2010年5 月20日 (木)
変異型p53とがん転移変異型p53とがん転移
今朝のセミナーは、Rui-chan(薬学科4年)がCellからガンの転移に関わる論文をうまく初プレゼンしてくれた。有名なガン抑制分子であるp53は、約50%のガンで変異があり、loss of functionでのガン化との関わりは良く研究されてきた。一方,変異型p53は、gain of functionによりガンの浸潤,転移に関わることも知られていた.今回の論文では,そのgain of functionのメカニズムを解明したという。変異型p53が同じファミリーのp63に直接結合することにより、p63の転写因子としての作用を抑制し,結果的に、浸潤、転移に重要なインテグリン分子のリサイクリングを間接的に亢進させるという。その結果、インテグリンとそれと共存するEGF受容体が膜上に多く発現し、ガン細胞の浸潤転移を引き起こすという。創薬ターゲットは、変異型p53とp63の相互作用阻害か? また、p63で転写活性化される下流分子が何であるかも興味ある話.