2010年6 月 9日 (水)
腎硬化症とエピジェネティクス
投稿情報: 09:50 | 個別ページ
2010年6 月 8日 (火)
スーダンでの活動
おー!
人生初めての最高に大きな感動を覚えた素晴らしい講演だった。本日、川原氏の活動を初めて知り、自分と、物の見方、考え方に相通じるものがあり、これが自分が求めていた人生の歩み方だったのではと激しく心が動揺した。本当の幸せはどこにあるのか、何であるのか。心の中にしか本当の幸せの源泉はない。川原氏の活動を詩にしたさだまさしが唄う、DVDを見ながら、様々な思いを巡らし、涙を流した。私は、自分が生きてきた50年間を振り返り、様々なシーンを走馬灯のように思い出していた。単に言葉だけでは、表現できないものも行動では表現できる。小さなことをチマチマ考えたり悩んだりせずに。講演が終わってもこれほど心地よい余韻を感じたことはない。
講演の中で紹介された物語。
<ハチドリのひとしずく>
森が燃えていました
森の生きものたちは
われ先にと逃げていきました
でもクリキンディという名のハチドリだけは
いったりきたり
くちばしで水のしずくを
一滴ずつ運んでは
火の上に落としていきます
動物たちがそれを見て
「そんなことをして いったい何になるんだ」
といって笑います
クリキンディはこう答えました
「私は、私にできることをしているだけ」
投稿情報: 20:06 | 個別ページ
新しい骨粗鬆症治療薬
このブログを見てくれている製薬会社の仲間から貴重な情報をもらった。4月28日のブログで紹介した閉経後女性の骨粗鬆症の治療薬の話を受けての最新情報である。骨粗鬆症の必須調節因子で、骨を崩壊する細胞の活性と形成を促進させるRANKリガンドの働きを阻害する完全ヒトモノクローナル抗体がFDAで承認されたという。プロリア(Prolia、一般名denosumab)という商品名(アムジェン社)であり、年2回(1回60mg、825ドル)、皮下注射投与することにより、骨ミネラル濃度(BMD)を上昇させるという。骨粗鬆症治療薬として一般に広く利用されているビスフォスフォネート系製剤と比較して、投与回数が著しく少なくなる。60〜91歳の閉経後女性7,808名を対象とした3年間に渡る二重盲検無作為化プラセボ対照試験でその有効性が確認された。アムジェンは第一三共と日本でのプロリア開発および商業化について提携、ライセンス合意を締結しているという。プロリアは、癌患者の骨転移に伴う骨折や脊髄圧迫の抑制にも使用されるという。日本の患者が恩恵を受ける日は近いか。プロリアに続き、RANKLを受容し、抑制するという受容体osteoprotegerinも同様な効果が期待できるらしい。詳しい情報を得るには、この総説論文(Curr Oncol Rep (2010) 12:80–86)を読んでほしい。
投稿情報: 15:43 | 個別ページ
遊離ポリユビキチンの役割
ウイルス感染の際に、ウイルス由来のRNAをRIG-Iが認識すると、ウイルス複製抑制等、防御的に働くインターフェロンの発現が上がる。この重要なRIG-I分子が活性化する際には自身がK63型ポリユビキチン化修飾が重要であるとNature (2007)で報告されていた。しかし、今朝、Fukuda君が紹介したCell 4月号の論文では、RIG-I分子の直接のポリユビキチン化修飾は関係なく、実は、細胞内に遊離しているK63型ポリユビキチン鎖がRIG-IのCARDドメインの、あるアミノ酸と相互作用し活性化されることを、多くの実験系やデータで証明していた。大変緻密さを感じる素晴らしい論文であった。この研究を遂行するに要した期間はどのくらいだったのだろうか。限られた発表時間に要点を押さえながら精度が高いプレゼンをしたFukuda君も見事だった。
ところで、筑波大で見いだされた、肥満細胞に発現する、アレルギー抑制に関わるアラジンという分子。何となく、既存の抗アレルギー薬の中に、弱いながらも認識し、活性化するものがあるように思う。シャープな作用ではないが肥満細胞の脱顆粒を抑制していた、今までの抗アレルギー薬の多くは作用部位(分子)が明確でない。アラジンに関する一連の研究から良いアイデアが浮かぶかも。
本日、以下の特別講演があります。大変貴重なお話を伺えます。「情熱大陸」などでも活動が紹介されています。
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2010年6 月 4日 (金)
TOEICの筆記
今朝のセミナー時間は先週の残りのTOEICリーディングテスト。英文は難しくないが、答え方に慣れが必要であるのは確か。問題集をくり返しやれば、問題の内容も請求者だったり、クレームの手紙だったりと限られてくるので、慣れてくるのは間違いない。
ところで、現在、私は、熊薬125周年記念事業の一環として「熊薬ものがたり」の編集をやっていますが、熊薬OBから届いた玉稿には、水俣病やソリブジン事件などの原因追及に熊薬OBが深く関わっていたことを示すものがある。今年の10月には発刊するために、時間の合間を見て、出版社とドタバタと打ち合わせ中である。熊薬に関わる昔の熊日新聞記事も入れ込むなど、今までにないタイプの面白い本になる予定。
投稿情報: 09:14 | 個別ページ
2010年6 月 3日 (木)
喫煙による肺気腫発生に関わる因子を同定
Nature Medicineの5月号から喫煙による肺気腫発生のメカニズムについての論文をTomyが紹介してくれた。マスター1年になったばかりでもう8回目の論文紹介である。かなり良い感じになってきた。肺気腫の多くは、喫煙が原因であり、かつ不可逆的な病変のために、何よりも予防(禁煙)が大切である。1日20本以上の喫煙者7人に1人の割合で発症する。今回の論文では、まず、最初のfigで臨床サンプルにおけるRTP801という分子が肺気腫の進行に伴い増加していることが示され、その後、マウスや細胞を用いたデータが提示されていた。RTP801のノックアウトマウスでは、喫煙による肺障害が起こらなかった。RTP801は、免疫抑制薬rapamycinの標的分子mTORを抑制し、炎症反応を増強するという。今後の展開として興味がもたれることは、ヘビースモーカーあるいは50年以上の喫煙でも肺気腫にならなく元気でいる人たちの肺のRTP801の発現量が低いままか、あるいは、SNPsがあるのかなどの知見が発表されてくるかどうかである。
ある大学病院では、分煙から敷地内禁煙、そして、入院患者に対して入院時に喫煙した場合は直ちに退院させるという誓約書を出させるという状況にまでなってきているという。我々の研究室でも禁煙を長らく勧めて全員実践してきたが、ここ数年は、いくら言っても、いくら警告しても喫煙をやめない学生が数名いるのは大変残念である(スモーカーの一人が今朝のセミナーに遅刻した!)。彼らの肺でRTP801の発現が恒常的に増加していないことを祈るばかりである。酸素ボンベに頼る生活を送らないためにも、家族に迷惑をかけないためにも、少ない小遣いを無駄にしないためにも、禁煙してほしい。このホームページを見てほしい。
投稿情報: 16:07 | 個別ページ
2010年6 月 2日 (水)
サリドマイドの催奇形性に関わる分子の同定
MOMOチャンが紹介したのは、今年のサイエンス三月号に掲載された論文。サリドマイドの催奇形性のメカニズムがわかっていなかったが、東工大のグループがサリドマイドを化学的に結合した磁性ビーズを用いて、Cereblonという直接結合する分子を見いだした。Cereblonにサリドマイドが結合することで、あるユビキチンE3リガーゼの活性を抑制し、結果的にFGF8という前肢の伸長に関わる分子の発現を下げているという。Cereblonのサリドマイド結合領域に変異を入れて、かつ、ユビキチンE3リガーゼの活性は影響を受けない分子を強制発現するとサリドマイドによる催奇形性は抑制されてくるという。Cereblonと相互作用せずに、多発性骨髄腫に対する有効性が維持されるような誘導体は可能かどうか今後の展開が楽しみである。
昨日、医薬品医療機器総合機構で活躍されている、熊薬OBの先輩(女性)の特別講義があった。貴重な経験に基づいた多くのためになるお話があった。その講義の中で、医薬品情報のリテラシー能力の重要性が強調されていた。医薬品が市販された後に見つかる有害作用により、一生を台無しにされる場合がある。サリドマイド事件も日本の関係者の医薬品情報のリテラシー能力が高ければ、かなり防げたのだろう。「情報が必要となる時期を知っている人、問題解決にどんな情報が必要か分かる人、必要な情報を見つけられる人、問題を効果的に処理する情報をすぐに評価してまとめることができる人」がインフォメーション リテレートな人だとあった。このような力は、高度な薬剤師(研究者)に求められる能力であるが、リテレートな人になるためには研究の経験が必要であることも言われていた。さまざまな知見の本質を見抜ける力はどこにいっても重要である。また、「ComplianceからConcordanceへ」という、「パートナーシップに基づき、医療者と患者間で医薬品について情報を共有した上で、治療の決定を行ない、そこには患者の知識および意見が充分考慮されること」という上から目線ではない医療の重要性についての話にも共感した。
投稿情報: 09:48 | 個別ページ