがわかり、このSIRT3がミトコンドリア内のGDHを活性化し、TCAサイクルを活性化し、がん細胞におけるオートファージを抑制し、病態を悪化すること、その現象は、SIRT3のノックアウトや抑制薬により抑制されるという。

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