軸索の伸長を制御する分子の同定に関する論文をMOMOちゃんが紹介した。今年の2月にNatureに掲載された論文。神経の発生時にTNF receptor superfamilyのひとつであるDR6からのシグナルがCaspase 6を活性化し、結果的に軸索の断片化などを誘発し、軸索が退縮するという。また、面白いことに、DR6のリガンドにアミロイドβ前駆体タンパク質のN末断片であることを示した。さらに、アミロイドβ前駆体タンパク質がcaspase 6により切断を受け,再びDR6のリガンドが生成される。まるで、アルツハイマー時の神経変性が徐々に進行していく際に関与する機構のようでもある。しかし、このような神経のdegeneration過程は神経の発生においては、きちんとした神経ネットワークを形成するために重要であるらしい。どう転ぶかは紙一重の精密な制御が我々の体の中で行なわれているようだ。