Cellの4月号から。Tomiのプレゼン。
ほとんどの動物の食欲や満腹感による摂食行動は神経ペプチドにより制御されていることはよく知られている。ほ乳類での摂食行動には、中枢性にはNPY、末梢性には、グレリンという神経ペプチドが関与していることが分かっていた。腹減っている時には、食べ物の匂いを敏感に感じる.今回の論文ではショウジョウバエを用いて、嗅球に相当する糸球体における投射ニューロンについて検討したところ、sNPFという神経ペプチドが重要であること、Or42bという単一ニューロンのみが関与すること、さらに、飢餓状態では、体液中のインスリン量が低下し、PI3Kの活性低下によりOr42bにおけるsNPF受容体発現が上昇し、Or42bニューロンのシナプス終末部のsNPF受容体が増加し、sNPFによるpresynapticなポジティブフィードバックにより、共存する興奮性神経伝達物質グルタミン酸の遊離が増加し、food findingに関わる中枢投射神経を活性化するということを明らかにした。タイトル「Presynaptic facilitation by neuropetptide signaling mediates odor-driven food search」においても強調されているように「presynaptic facilitation」が異常な飢餓時にのみ起こるところがポイントであろう。腹が減ったら、匂いに敏感になり、必死に食べ物を探索するメカニズムは末梢のインスリン量が重要であり、良い匂いの料理を嗅ぐと腹が減ってくるときのメカニズムと比較し、考えると興味深い。おいしいと感じる際には7割が匂いによるという。