今朝の朝ゼミはCell Metabolism 6月号から、Miki-chanが紹介した、大変面白い研究内容。
TGF-β/Smadシグナルが、通常、白色脂肪細胞の維持に関わっていること、そして、そのシグナル経路を抑制することを行なうと、白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞としての性質を持つようになり、エネルギー代謝を活発にし、肥満や糖尿病が抑制できることを明らかにした。臨床的にも肥満や糖尿病患者の病態に応じて、血液中のTGF-β量が多いことも明らかにしている。
今朝の朝ゼミはCell Metabolism 6月号から、Miki-chanが紹介した、大変面白い研究内容。
TGF-β/Smadシグナルが、通常、白色脂肪細胞の維持に関わっていること、そして、そのシグナル経路を抑制することを行なうと、白色脂肪細胞が褐色脂肪細胞としての性質を持つようになり、エネルギー代謝を活発にし、肥満や糖尿病が抑制できることを明らかにした。臨床的にも肥満や糖尿病患者の病態に応じて、血液中のTGF-β量が多いことも明らかにしている。
投稿情報: 10:04 | 個別ページ
一昨日、以下の特別講演会を開催した。
「切らずに治す ”がん治療” 〜粒子線治療とメディポリス指宿構想〜 」 永山 伸一 博士(財団法人 メディポリス医学研究財団 がん粒子線治療研究センター医療部 技術部長(生物研究 兼務)
「獣医学領域におけるガン治療の現状」 岡本 芳晴 博士(鳥取大学農学部附属動物医療センター、教授)
多くの有用な情報を得ることができた。今後の展開に関わることなので、とりあえず企業秘密。お忙しい中、講演して頂いた講師の先生方には心より感謝します。指宿のメディポリスはホテルもりっぱ、環境も、温泉も素晴らしいので、ガン治療施設の見学を兼ねて、宿泊をするのを御勧めします。
投稿情報: 08:27 | 個別ページ
(今年の1月5日のブログの再掲)
私は、大学全体で5名しかいない学習・研究悩み事相談員を設立当初からずっと担当してきたこともあり、研究室内だけでなく、学生や教職員の多くの悩みの相談に乗ってきた。色々と悩んでいる人は多い。どうにか救える方法はないかといつも考えてきた。私なりのひとつの考えを以下にまとめてみた。悩みそうな時に参考にしてほしい。
受験勉強で解いてきた問題には、かならず正解があった。どんなに難しくても、解けなくても、悩んでも、かならず正解があった。だから、もし精神的に苦しんでも解放される瞬間は必ずあった。ところが、社会に出て、送る日々の中で遭遇する問題には、正解がないことが極めて多い.また、自分で一生懸命悩んで出した答えも違うことが多い。そして、必ず正解があるはずだと悩み苦しんでしまうと自分自身を追いつめ、正解に到達することができなかったということで自信もなくしてしまう。誰に聞いても正解なんか無いことなのに悩み続けてしまう.社会で遭遇する問題を、正解が必ずある試験問題と同様であるはずと無意識に考えてしまうのだろうか、そうなると苦しみが続いてしまう.正解を出さないと解決しないのではないか、進展しないのではないかと必死に思い込んで、また、悩み苦しんでしまう。
私も、人生経験が少ない若い時、失敗や屈辱的なことをいつまでもグジグジと悩み苦しみ、眠れない時を過ごしたことがあった。当時、元来、そういうタイプ(遺伝的)だとあきらめていた感もあった。しかし、ある時から、意識が変わった。いや、変えたのだろう。私のきっかけは、単に「苦しむ時間がもったいない」と思っただけ(非遺伝的).
では、具体的にはどうしたのか。それは、失敗の大小に関わらず、悩み苦しみそうなことに遭遇したら、瞬間的に「嫌なことは忘れる」という神経を強く活性化させるように意識しただけ。後に引きずりそうなことはその場で忘れるように強く意識しただけ。悩み苦しんでも正解など無いこと、あるいは、あったとしても正解を出すまで時間がかかることは、出来るだけ早く「忘れた」だけ。そして、悩まずに新しく生まれた時間を次のステップへの前進に使うように意識しただけ。忘却という神経回路は、自分を本当に楽にしてくれた。そして、前向きにチャレンジするタイプへと変身させてくれた.単に「忘れる」ということだけで。
この「忘れる」ということは、問題の答を求めるより簡単な神経操作であった。そして、この神経回路の活性化を助長させてくれるのが、スポーツであり、お酒であり、気の合う仲間との馬鹿話であり、趣味であった。悩みや苦しみをお酒の場まで引きずるのではなく、お酒の場では、関係ない楽しい話題で盛り上がると良かった.いわゆる気分転換は「忘れる」の触媒であるかのように。
多くの問題に真摯に向かい、一生懸命に努力し、真剣に考える、良くできるタイプほど、また、学生の頃から自分はずっと成功してきたという自信がある人(そう思うことで自分を擁護している)ほど、社会で遭遇するほとんどの正解のない問題に悩み苦しむ確率が高いように思う。一方、一般に、100点満点中、60点取れれば良しとするようなタイプは生き抜けていると思う。ひとつひとつを程々にこなしていくタイプは生き抜ける。多趣味であるタイプも生き抜ける。生き抜けるタイプに共通する特徴は、「切り替えの早さ」かもしれない。「切り替えの早さ」を言い換えると、「忘れることの早さ」ではないかと思う。悩み苦しむくらいなら、一刻も早く忘れよう。自分はこの問題を乗り越えることができるという変なプライドなど、まずは、かなぐり捨てよう。今、正解がわからなくてもいいではないか。長い時を経て、たとえば、30年後に、あの時の悩み苦しみかけた問題の答えは、何となくこんなのが正解だったかなと思う時が来るものだから、それでいいのではないか。失恋しても、歳とって、あとで振り返れば懐かしい思い出に変わるものだから。
つらいことに遭遇したら、悩み苦しむ前にその日の内に忘れよう.そして、良い思い出はしつこいぐらい忘れないようにしよう。脳に刻み込もう。そうすると人生が楽しくなれる。一歩前進できる。チャレンジする勇気が持てる。99%失敗、でも1%の成功があれば良いではないか。そう強く思う.
今、悩み苦しんでいる多くの仲間たちに「忘却の重要性」を心から伝えたい。そして人生を一緒に楽しもうよ。
三島由紀夫さんも同じ考えであった。
「人間に忘却と、それに伴う過去の美化がなければ、人間はどうして生に耐えることができようか」
(三島由紀夫「私の遍歴時代」より)
投稿情報: 17:25 | 個別ページ
投稿情報: 17:13 | 個別ページ
Immunityの6月号から。M2 Matsu-shinの13回目のプレゼン。
T細胞は、抗原を感知すると活性化して、増殖したり、サイトカインなどを放出する。この活性化の際に、抗原提示細胞とT細胞の接着面には、お互いの細胞表面にある受容体や細胞内のシグナル伝達分子が同心円状に配置された「免疫シナプス」を形成するという。本研究グループは、以前に、T細胞受容体と下流のシグナル伝達分子からなる小さな集合体「マイクロクラスター」を発見している。この論文では、このマイクロクラスターが、微小管を足場とする分子モーターの機能を持つダイニンによって微小管を伝って運搬され、免疫シナプスの形成につながること、この移動によって免疫シナプスに集まったT細胞受容体が分解され、T細胞の活性化が収束することを明らかにしている。今までダイニンは、細胞分裂、神経細胞の軸索伸長や機能、繊毛運動に必要な動力を生み出す分子モーターとして知られていた。今回の発見は、免疫応答の基本的なメカニズムである抗原認識とT細胞活性化に関与すること、さらに、ダイニンは、細胞内の分子や液胞を運搬するのではなく、「細胞膜にある分子複合体をそのまま免疫シナプスの中心に向かって細胞表面に沿ってけん引する」ということ明らかにしている。今まで、関与が言われていたF-アクチンはマイクロクラスター形成のイニシエーションに関与し、ダイニンはその後の移動と収束に関与するという一連の流れが明確になった。この研究で用いられている実験法も面白い。この雑誌の同号にB細胞でも同様な現象が起こることが発表されている。細胞膜にある分子複合体を移動させるという、微小管の役割は免疫系以外の細胞でも観察されうるのだろうか興味がある。
投稿情報: 08:52 | 個別ページ
大変面白い研究内容が筑波の理化学研究所から発表された。Cellの6月号に掲載。M2の福田君が紹介。
結論は、「ストレスによる遺伝子発現の変化が、DNA配列の変化を伴わず(エピジェネティク)に親から子供に遺伝する」、という新たなメカニズムを発見したということ。ショウジョウバエの転写因子dATF-2 が、転写が不活発なヘテロクロマチン構造の形成に不可欠であるが、熱ストレスや浸透圧ストレスでリン酸化されると、ヘテロクロマチン構造を弛緩して転写を活発にし、その状態が子供に遺伝するという。さらに、親が受けたストレスの影響は子供にだけ遺伝し、孫には遺伝しないという。また、二世代にわたってストレスを受けると子供だけでなく孫にまで伝わり、その後、何世代にも遺伝する可能性があるという。この研究は、ストレスが影響する非メンデル遺伝学のメカニズムを初めて解明しただけでなく、親の受けたストレスが子供の疾患発症頻度にも影響する可能性を示す成果としてかなり注目されている。面白い。
投稿情報: 08:02 | 個別ページ
Journal of Clinical Investigation 2011年6月号から2報。薬学科6年のYukarin.
糖尿病から進展する慢性腎臓病の進展抑制は透析患者の増大の抑制に繋がる。ポドサイトという細胞のダメージが糖尿病性腎症に大きく関与していることは知られていた。今回の連報で報告された内容は、糖尿病モデルであるdb/dbマウスで、ポドサイトにおけるmTORC1の活性化が認められ、mTORを抑制するラパマイシン(腹腔内投与で週3回)が糖尿病性腎症を抑制するという.また、ポドサイト特異的にmTORC1を遺伝的に活性化したマウスでは可逆的な腎障害が発現し、その障害もラパマイシンで抑制されるという。ラパマイシンについては、過去には、腎症を逆に悪化するという報告もあり、臨床でトライするには、不安がある.また、糖尿病性腎症がひどくなってくると効果がないことから、腎症発症前から予防的に投与するには、副作用の点で難しいのでは.
今朝の「なでしこJAPAN」は面白かった。歴史を作った。
投稿情報: 08:21 | 個別ページ
Nature Med 2011年6月号から。M2のTomy。学部3年からスタートした朝ゼミプレゼンも13回目で、落ち着いた分かりやすいプレゼンでした。実験も平行して実施しながら、短期間でプレゼンの準備する能力は今後も役に立つ。
PGRP (or PGLYRP: peptidoglycan recognition protein) というタンパク質が細菌の増殖を抑え、殺菌していることは知られていたが、そのメカニズムはわかっていなかった。この論文では、グラム陽性菌の分裂部にPGRPが作用し、細菌のCpxAに結合し、CpxRを介して遺伝子発現制御やラジカル産生などを介して細胞死を起こすということをクリアに示している。グラム陽性菌にはペプチドグリカンが細胞表面に多いためCGRPは分裂期の分裂部のみに作用し、グラム陰性菌はペプチドグリカンが少ないため、CGRPは菌の外膜全体に結合し、作用するという。抗生物質が細菌に作用し、増加したミスフォールディングタンパク質がCpxA-CpxRにより菌増殖を抑制するという。さらには、ペプチドグリカンの合成を抑制する抗生物質を作用させると、PGRPが菌にアクセスしやすくなり、協調して、相乗的に抗菌活性を示しているのかもしれない。耐性菌に対する対応にも活かせる研究成果か。lysozymeが、グラム陰性菌だけでなくグラム陽性菌にも作用するメカも説明できるかも。
PGRPの産生が低下する生体側の状況はありうるのだろうか、興味がある。PGLYRP-1は白血球、−2は肝臓、血中、−3,4は皮膚、目、唾液腺、舌、喉頭、食道、胃、腸に発現しているという。
投稿情報: 08:19 | 個別ページ
Cell 2011年3月号から。創薬生命3年のChosa君の初ゼミ。
パーキンソン病の代表的な原因タンパク質であるParkin(E3ユビキチンリガーゼ)の活性が低下すると、基質のひとつであるPARIS(転写抑制因子)の発現が増加し、PGC1α(神経保護作用)の遺伝子発現を抑制することでドーパミン神経の変性が起こること、そして、PGC1αを補うと神経の変性が抑制されていることが示された。この論文の面白いところは、検討した全てのパーキンソン病患者において、上記の分子の発現変化がきれいに観察されること、Parkinのノックアウトマウスは発生期に補完的なメカニズムが関与して、表現型は何も示さないが、成長した後にParkinをコンディショナルにノックアウトするとドーパミン神経の変性が見られるようになるということ。今まで、神経変性疾患の原因と考えられている分子についても、同様なコンディショナルノックアウトマウスを作成すると患者に近い表現型が得られる可能性が高い。事実、 GDNF (glial-cell-line-derived neurotrophic factor)のノックアウトも同様なことが報告されている。
治療的な観点からPGC1αの発現増加あるいは活性化をどうするかを考えていくとパーキンソン病の進行抑制に繋がるという。
初ゼミ Chosa君、よく奮闘しました。次回はさらに良いゼミを!
投稿情報: 09:14 | 個別ページ
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