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2019年7 月18日 (木)

老化した膵β細胞の除去がI型糖尿病の発症を抑制

老化した膵β細胞の除去がI型糖尿病の発症を抑制

Cell Meta. 5月号から。Namiさんのプレゼン。老化した膵β細胞から遊離してくるSASP因子が正常β細胞の細胞死を誘導し、病態が悪化していくということを明らかにした論文。故に、老化した膵β細胞の生存に関わり、かつ、発現が上昇しているBcl-2を抑制するBH3 mimetics (ABT-737, ABT-199) を投与すると、老化した膵β細胞の細胞死を誘導し、I型糖尿病病態進展を抑制したという。BH3 mimeticsは抗がん剤としての承認を受けているという。

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2019年7 月17日 (水)

ガンに対する新たな抗体医薬

ガンに対する新たな抗体医薬

Cell 6月号から。Sakiさんプレゼン。MIsatoさん座長。NK細胞によるガンの殺傷効果を最大限にする3機能抗体医薬を作成し、その効果は、従来の抗体医薬より抗腫瘍免疫が高いことを明らかにした論文。NK細胞上のCD16だけでなく、NKp-46と結合しつつ、がん細胞側のCD19を認識するというもの。Obinutuzumabを比較対象に動物実験を行なっているが、少なくともマウスレベルでは明確な差がある。臨床試験の結果がどうか。あるいは、この論文のものとは違う進化型が、臨床試験に導入されようとしているのか。今後の展開が楽しみである。

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2019年7 月 4日 (木)

なぜ微小な細胞のダメージでは炎症は起こらないのか

なぜ微小な細胞のダメージでは炎症は起こらないのか

Cell 4月号から。Sanくんのプレゼン。Harucanの座長。怪我をした時には、好中球が集積し、炎症を起こしつつ、マクロファージによる貪食が起こり、修復されていることは知られている。しかし、微小な細胞のダメージは炎症は起こらずに、修復していく。微小な細胞のダメージに対して、なぜ、好中球は集積してこないのだろうか。この答えを導いたのが本日のセミナーの内容。シングルセルレベルでのダメージが起こると、細胞内からATPやAGEsなどが遊離してくる。それを、近傍にある組織常在性マクロファージが認識し、そのダメージ細胞を取り囲む(クローク)。その結果、好中球の集積が抑制され、過剰な炎症反応も起こることはないという。全身の組織で同様なことが起こっているという。例えば、適度な筋トレをすると、筋肉に微細なダメージを受けても炎症反応は起こること無く、修復されつつ、筋肉量の増加に繋がっているのではないかという。

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2019年7 月 3日 (水)

加齢性の神経変性疾患に対して抗体療法が可能か!?

加齢性の神経変性疾患に対して抗体療法が可能か!?

Nature Med. 5月号から。Sanaさんのプレゼン。tureの座長。高齢の方の血清中にVCAM1のsolubleタイプが増加していたり、高齢マウスの海馬歯状回の血管内皮細胞のVCAM1の発現が高いということもあり、加齢性変化に対するVCAM1の影響は?というのが今回の研究。高齢マウスの血清を老化血清としてマウスに投与すると血管内皮細胞のVCAM1の発現上昇や神経前駆細胞の活性低下、ミクログリアの活性化を引き起こし、血管内皮細胞特異的なVCAM1欠損や抗VCAM1抗体投与により、老齢マウスの脳機能障害や認知機能障害を改善することも明らかにしている。すなわち、抗VCAM1抗体が加齢性の神経変性疾患の治療薬になるのではという。この抗体は、日本でも潰瘍性大腸炎やクローン病で承認されている医薬品である。

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2019年7 月 2日 (火)

ガン組織における神経細胞の由来:非選択的なベータブロッカーの有用性

ガン組織における神経細胞の由来:非選択的なベータブロッカーの有用性

Nature 5月号から。Junのプレゼン。Yoshioの座長。脳由来の神経前駆細胞が、血流を介して、がん組織に浸潤し、がんの発生や進行を促進していることを明らかにした画期的な知見。がん組織における神経前駆細胞は、アドレナリン作動性神経へ分化するという。2015年の臨床のレトロスペクティブな研究成果で、非選択的なベータブロッカーが生存期間延長に極めて有効であり、β2受容体の関与が示されていた。

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2019年6 月26日 (水)

乳酸とインターフェロン産生

乳酸とインターフェロン産生

Cell 6月号から。Ryokoさんのプレゼン。Johnの座長。これまで、がん細胞において乳酸が免疫監視機構を回避するために機能する免疫抑制分子ではないかということが報告されていた。本論文では、ウイルス感染が行なっていないときは、嫌気性解糖系よりの乳酸がミトコンドリアにあるMAVS (mitochondrial antiviral-signaling)に結合にしているため、RIG-Iとの結合ができず、I型インターフェロンの産生ができないが、ウイルス感染時には、乳酸の産生が抑制されていると、MAVSとRIG-Iが結合し、TBK1-IRF3経路を介して、インターフェロンの産生が促されるということを明らかにしている。この研究により、がん細胞では、有酸素下でもミトコンドリアの酸化的リン酸化よりも、効率の悪い解糖系でATP産生を行い、ピルビン酸をすぐに乳酸へと変換するというWarburg効果の意味が説明できるということである。

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2019年6 月25日 (火)

長生きのための分子メカ

長生きのための分子メカ

Cell 4月号から。Johnのプレゼン。Teraの座長。寿命の短い、長いはどのように決まっているのか。DNAの二重鎖切断修復能が高いほど、寿命が長く、その能力がSIRT6により高められていることが明らかになった。寿命が長い齧歯類と短い齧歯類とSIRT6のアミノ酸配列を比較した結果、寿命が長い齧歯類に特徴的な配列があり、それを寿命の短い齧歯類に導入すると老化が抑制されたという。強力なSIRT6活性は、抗老化、寿命延長が期待できる。

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2019年6 月19日 (水)

核内に移行したインスリン受容体の役割

核内に移行したインスリン受容体の役割

Cell 4月号から。Keisukeのプレゼン。Misatoさんの座長。この論文は重要。インスリン受容体が刺激された後、核内に移行して、局在していることはかなり以前から知られていた。しかし、その機能的意味は不明であった。インスリン受容体は核内において、標的遺伝子のプロモーター領域に結合することでインスリンの作用(脂質代謝、タンパク質合成、細胞増殖)に関わっていることを明らかにし、インスリン抵抗性のメカニズムに新たな発想を与えた研究成果である。従来のPI3K経路やMAPK経路を介したインスリンの作用は急性の作用に関与すると考えられ、一部は、クロマチンにおける作用にも関与しているかもしれないという。

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2019年6 月18日 (火)

脳の加齢化を抑制するメカ(マウス編!?)

脳の加齢化を抑制するメカ(マウス編!?)

Nature 4月号から。Shotaのプレゼン。Mariの座長。脳内の掃除役であるミクログリアは加齢に伴い、機能が低下することが報告されていた。これは、アルツハイマーを含む神経変性疾患の原因ともされている。本論文では、in vitro と in vivoのRNA seq解析により、CD22という、ミクログリアのファゴサイトーシスを抑制する分子を同定し、この分子が加齢とともに増加することが問題であることが示された。さらに、CD22抗体の脳室内投与により、加齢による機能低下、アルツハイマーやパーキンソン病のモデルマウスの機能低下を抑制ることも明らかにした。しかしながら、Shotaが他の関連論文を調べた結果、マウスでは、CD22はミクログリアが主な発現細胞であり、ヒトでは、オリゴデンドロサイトが主な発現細胞であるという過去の報告もあることから、この論文の成果はマウスにおける現象かもしれないという。

 

面白いことに、MRI拡散テンソル画像(DTI)という新しい脳イメージング法により、アルツハイマー型認知症の脳では、白質の異常やミエリン(オリゴデンドロサイトによる形成される)が著しく減少しているという「ミエリン仮説」が注目されているという。オリゴデンドロサイトにおけるCD22の役割はどうだろうか。

 

CD22のリガンドはシアル酸であることも面白い。

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2019年6 月12日 (水)

食事によるサーカディアンリズム調節メカ

食事によるサーカディアンリズム調節メカ

Cell の5月号から。Mariのプレゼン。Teramoto君の座長。仕事をシフトでやっている人が様々な病気になりやすいのではという話に、サーカディアンリズムが乱れるからではないかという研究が多々なされている。光にあたることがサーカディアンリズムの調節に重要であることについては、そのメカニズムはよくわかっていたが、食事によるサーカディアンリズムの調節のメカニズムは十分に解明されていなかった。この論文では、食事により増加してくるインスリンがインスリン受容体やIGF-1受容体に結合後、PI3K-, or PTEN-mTORC経路、および miRNA (24, 29, 30)を介して、Periodの翻訳や転写を調節し、サーカディアンリズムを光とともに調節していることを明らかにしている。不規則な食事は、サーカディアンリズムに多大な影響を及ぼし、シフト労働による生体への悪影響を低減するためには、光への暴露だけでなく、食事を摂るタイミングが重要であることを示唆している。

 

このサイトは「空腹こそ最強のクスリ」(青木厚氏)からの抜粋で、6回シリーズになっていますが、今日の話を絡めて考えると健康維持のために重要な情報。食事の摂り方も明示している。

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