2013年5 月15日 (水)
メトホルミンと腫瘍抑制メトホルミンと腫瘍抑制
Cell Metabolismの1月号から薬学科4年のTakapyのプレゼン。腫瘍は低酸素状態でもHIF-1αという転写因子を介して、増殖できる環境を有する。正常酸素状態でも腫瘍細胞はグルコースを活発に取り込み、エネルギー産生非効率的である嫌気的解糖系が亢進しているということがわかっていた。これをWarburg effect(代謝シフト)という。その分子メカニズムは分かっていなかった。本論文において、AMPKがWarburg effectを負に制御していることを明らかにした。そのメカニズムは、AMPKがHIF-1αの発現を翻訳後に抑制することにより、腫瘍成長を抑制するという。すなわち、低酸素状態でも正常酸素状態でもAMPKを活性化することで、HIF-1αを抑制すること(あくまでもHIF-1αが多いガン細胞か?)が重要である。AMPKの活性化剤である薬価の安いメトホルミン(糖尿病治療薬)にガン抑制作用があることは、基礎的にも臨床的にも報告されていた。本研究分野で、Physical Medicineとして開発中のバイオメトロノームにもAMPK活性化作用が認められている。ガン抑制遺伝子であるp53の活性化作用も明らかにして本年J.Biol.Chem.に報告した。腫瘍細胞におけるPhysical Medicineの効果を調べてみる時期にきたのかもしれない。Takapyは、第1回目の朝ゼミであったが、先輩達のフォローがあったにしろ、よく整理された発表であった.今からがスタート。どこまで成長するか楽しみである。