Nature Med.5月号の表紙を飾った仕事。Science 5月号に2報の論文をまとめてレビュー的に亀ちゃんが紹介。異なるグループからの同様なレベルの高い、しっかりした内容であるため信頼度は極めて高い研究成果である。究極の若返り薬になるのか。若いマウスの血漿を老化マウスに投与すると、CREBを介した作用で、老化に伴う学習能力や記憶力の低下が抑制できるという内容。また、もう一つのグループでは、若い人の血液に多いGDF11を老化マウスに投与すると、GDF11は神経前駆細胞の増加、脳機能の改善、筋幹細胞の増加、筋力低下の抑制。。。。もし、これらの作用が期待できれば、インスリンの自己注射のように、GDF11の日々の投与により、老化が抑制され、老化に伴う慢性疾患がコントロールできる時代が来るかも。色々と夢が膨らむ研究成果である。現在の薬の服用が減り、将来の医療の体制が大きく変貌する可能性がある。この一連の研究成果は、ノーベル賞クラスの研究として評価を受けるのではないだろうか。GDF11の受容体もわかっているため、健康食品のようにそのアゴニストを摂食できれば、老化が抑制でき、高齢化しても若々しく働ける時代が到来し、少子高齢化しても活気ある社会が維持できるのではないだろうか。また、カロリー制限によってGDF11が増えたりしていないだろうか。我々のMET療法により、GDF11が増えたりしていないだろうか。今後の展開が楽しみな研究である。
2014年7 月31日 (木)
2014年7 月25日 (金)
2014年7 月24日 (木)
2014年7 月22日 (火)
今年の研究室旅行
前日の深夜に帰熊し、次の日の朝7時半には研究室旅行に参加。今年のコースは、宇土マリーナから船で、イルカウオッチング、そして、御立岬で泳いだり、釣りをしたりした後、球泉洞のバンガローに向かい、バーベキューと出し物パーティ、一泊して、最高級のうなぎ定食を食べた後、球磨川ラフティングをやって、帰ってきた。夏の研究室旅行で1泊2日は初めての経験。幹事学年の努力により、効率の良い楽しい旅行になったように思う。今回、かなり満足したこと。1)大きなカワハギが釣れ、肝を溶かした醤油でこりこりした上手い刺身が食べれたこと、2)ラフティングがこんなに楽しいものかと思えたこと。恒例の芸は、、、、。これまた初めての経験に近いような内容で、想像にお任せします。一生懸命、練習し、よく頑張っていましたが、聴衆は、ちょっとひいてしまった場面が多かったような。。来年は、下ネタ少なめでお願いします(笑)。以下に私が今、持っている写真を掲載します。集まり次第、選別して追加します。
五和町沖
鍾乳洞
投稿情報: 20:15 | 個別ページ
2014年7 月 8日 (火)
TRPV1と寿命
Cell 5月号にTRPV1のノックアウトが寿命を延長するという論文が発表され、今朝のセミナーでMotomu-が紹介した。慢性的な痛みを抱える高齢者ほど、寿命が短いという疫学的な知見のメカニズムを解明したという論文。多くの論文があり、慢性の痛みがあるヒトが10年寿命が短いともいう。膵β細胞を神経支配しているTRPV1ポジティブDRGニューロンにおいて、TRPV1が侵害刺激や炎症刺激で活性化されると細胞内に流入したCaイオンがCalcineurinを活性化し、CTRC1の脱リン酸化が抑制され、リン酸化CRTC1が核移行する。核移行したCRTC1とCREBが相互作用し、CREB下流遺伝子の発現を上昇させるが、その中でCalca(神経内分泌ペプチドCGRPの前駆体)を上げ、CGRPが膵β細胞におけるインスリン分泌を阻害しているという。その結果が耐糖能低下、エネルギー消費低下に繋がるという。
慢性的な痛みと代謝性疾患がリンク!?
臨床においては、以下のような論文も出ている。
Severe chronic pain is associated with increased 10 year mortality. A cohort record linkage study
Nicola Torrance et al. Eur. J. Pain (2010)
投稿情報: 08:50 | 個別ページ
2014年7 月 3日 (木)
脂肪細胞にマクロファージが滞留するメカ
Nature Med. 4月号から。Normanのプレゼン。高脂肪食肥満マウスならびにヒト肥満者の内臓脂肪においてNetrin-1ならびにその受容体の発現が増加していることがわかり、両分子は脂肪組織中のマクロファージにおいて発現が増加しているという。面白いことに肥満で増加する遊離脂肪酸パルミチン酸が、TNFαやIL-6とともに、この増加に関与し、Netrin-1はM1マクロファージの遊走を阻害し、オートクリン的に脂肪組織中に滞留させていることが明らかにされた。Netrin-1を血球系細胞において欠損させると肥満誘導性の全身性の慢性炎症ならびにインスリン抵抗性が改善することが明らかにされた。肥満から2型糖尿病が誘発される、最も上流のメカニズムが解明されたという話。Netrin-1は、元々、神経伸長のガイダンス因子である。2012年のNature Immunol. (2012年2月16日の本ブログにて紹介)には、Netrin-1が動脈硬化の病巣におけるマクロファージの滞留にも関与することが発表されていた。副作用の可能性の議論は必要であるが、Netrin-1をターゲットにした薬が注目を集める時代がくるかもしれない。
投稿情報: 07:53 | 個別ページ
2014年7 月 2日 (水)
腫瘍内皮バリアとFasL
Nature Med. 5月号から。Okita君のプレゼン。がん組織の血管内皮特異的にFasLが発現しており、ガン免疫の主役であるCD8+T細胞のアポトーシスを誘導し、がん細胞へのアクセスをブロックしているという。腫瘍内の内皮細胞でFasLの発現が上昇しているメカは、がん細胞から分泌されたVEGF、IL10、PGE2(COX1の高発現による)の相乗作用という。この論文では、NSAIDsとVEGF抗体の併用後、あるいは、FasL抗体の処置後、活性化T細胞による免疫療法を実施するとガンに対する生存率が上昇することが明確に示されている。効果としてはNSAIDsとVEGF抗体の併用の方がより有効である。これは、腫瘍血管の増生を抑制するとともに、できてしまった血管の内皮細胞におけるFasLの発現上昇を抑制することによるdual effectによるのであろう。免疫療法をより効果的するためには腫瘍血管の内皮細胞環境を変えないといけないことを示している。下図は、同じ研究グループがCancer Discoveryに発表したreviewから取って来たものである。
投稿情報: 08:31 | 個別ページ