2013年5 月30日 (木)
新たな抗腫瘍アプローチ!?新たな抗腫瘍アプローチ!?
Cellの5月号からMotomu-がプレゼン。mTORC1シグナル経路が転写因子CREB2を介してSIRT4発現を抑制することによってグルタミン補充反応と細胞増殖を促進することを明らかにした論文。グルタミン補充反応とは、TCAサイクルの中間体であるαケトグルタル酸をグルタミンから補い、TCAサイクルを回転させることである。mTORC1依存性の腫瘍形成はSIRT4の活性化によって抑制されることを明らかにしている。解糖系阻害薬Mechlroethamineとグルタミン代謝阻害薬EGCG(エピガロカテキン ガレート)を同時処理により、mTORC1の異常活性化したガンを治療できるという有用性があるという。論文では、Mechlroethamine単独ではガン細胞を殺さない用量で、EGCGを併用するとガン細胞が死ぬという(投与量が数十μMであるが)。ガン細胞では、グルコースの取り込みやグルタミンの取り込みが亢進していることから、この抗ガンアプローチは、正常細胞への副作用が少ないという解釈。in vivoの投与実験があれば良いのだが。mTORCシグナルを抑制するラパマイシンが抗ガン薬として使用されるメカニズムとしても活用できる知見。