Cell 9月号から。Sanaちゃんのプレゼン。TET2 (ten-eleven-translocation2:DNA脱メチル化機構において働く酵素)の変異や欠失は造血系腫瘍患者において最も多い変異という。例えば、急性骨髄性白血病患者の約10%、骨髄異形成症候群患者の約30%、慢性骨髄単球性白血病患者 (CMML) の約50%に認められるという。この論文では、DNA脱メチル化を促進させるビタミンCの投与により、TET2欠損CMML病態を改善し、Olaparib (PARP阻害薬)との併用により、白血病の幹細胞の細胞生存率を効果的に低下させるという。ビタミンCはTET2に機能不全があってもTET3を活性化することで補えるという。
PARP: poly ADP ribose polymerase=DNA損傷による一本鎖切断を標的にするBER(塩基除去修復)に重要な酵素であり、PARP阻害薬はDNA損傷修復に異常をきたしたがん細胞(ex. BRCA変異)に特異的に作用する。
投稿情報: 08:07 | 個別ページ
Cell Meta.1月号から。Yuukaちゃんのプレゼン。17βーエストラジオールがミトコンドリア膜の微小粘度を直接的な相互作用で低下させ、骨格筋の機能を改善することを明らかにした論文。閉経後の様々な病態を改善するためにはエストロゲンが重要であることは知られていたが、その作用メカの詳細は明らかになっていなかった。ミトコンドリア膜の微小粘度をin vivoでモニターすることができないので、同定は困難であろう。
投稿情報: 08:34 | 個別ページ
Cell 9月号。リョウコちゃんのプレゼン。この論文では、制御性T細胞とは異なる制御性自然リンパ球 (ILCreg:抗原受容体を持たない)が存在することを初めて明らかにし、腸管の炎症を抑制することを明らかにした。ILCregは抑制性サイトカインであるIL-10, TGF-β1を産生し、炎症に関わる自然リンパ球 (ILC1, ILC3など)の活性化を抑制するという。また、ILCregの発生には、T細胞と同様のId3が必要であることも明らかになった。また、ILCregは TGF-β1のオートクリン作用により、自身の細胞増殖を促すという。T細胞に依存しない腸管炎症はこのメカニズムによるということらしい。
投稿情報: 07:53 | 個別ページ
Cell 9月号から。Junのプレゼン。Type2サイトカインが、感覚神経におけるIL-4RaーJAK1経路を介して慢性的な痒みが引き起こされることを明らかにした論文。慢性的な痒みもつ患者は人口の15%を占めると言われている。炎症性の皮膚疾患の原因は様々である。急性の痒みの原因としてヒスタミンやIL-13などの炎症誘導性メディエーターが関与していることは知られていた。この論文では、感覚神経にIL-4,-13, -31のそれぞれの受容体が存在することをまず見出し、これらのサイトカインは単独で、急性の痒みを引き起こさず、唯一、IL-4と低用量のヒスタミンを併用した時のみ感覚神経を活性化し、慢性的な痒みを起こすことを明らかにした。感覚神経のIL-4Ra受容体をノックアウトすると痒みが起こらないことも明らかにし、さらに、感覚神経のJAK1をノックアウトすることで痒みは抑えられる一方、炎症は抑制されないことも明らかになった。最後に、慢性突発性掻痒症の患者にJAK阻害薬であるTofacitinib(トファシチニブ:武田薬品が販売し、慢性リウマチ薬として認可されている)を経口投与すると劇的に慢性的な痒みを抑制するという臨床的にも重要な知見も得ている。これで、慢性的な痒みにもう悩まされることはなくなるか。JAK阻害薬はずっと飲み続けないといけないのかどうかが気になる。
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