Science 10月号から。マリアムのプレゼン。NMDAによる興奮性毒性などによるDNAダメージはcaspase非依存性の新たなカスケードで、アポトーシスではないParthanatos(パータナトス)という細胞死を起こすという。この細胞死のメカニズムに、PARP1ーPARーAIF-MIFを介するという。MIFが無くAIFだけだとsurvivalになるという。これらの知見は、PARシグナル伝達を抑制することにより、PARP-1活性化後の細胞死を抑制することが可能であることを示しているという。新たな創薬ターゲットになりうるのか。パータナトス虚血性再還流の際にみられるという。PARP-1依存性細胞死をいうらしいが、脳卒中、パーキンソン病、心臓発作、糖尿病等の多くの疾患に発生するという。アポトーシスでもない、ネクローシスでもない細胞死。。。今後の展開は。。
2016年10 月27日 (木)
2016年10 月26日 (水)
腸内細菌の作用メカとAHR
Nature Med. 6月号に連報であった論文を二つ紹介。Teramonのプレゼン。腸内細菌が様々な炎症性疾患と密接に関係していることは多く報告されてきている。一つ目の論文は、炎症性腸疾患の原因遺伝子の一つであるCARD9のノックアウトマウスは大腸炎病態が悪化し、その欠損は腸内細菌叢が増悪するという。そのメカとしてはIL-22の産生低下によるという。さらに、CARD9の低下はAHR活性を低下させ、腸内細菌由来のトリプトファン代謝物Ficz(AHRリガンド)により大腸炎病態を改善するという。興味深いことに、炎症性腸疾患や潰瘍性大腸炎患者のAHR活性ならびにAHRリガンドの量は低下していたという。二つ目の論文は、中枢神経疾患である多発性硬化症と腸内細菌との関係である。アストロサイト活性や中枢における炎症に食事や腸内細菌が関わっているかどうか不明であった。食事中のトリプトファン代謝物がAHRの活性化を介して多発性硬化症の病態が改善したという。さらに、抗菌薬を投与すると乳酸菌が低下し、多発性硬化症の病態の回復は認められなくなるという。実際に多発性硬化症患者において、AHR標的遺伝子Cyp1b1の発現が低下しているとともに、患者血中のAHRリガンドの量もAHR活性も低下していたという。
最近、糞便移植あるいは腸内細菌をターゲットにした方法が潰瘍性大腸炎において効果が認められないという報告もある。今回の研究成果を基にした、腸内細菌ターゲティングのチューニングが、臨床試験における精度を上げ、どのような個人であれば有効であるかなどテーラーメイド医療へと展開するかもしれない。
投稿情報: 08:31 | 個別ページ
2016年10 月22日 (土)
2016年10 月20日 (木)
ERADの残された謎を明らかに
Cellの7月号から。Maruちゃんのプレゼン。小胞体関連分解(ERAD)の残された謎は、分解される基質タンパク質がER内から細胞質へと脂質二重膜をどのような機序を介して通過するかについてであった。通過に関わる候補分子として、Sec61、Derlin、Hrd1が考えられていたが、本論文では、基質のポリユビキチン化ではなく、Hrd1のポリユビキチン化が基質の逆行輸送に重要であることがわかった。すなわち、ERADへ向かう変異タンパク質は、まず、Hrd1と結合した後、Hrd1が自己のRING finger domainをポリユビキチン化することにより、Hrd1がCdc48の力を介して基質を小胞体から細胞質へ引き出すという。この論文の成功のポイントは、ERAD-Lの逆行輸送評価モデルを作製できたところであろう。
投稿情報: 07:51 | 個別ページ
2016年10 月19日 (水)
肺にがんが転移しやすいメカ
Cell 8月号から。Yurippeのプレゼン。T細胞に存在し、酸素をセンシングするprolyl-hydroxylase (PHD)に着目し、このPHDがTh1やiTreg細胞の分化を制御し、酸素が豊富な肺の免疫応答を抑制することで、転移性のがん細胞も受け入れる微小環境を形成していることを明らかにした論文。PHD阻害薬をマウス肺がん転移モデルに投与すると転移、増殖、生存率が劇的に改善したという。ただし、PHDを阻害するとTh1系が活性化できず、原発性のがんは逆に悪化するのではということも考えられ、開発は、慎重に考える必要がある。面白いのは、肺でウイルス感染症が起こりやすいということに、このメカニズムが関与している可能性もあり興味深い。
投稿情報: 08:21 | 個別ページ
2016年10 月13日 (木)
復活
本日の熊日朝刊に記事が掲載されていました。紹介します。
「復活」の響きで熊本地震の犠牲者を悼み、復興を祈念しようと震災1年の来年4月14日、県内の音楽愛好家有志がマーラーの交響曲第2番「復活」の演奏会を開く準備を進めている。九州交響楽団を中心に国内全てのプロオーケストラから奏者が結集するという。かつてないスペシャルオーケストラが演奏。主催者は「復活へ向かう熊本の姿を世界に発信したい」と意気込んでいる。(熊日13日朝刊より)
苦闘や困難を越え、壮大な祈りの歌を全5楽章で奏でるマーラーの「復活」は阪神大震災や東日本大震災の復興祈念でも演奏されているという。
この企画に動いたのは、主催代表者でもある熊本市内の中学校の先生。以前より、熊本にプロオケを創ることを願って活動している一個人であり、私のところにも色々と相談に来ている。その行動力、実践力には感銘を受ける。震災後も避難所などでミニコンサートを仲間と共に開いてきたという。
演奏会は、県立劇場コンサートホールで、来年4月14日午後8時頃開演し、前震が起きた午後9時26分に演奏を終え、黙祷を捧げるという。被災者300人を将来する予定という。復活がどういう曲かはweb上で聴けます。
投稿情報: 09:08 | 個別ページ
2016年10 月 9日 (日)
日本肥満学会
8日は東京で日本肥満学会でした。7日の学部長会議の延長で本学会にも参加しました。初めて学会に参加しましたが、あらゆる疾患の増悪あるいは誘因になりうる肥満であるので、重要な学会であることは認識できました。肥満と肥満症をきちっと使い分けなければいけなく、少なくとも私は肥満であっても肥満症ではないと理解できました。企業ブースにライザップが展示しており、初めて詳細を知ることができました。また、医療従事者用の格安価格があることや医療機関と密に連携して事業を展開していることを初めて知りました。生活習慣病患者を診察しているドクターがライザップを勧めると営業効果は絶大だと感じました。リバウンドが本当に少ないのかどうかなど個人的に色々と興味を持ちました。熊本にも支店ができていました。はて。
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2016年10 月 3日 (月)
2016年10 月 2日 (日)
プラセボとノセボ効果 in 長崎
1,2日と長崎で線維筋痛症に関する国際ワークショップがあり、参加してきた。色々な出会いがあり、有意義であった。線維筋痛症に対する薬の開発における臨床試験の困難さはプラセボでも鎮痛効果がかなり認められるということであった。プラセボで著効例もあり、薬との差が認められないことやリリカの副作用も問題にもなっていた。一方では、実臨床では、薬だけでなく、プラセボ効果も意識した治療対応も行なわれていることを知った。結局は、痛みに苦しむ患者さんが少しでも楽になれば、どんな方法でも良いということ。マウスで有効でも臨床試験における痛みを客観的に評価できる手法が見いだされていないため、臨床試験のドロップ率が高くなっているという。宿泊したホテルが中華街の真ん中でした。
投稿情報: 08:24 | 個別ページ