2010年6 月 8日 (火)
遊離ポリユビキチンの役割遊離ポリユビキチンの役割
ウイルス感染の際に、ウイルス由来のRNAをRIG-Iが認識すると、ウイルス複製抑制等、防御的に働くインターフェロンの発現が上がる。この重要なRIG-I分子が活性化する際には自身がK63型ポリユビキチン化修飾が重要であるとNature (2007)で報告されていた。しかし、今朝、Fukuda君が紹介したCell 4月号の論文では、RIG-I分子の直接のポリユビキチン化修飾は関係なく、実は、細胞内に遊離しているK63型ポリユビキチン鎖がRIG-IのCARDドメインの、あるアミノ酸と相互作用し活性化されることを、多くの実験系やデータで証明していた。大変緻密さを感じる素晴らしい論文であった。この研究を遂行するに要した期間はどのくらいだったのだろうか。限られた発表時間に要点を押さえながら精度が高いプレゼンをしたFukuda君も見事だった。
ところで、筑波大で見いだされた、肥満細胞に発現する、アレルギー抑制に関わるアラジンという分子。何となく、既存の抗アレルギー薬の中に、弱いながらも認識し、活性化するものがあるように思う。シャープな作用ではないが肥満細胞の脱顆粒を抑制していた、今までの抗アレルギー薬の多くは作用部位(分子)が明確でない。アラジンに関する一連の研究から良いアイデアが浮かぶかも。
本日、以下の特別講演があります。大変貴重なお話を伺えます。「情熱大陸」などでも活動が紹介されています。