Cellの5月号からMotomu-がプレゼン。mTORC1シグナル経路が転写因子CREB2を介してSIRT4発現を抑制することによってグルタミン補充反応と細胞増殖を促進することを明らかにした論文。グルタミン補充反応とは、TCAサイクルの中間体であるαケトグルタル酸をグルタミンから補い、TCAサイクルを回転させることである。mTORC1依存性の腫瘍形成はSIRT4の活性化によって抑制されることを明らかにしている。解糖系阻害薬Mechlroethamineとグルタミン代謝阻害薬EGCG(エピガロカテキン ガレート)を同時処理により、mTORC1の異常活性化したガンを治療できるという有用性があるという。論文では、Mechlroethamine単独ではガン細胞を殺さない用量で、EGCGを併用するとガン細胞が死ぬという(投与量が数十μMであるが)。ガン細胞では、グルコースの取り込みやグルタミンの取り込みが亢進していることから、この抗ガンアプローチは、正常細胞への副作用が少ないという解釈。in vivoの投与実験があれば良いのだが。mTORCシグナルを抑制するラパマイシンが抗ガン薬として使用されるメカニズムとしても活用できる知見。
2013年5 月30日 (木)
2013年5 月29日 (水)
体内リズム形成メカニズム
今朝のセミナーはCell 2月号からNormanが紹介。概日時計は、CRY1やCRY2を中心とする時計分子が1日の中で、合成されたり、分解されたりして、日内変動を繰り返されることによって、正常な睡眠ー覚醒サイクルやホルモン分泌を生み出している。しかし、これまで、CRYの増減を正確にどう制御しているか、その制御分子は解明されていなかった。この論文によると、FBXL21というユビキチン化酵素が細胞質において、CRYをユビキチン化し、安定化し、12時間かけて細胞質におけるCRYの蓄積を促す。その後、核に移行していった、CRYは12時間かけてFBXL3が崩壊していくという。これによって正確な時を刻むという。米国のグループも同じCell誌に、全く異なるアプローチでFBXL21の関与を証明している。間違いない事実と言っても過言ではない。
FBXL3とFBXL21による概日時計の制御を2人の女性が時計の針を互いに逆方向から押し合っている様子になぞらえたデザインが表紙を飾っている。これもすばらしい。
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2013年5 月28日 (火)
新たなホルモン:インスリン注射に代わる新たな方法か!?
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2013年5 月23日 (木)
ワーファリンに代わり、第Xa因子阻害薬が1st choiceに!?
いわゆる、血液さらさらのために使われる抗凝固薬として、ヘパリン(血中半減期が短い。経口薬ではない)、ワーファリン(治療域が狭く、こまめな投与量調節が必要、食事や併用薬の影響を受けやすい)、第Xa因子阻害薬(直接型と間接型の2種類ある。ワーファリンより効果の発現が早く、かつ、扱いやすい。欠点は出血傾向が出てもその抑制薬はなかったこと)が現在使用されている。現在、ヒト(約5%)で大出血が起こった時に対応できるようになったら、第Xa因子阻害薬が使いやすくなるだろうということであった。今回の論文はNature Med. 4月号から、Taniguchi君が紹介した論文は、第Xa因子阻害薬が効きすぎた時の出血傾向に対して対応できる解毒薬を開発できたということで、第Xa因子阻害薬が使いやすくなるのではという内容。第Xa因子に変異を入れたタンパク質を解毒薬として使えないか検討した。血小板上の細胞膜との結合に必要なアミノ酸残基の欠損(自らは血小板上の細胞膜には結合しない)、活性化ペプチド配列の欠損、Ser419のアラニンへの置換(セリンプロテアーゼ活性を消失することにより、自らはプロトロンビンをトロンビンに変換しない)などの置換を入れたという。第Xa因子阻害薬のトラッパーである。2013年3月に、このタンパク質の臨床試験第1相が終わって、安全性が確かめられている。同様に安定性を上げたタンパク質の臨床試験も本年末には開始されるという。
ワーファリンに代わる1 st チョイスとしてのfXa阻害薬の有用性の向上に繋がる成果である。ただ、ワーファリンは古い薬であり、薬価が安い(50倍も違う)。医療経済的な問題も同時に考慮する必要があるかもしれない。
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2013年5 月22日 (水)
慢性アレルギーのメカ
投稿情報: 08:33 | 個別ページ
2013年5 月21日 (火)
アテローム性動脈硬化症に新たなメカ:その2
昨年の2月にChosa君がマクロファージとアテローム性動脈硬化症との関連の論文を紹介したが,今回は、Nature Med. 5月号から、Yukiちゃんが高コレステロール時に血小板の産生が増え、アテローム性の血栓に関与してくるメカニズムを明らかにした論文を紹介。コレステロールの輸送に関わるトランスポーターは、マクロファージに発現している、ABCA1, ABCG1と骨髄に発現している、ABCG4が存在していることは知られていたが,ABCG4がなぜ骨髄に発現しているのかという疑問に対する答えは全くなかった。
血小板の産生に関わるシグナル系として、TPO(トロンボポエチン)-c-MPL signaling(cMPLはTPOの受容体)が関わっていることは知られていた。巨核球において、ABCG4が欠損すると、高コレステロール時に膜内のコレステロールが蓄積し、その結果、Lyn kinaseが抑制される。すると、c-CBL(c-MPLをユビキチン化し分解を促す)がリン酸化され、c-MPLが分解され、TPOの作用が低下し、血小板の産生は抑制されたという。ゆえに、ABCG4は、細胞内のコレステロールを細胞外のHDLに受け渡し、Lyn Kinaseの活性を維持し、高コレステロール時に血小板が増えすぎないように(アテローム性の血管閉塞を抑制)していることがわかった。本論文には、合成HDL投与が血小板増加症の新規治療薬(動物モデルと末梢血管障害患者)として有用というデータがあるが(ABCG4ノックアウトマウスでは効果は見られない)、慢性疾患には現実的ではない治療法であるという。LYN kinaseの活性化薬が有望かもということも述べている。
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2013年5 月16日 (木)
抗アレルギー薬として知られるアンレキサノクスに抗糖尿病作用が!
Nature Med. 3月号に発表された論文をKouskeが紹介。Amlexanoxは武田薬品が開発した、喘息やアレルギーに対する古い薬であり、現在、米国では口内炎の薬としても使用されている。この論文では、糖尿病モデルマウスにamlexanoxを抗アレルギー作用を示す用量を経口投与すると、様々な効果(抗肥満、脂肪肝の改善、インスリン抵抗性の改善)が認められた。かなりクリアな結果である。臨床試験を至急、始めるという。
Amlezanoxは、TBK1/IKK-εの阻害薬を探索するために、ハイスループットスクリーニングを行って見いだされ、NF-kB経路の中のTBK1のATP結合ドメインを阻害する(構造解析で証明)ことが明らかにされた。
現在はまだ医療用であるが、OTCへのスイッチも考えられているくらい安全性が保証されているという。現在、使われている抗糖尿病薬との効果比較がどうであるかが重要である。従来のものと作用メカニズムが異なるため、治療抵抗性を示す患者に併用する価値はあるかもしれない。マウスでは効くが、ヒトでは効かないことはよくある。武田薬品としての意見が知りたい。とにかく、薬に頼らずに糖尿病や肥満を改善するのが一番である。
本日から、熊本で糖尿病学会が始まった。本日、午後5時より、荒木教授による会頭講演がある。バイオメトロノームの研究成果も発表するという。学生は学会参加費は無料である。1万人以上が参加する大きな学会が熊本で開かれ、かつ、糖尿病に関わる様々な専門家が集まる貴重な機会である。時間を見つけ、積極的に参加してほしい。土曜日は近藤先生もシンポジウムで発表する。企業ブースも見学してほしい。糖尿病学会ならではのブース展示がある。たとえば、低カロリー食品や健康食品、運動器具などの企業展示である。
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2013年5 月15日 (水)
JBC表紙トライーーー
本日は、以下のような悔しいメールがJ.Biol.Chem.からあった。先月、受理された論文内容に関する表紙をトライしたのだが不採択になった。Mol.Cell表紙に続いてと思い、以前と同じSoft Syncとのコラボでチャレンジした。内容を表した、かなり良いデザインと思っていただけに大変残念であった。ということで、せめてこのブログには掲載しておきたいと思います。
JBC/2012/442442
Mild electrical stimulation at 0.1-ms pulse width induces p53 phosphorylation and G2 arrest in human epithelial cells
Dear Dr. Kai:
Thank you for submitting an illustration to be considered for the cover of JBC.
Unfortunately, your illustration was not selected for the cover of the issue in which your paper will appear. We received a number of very nice illustrations such as yours.
We hope that you will again have the opportunity in the near future to submit cover art work.
Sincerely,
Physical stress is known to control cell machinery, which is applicable as physical medicine. Mild electrical stimulation at 0.1-ms pulse width induces p53 phosphorylation and G2 arrest in human epithelial cells. The cover depicts the defined pulse width (the shape of key) of mild electrical current is able to activate p53 pathway (p53 molecule inside the cell) through cell membrane (the hole of key). Artwork was done by Softsync (Kumamoto, Japan). For details see the article by Fukuda et al..
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メトホルミンと腫瘍抑制
投稿情報: 08:29 | 個別ページ