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2010年6 月 9日 (水)

腎硬化症とエピジェネティクス

腎硬化症とエピジェネティクス

腎の線維化、すなわち腎の繊維芽細胞の異常増殖をガンという病態と同様な視点で捉え、ガン抑制遺伝子の発現がDNAのメチル化というエピジェネティクスな修飾により抑制されているがごとく、腎硬化症の繊維芽細胞においてもDNAのメチル化により増殖抑制因子の抑制が起こっているのではないかとスタートしたのが、今朝紹介したNature Med. 4月号の論文。臨床サンプルでも動物モデルでもRasal1というRas suppressorの遺伝子がhypermethylationを受けていることをきれいに証明していた。腎臓の慢性的な炎症性障害が腎硬化症をもたらすことを急性障害モデルとの比較でその差異を示し、かつ、脱メチル化薬である5'-azacytidineが治療的に有効であること、このメチル化にはDnmt1が関与していること、TGFbetaの慢性的な刺激が関わること等を明らかにしていた。臨床サンプルのデータが大変クリアカットであった。8回目になるMatsu-Shingoのプレゼンは落ち着いていたが、様々な観点からもっと突っ込んだdiscussができるような準備がやれているともっと良くなると思う。
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