Nature Mwd. 7月号から。ノー万のプレゼン。もし、miR-30cの発現を上げる方法(薬)があれば、脂肪肝などの副作用の少ない高脂血症治療が期待できるという話。miR-30cはMTP(microsomal triglyceride transfer protein)を抑制するだけでなく、脂質合成に関わるLPGAT1のmRNAの分解を促進することがわかった。肝臓特異的なMTPノックアウトマウスでもmiR-30cの脂肪肝抑制がある程度認められていることから、miR-30cの多分子標的であることが裏付けられている。興味あるデータは、anti-miR-30cをレンチウイルスで発現させるとmiR-30cとは逆の現象が顕著に認められ、miR-30cが内因性に大きな影響を与えているということが考えられたことである。
2013年9 月26日 (木)
2013年9 月25日 (水)
「平成25年度 子ども霞が関 見学デー」熊本大学薬学部
先月、文部科学省で行われた「平成25年度子ども霞が関見学デー」の動画がYoutubeにアップされました。私が撮影したビデオの映像も一部編集して組み込まれていました(注意して見てみると私がビデオカメラを構えている映像が出てきますよ)。
矢原先生、大活躍です。熊本大学薬学部の大きな社会貢献となりました。
まだ、展示を見に行っていない人は、是非、文科省の旧館の情報ひろばに足を運んで下さい。
文科省広報誌(e-book)のP.3-4にも見学デーの様子が掲載されております。
投稿情報: 18:51 | 個別ページ
治療抵抗性の前立腺ガンの悪化に対する新たな戦略
Cellの9月号から。B4のOkita君の発表。前立腺がんは、男性ホルモン(ジヒドロステロン)により悪化して行くことから、受容体阻害薬あるいは合成阻害薬が抗がん薬として使用されている。しかしながら治療抵抗性前立腺がんが臨床的に認められ、その分子メカニズムとして、そのがん細胞において、ジヒドロステロン合成促進、アンドロゲン受容体の過剰活性化などが知られていた。本論文では、途中の合成酵素である3βHSD (3β-hydroxysteroid dehydrogenase)に変異があることにより、細胞内における分解が抑制され、蓄積していくこと、この変異が治療抵抗性に関与すること、アビラテロンというCYP17A1阻害薬(コレステロールからDHEA(アンドロゲンの前駆体)の合成を阻害する)の投与により3βHSDに後天的な変異が入ることなどが明らかにされた。今後、臨床的に本論文の裏付けが取れることで、次の展開として、3βHSDの変異体に選択的に作用する抗がん薬の開発につながるだろう。
投稿情報: 08:40 | 個別ページ
2013年9 月20日 (金)
ガンに関連した遺伝子変異とインスリン分泌
Cell Metabolism 6月号から。Takaki君の紹介。FGFR4のSNPsの一つが乳ガンの病態進行に関与している事は臨床的に認識されていたが、そのメカニズムはわかっていなかった。この論文では、FGFR4のSNPを導入したノックインマウスについて調べたところ、膵臓β細胞においてのみ、insulin 受容体の機能低下が認められ、その結果、insulinの分泌が過剰になっていたという。FGFR4のSNP変異がSTATの持続的なリン酸化(活性化)を受け、Grb14というアダプター分子の発現を誘導するという。さらに、Grb14は、insulin受容体の関連分子であるIRS-1と拮抗し、insulin受容体の作用を抑制するという。その結果、insulinの産生制御ができずに、過剰のインスリンが分泌されるという。すなわち、FGFR4のSNP(R388)は、インスリン分泌を持続的に高い状態を維持し、乳がん細胞の増殖を刺激する一方、糖尿病の悪化を抑制していることを示している。したがって、臨床的に報告されていた、FGFR4のSNP(R388)が、乳ガンの病態悪化に関与していること、一方、空腹時の低血糖症に関与していることの裏付けとなる分子メカニズムが明らかになったという話。insulin受容体が過剰発現している乳がん細胞を有するがん患者において、insulin投与による糖尿病悪化抑制という早期介入治療は、糖尿病はコントロールできてもガンを悪化させてしまうということも示唆する話。しかし、今回の基礎的な報告は臨床的に本当に意味があるのだろうか!?慎重に扱いたい研究成果であると思う。
投稿情報: 08:11 | 個別ページ
2013年9 月11日 (水)
NHK総合「プロフェッショナル仕事の流儀」
この度、熊本大学薬学部臨床教授の川原尚行先生(NPO法人ロシナンテス・理事長)が下記番組へご出演されます。
記
NHK総合「プロフェッショナル仕事の流儀」
川原尚行先生[2013.9.16放送]をダウンロード
放送日時:2013年9月16日(月)22:00~22:48
番組HP : http://www.nhk.or.jp/professional/schedule/index.html#20130916
投稿情報: 16:09 | 個別ページ
肝臓特異的なNotchシグナル阻害薬が脂肪肝の治療に有用か!?
投稿情報: 08:05 | 個別ページ
2013年9 月 5日 (木)
和食は最高の予防薬
Immunityの6月号からIhorinの紹介。産総研、キッコーマン、日本のその他の大学の総力による研究成果。病原菌にはほとんどなく、乳酸菌内に多く含まれている2本鎖RNAが、腸内の樹状細胞において、TLR3およびTLR9を相加的に活性化して、インターフェロンβを産生させ、大腸炎の予防的効果を示すことを明らかにできたという。乳酸菌特有の健康維持•増進効果が初めて分子レベルで解明されたとも言える。また、乳酸菌の培養法によっても、含まれる2本鎖RNAの量が変動するという。2本鎖RNAは熱に安定であることから、みそ汁や醤油を使った料理でも、若者に多くなった潰瘍性大腸炎の予防にもつながるのではないかなど、様々な推測ができて楽しい研究成果である。和食は素晴らしい。和食に含まれる2本鎖RNAを測定し、カロリー、糖含量を表示するだけでなく、2本鎖RNA含有量も表示するようになる時代が来るかもしれない。ハンバーガーやお菓子をたくさん食べるようになった時代に発症するようになった病気との関係を考えてみても面白い。
投稿情報: 08:54 | 個別ページ
2013年9 月 4日 (水)
新たな糖尿病治療薬の開発につながるか!?
今朝の朝ゼミはNature Med.の8月号から、M2のYukiちゃんが紹介。末梢のカンナビノイド受容体の選択的な抑制薬が2型糖尿病の新たな治療薬として期待できるということを分子メカニズムを明らかにすることで強く示唆している論文。以前、カンナビノイド受容体のCB1のインバースアゴニスト(中枢への移行性がある)が抗糖尿病効果を示すことは報告されていたが、その分子メカニズムは、末梢なのか中枢なのかも含め、よくわかっていなかった。今まで、この受容体に作用する内因性リガンドとして、anandamideや2-arachidonoyl glycerolが知られていた。この論文では、2型糖尿病の病態時に、高グルコースやパルミチン酸刺激により増加したanandamideが、マクロファージに選択的に作用し、NLRP3 inflammasomeを活性化し、サイトカインを賛成し、パラクリン的にβ細胞にアポトーシスを引き起こすという。そして、CB1のインバースアゴニストJD5037(中枢への移行性がない)が体重には影響を与えずに2型糖尿病の様々な症状を改善するという。
過去に2型糖尿病患者にCB1受容体拮抗薬を投与する治療的効果を示すことは知られていたが、中枢作用が現れ、副作用のため開発中止になった経緯があったという。インバースアゴニストは、アンタゴニスト(拮抗薬)とは異なり、単にアゴニストの結合を阻害するのではなく、受容体の活性をさらに抑制する作用を持つものを言う。中枢移行しないインバースアゴニストであるため期待できる。CB1受容体がマクロファージNLRP3 inflammasomeの最上流にあるらしい。2型糖尿研究において、大変重要な知見と思う。
また、本論文で用いている、
CB1R siRNA delivery vehicles composed of β1,3-D-glucan–encapsulated siRNA particles (GeRPs) for 10 d to induce macrophage-specific knockdown of CB1R.
はマクロファージにおける分子の関与を証明するために有用である。
投稿情報: 08:43 | 個別ページ
2013年9 月 3日 (火)
優秀発表賞おめでとう
投稿情報: 20:56 | 個別ページ