Science translational medicine 7月号より。Harukyanのプレゼン。ALSの多くは弧発性であるが、遺伝性もある。代表的な原因遺伝子としてSOD1が知られている。この論文では、家族性および弧発性で多い、Chromosome 9 open reading frame 72 (C9orf72)のintron 1の変異について注目している。C9orf72欠損は運動神経変性に関係なく、その機能は不明であった。本研究により、C9orf72欠損マウスは若年での死亡率が高まり、自己免疫疾患と同様な症状を示していることが分かった。この症状は、正常なマウスの骨髄移植により、部分的に軽減することができた。これまで、ALS患者の脊髄においてT細胞の浸潤などが見られたり、ALS患者の血漿や脳脊髄液でIL-17、IL-23が増加していること、さらには、自己免疫疾患患者においてALS発症率が高いことが分かってきていた。この研究成果は、単一遺伝子の異常により自己免疫疾患が起こることは極めて稀であることからユニークな成果といえる。
2016年7 月27日 (水)
2016年7 月26日 (火)
寒冷刺激が皮下脂肪を減らすメカ:パート2
Cell 7月号から。Misatoちゃんのプレゼン。昨年の9月10日の朝ゼミ「寒冷刺激が皮下脂肪を減らすメカ」では、寒冷刺激による白色脂肪細胞におけるアディポネクチンの発現を上昇させ、M2マクロファージを介して、ベージュ細胞を増加させ、白色脂肪細胞を減らすという話があった。今回はそれとは異なるメカニズムの話。寒冷刺激により、白色脂肪細胞からベージュ脂肪細胞に分化することは知られていた。白色脂肪細胞は内分泌器官として機能するが、ベージュ細胞や褐色脂肪細胞から内分泌機能については知られていなかった。寒冷刺激後のベージュ細胞や褐色脂肪細胞において発現する(UCP1により制御される)遺伝子を調べたところ、PM20D1を見いだしたという。このPM20D1は高発現させるとエネルギー消費を増大させ、UCP1非依存的なメカニズムが関与していることが明らかになった。さらに詳細に検討した結果、PM20D1はほ乳類M20ペプチダーゼファミリーの一種であり、PM20D1が生体内におけるN-アシルアミノ酸の合成酵素および分解酵素としての性質を持ちうることが明らかになった。N-アシルアミノ酸はUCP1非依存的な内在性の脱共役剤として働くという。N-アシルアミノ酸はミトコンドリア内膜タンパク質であるプロトンの内膜透過トランスポーターSLC25ファミリーなどに直接結合して作用しているという。アシル基の長さも最適な範囲があり、また、アミノ酸側もある程度疎水性であることが重要等、色々な条件が必要であるという。とにかく、ベージュ脂肪細胞や褐色脂肪細胞から産生されたPM20D1は白色脂肪細胞に作用し、N-アシルアミノ酸の産生により、UCP-1非依存的なミトコンドリア脱共役を介してエネルギー恒常性を調節しているという。
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2016年7 月21日 (木)
現役薬学教育部大学院生が立ち上げた大学発ベンチャー「サイディン」がコンテストで最優秀賞
平成28年7月16日(土)、熊本市にて開催された「熊本県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアム」主催 次世代ベンチャーコンテスト 熊本テックプラングランプリ最終選考会において、本学大学院生2名と本学学部生1名が下記の賞を受賞しました。
「最優秀賞」受 賞 者 : 弘津 辰徳(製剤設計学分野 D-3)受賞テーマ名 : シクロデキストリンを基盤分子とした医薬品および機能性食品の創製
「プレシード賞」受 賞 者 : 池田 真由美 (薬剤学分野 D-2)、水田 夕稀 (薬剤学分野 4年) 受賞テーマ名 : 温泉化粧品の開発から創薬へ
※ 熊本県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアムは、熊本県・株式会社肥後銀行・国立大学法人熊本大学・一般社団法人熊本県工業連合会・株式会社リバネスの 5 者を構成員とする、(1)支援プラットフォームの構築及び運営、(2)次世代ベンチャーコンテストの開催、(3)次世代技術の発掘及び育成、(4)パートナー企業の発掘及びマッチング等を実施する主体となる組織です。
※² KUMAMOTO TECH PLANTER(熊本テックプランター)は、熊本県次世代ベンチャー創出支援コンソーシアムが実施する、創業支援プラットフォームから、情熱をもって世界を変えようとする起業家を育成する創業支援プログラムを指します。なお、5月21日のキックオフイベントまでは「TECH PLANTER in 熊本」の名称を使用しておりましたが、以後は名称を「KUMAMOTO TECH PLANTER」に変更されました。
投稿情報: 08:22 | 個別ページ
膵β細胞におけるp16Ink4aは正常な機能(インスリン分泌)の成熟を促す
Nature Med. 4月号から。ニラジさんのプレゼン。細胞の老化は、加齢に伴う機能低下を意味する。p16Ink4aは老化に関わる因子として良く知られている。この論文では、膵β細胞の機能におけるp16Ink4aの役割を明らかにするために、膵β細胞に特異的にp16Ink4aを過剰発現が、細胞の膨張、グルコース取り込みの増加、ミトコンドリア活性上昇などの老化の特徴を引き起こし、これらの現象によりインスリン分泌増加を促進したという。グルコース誘発のインスリン分泌の増加は正常な加齢の際にも増加し、これは、p16Ink4aの活性上昇によるという。このインスリン分泌の増加のメカニズムの一部には、mTOR活性とPPARγが関与しているという。以上の知見は、p16Ink4aと細胞老化がβ細胞によるインスリン分泌の促進と加齢に伴う正常な機能の成熟化に関与していることを示しているという。
投稿情報: 08:10 | 個別ページ
2016年7 月20日 (水)
前頭側頭型認知症、progranulin、バイオマーカーとしての補体
Cell 5月号から。Kojiharuのプレゼン。前頭側頭型認知症の原因遺伝子としてProgranulinが重要であることがわかっていたが、そのメカニズムは不明であった。リソゾーム異常は過剰ミクログリア活性化と関連していることは知られていた。さらに補体が神経変性と関係していることも知られていた。この論文では、ProgranulinがLate endosomeからLysosomeへの補体輸送を阻害していること、Progranulin欠損ミクログリアは補体分子の産生を促進すること、補体はシナプス剪定は神経回路機能を調節するために重要であること、Progranulin欠損マウスは抑制性シナプス数を抑制し、相対的に興奮性シナプス数が増加すること、さらに、この状態のマウスの補体タンパク質欠損により抑制性シナプス数が増加したということが明らかにされた。つまり、通常時、ミクログリアは年齢と共に活性化されるが、その際に補体を分泌し、シナプス剪定を促進するが、Progranulinはこの補体分泌経路を抑制しているという。Progranulinの遺伝子変異は、前頭側頭型認知症で認められているが、本研究において、前頭側頭型認知症患者の脳において、ミクログリアと補体の活性化も認められ、前頭側頭型認知症は精神機能の低下に伴って、脳脊髄液の補体タンパク質の量は増加し、記憶障害が主として現れるアルツハイマー病患者では低下していたという。このことは、前頭側頭型認知症のバイオマーカーとして、脳脊髄液中の補体量が重要であることを示している。前頭側頭型認知症の治療法はないため、その患者を受け入れる環境と支援体制が必要とのこと。前頭側頭型認知症の症状を知っていることは重要。
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2016年7 月19日 (火)
パーキンソン病とミトコンドリア小胞、ミトコンドリア抗原提示
Cell 7月号から。Taiseiのプレゼン。パーキンソン病に関わる遺伝子変異からミトコンドリア障害が関わることが示唆されていた。たとえば、PINK1やParkinが損傷ミトコンドリアの除去(マイトファジー)において重要な働きを担い、ミトコンドリア機能障害がドーパミン神経の変性を起こすことが示めされていた。一方で、パーキンソン病の進行には免疫機構が関与していることが示唆されていた。この研究では、PINK1やParkinに変異があることにより、炎症時に、マイトファジーは関係なく、ミトコンドリア抗原を含むミトコンドリア小胞が形成され、エンドソームやリソソームへと輸送され、分解され、MHC class Iによるミトコンドリア抗原が提示されることが明らかになった。ミトコンドリアに局在し、ミトコンドリア小胞の形成に関わる分子Rab9やSnx9のうち、Snx9が、通常は、Parkinによりユビキチン化後、分解され、ミトコンドリア小胞形成が抑制されるという。PINK1はParkinの活性化に関わることから、パーキンソン病を予防するにあたりPINK1およびParkinの重要性と新たなメカニズムが明確になった。今年、パーキンソン病モデルマウスにおいてMHCIIを欠損させるとドーパミンニューロンの変性が抑制されるという論文も発表されており、パーキンソン病において免疫系の重要性が示されてきている。
投稿情報: 07:49 | 個別ページ
2016年7 月18日 (月)
2016年7 月14日 (木)
【熊本震災復興支援ソング】あいにいきますと「IKIMASU.熊本」の活動
【熊本震災復興支援ソング】あいにいきます
https://www.youtube.com/watch?v=6KOrw4RycP0
被災者の自ら立ち上がり、結成された
スーパーボランティアグループ「IKIMASU.熊本」
支援の格差を埋める貴重な動きをされています。
熊本は大雨でした。今日は暑くなりそう。
「IKIMASU.熊本」のFacebookの情報から現状を。最近の様子も写真でも。
「明日で3ヶ月。。。熊本を地震が襲ったあの日からもう3ヶ月です。
3ヶ月経った今でも、まだ地震の被害に苦しんでいる方々が大勢います! 3度の食事、トイレやお風呂。洗濯すらままならない状況、、、、ニュースでも流れません。我々ボランティアも自立を促すことが必要だと言われます。
もちろん分かっています。被災者もボランティアも考えています。
しかし、まだ3ヶ月。家や財産、家族までも失ったのに3ヶ月で前向きに自立しなければ、色々な事を言われなければいけないのでしょうか。
しっかりとした補助や政策があれば、前向きに考えたり、自立に向けた行動が出来るのかもしれません、、、、、。
しかし、まだ家の判定すらはっきり出ていないトコや未だに水すら出ないとこもあるのです。
それでも、皆毎日を一生懸命生きてます。笑顔で乗り切ろうと頑張っています!
これからも、ご支援、応援を続けて頂けないでしょうか、、、、。
私達IKIMASU.熊本はこれからも地道に、同じ時間を同じ目線で被災者の方と一緒に進んでいきたいと思っています。
まだまだ先は長いです。
今、足りないもの。皆さんへ流れるべく情報なのかもしれません。
真実はここにあります。熊本に、益城に、南阿蘇村に甲佐町に山都町に、、、、、、
皆さんにお願いです!今までにあげた物資の提供も欲しいです!ですが、情報の共有や現場に来てリアルを見て感じてください!
その為のお手伝いもIKIMASU.はします!宜しくお願いします!!
今日もハピネスではケンタがご飯を作ってます。IKIMASU.のメンバーは動いています!
全国の皆さまへ、この思いが届きますように、、、、」
以前、車で益城町を通った時に見た、益城のパチンコ屋の横にあったテント。そこにいたボランティアの人たちと支援物資。他のボランティア団体とは異なり、手作り感、地元感が溢れていた。そういうことだったのか。私は「早く日常へ」ということで、この3ヶ月、色々と活動してきた。このメッセージを見ながら、ふと、考えさせられた。大学の日常ではなく、本当に必要とされている日常とは何かを。同じ熊本でも「日常感」の格差。何か考えたい。「IKIMASU.熊本」を訪ねてみよう。何かできる気がする。
投稿情報: 05:11 | 個別ページ
2016年7 月12日 (火)
祝 受賞
オーストラリアのブリスベン市にて開催された国際学会「Chronic Obstructive Pulmonary Disease (COPD) 2016」において、藤川 春花さん (M2) が「Best Poster Award」を受賞しました。おめでとう。
受賞テーマ名 : Plasma uric acid as a protective factor of respiratory dysfunction and emphysema in female mice and human with obstructive pulmonary diseases
投稿情報: 08:23 | 個別ページ
2016年7 月 8日 (金)
BREXITから考える18歳選挙権の意味
今度の日曜日の選挙。18歳以上が国政に初めて関与できる記念すべき日。自分の意志を国に示すことができる貴重な機会。今回、イギリスで起きたBREXIT。上の図にあるように若い人は離脱反対。結局、年配の意向が将来の国の行く道を決めてしまった。若い人がもっと沢山投票にいっておけば。。イギリスは、EUとの貿易だけでなく、人の行き来も制限され、若い人にとっては大ダメージであるのはいうまでもない。世界を学び、自国の将来を考える良い機会。上の図は大前氏のサイトからである。参考になる。今週の月曜日の1年生の講義で話をした。多くの若者の意思表示を期待したい。そうすれば、日本の未来も期待できる。
下の写真もBREXITを皮肉っていたり、希望を伝えている。
投稿情報: 09:08 | 個別ページ