2013年5 月28日 (火)
新たなホルモン:インスリン注射に代わる新たな方法か!?新たなホルモン:インスリン注射に代わる新たな方法か!?
Cell 5月号からOkita君が紹介。膵臓のβ細胞の増殖を制御するホルモン、Betatrophinを発見という話題。1型糖尿病、2型糖尿病に対して、β細胞を増殖させる方法が有用であることは言うまでもなかった。β細胞は発生期、新生児期において自己複製により増殖し、また、インスリン抵抗時にβ細胞の増殖が促進されることが知られていた。本論文では、インスリン受容体アンタゴニストS961を持続的に投与し、インスリン抵抗性マウスを作製し、肝臓において増えてくるmRNAを探索し、3倍増加するbetatrophinに着目した。このホルモンは妊娠マウスや他の糖尿病モデルマウスの肝臓においても高発現している。このホルモンの増殖促進作用はβ細胞特異的で、かつ、過去最強のホルモンであることが重要なポイント。今後、リコンビナントbetatrophinの開発やbetatrophin分泌促進薬の開発が期待される。1-2回/日のインスリン注射が1回/月のbetatrophin注射に代わるのではという話。もし、そうなったら画期的である。この受容体は?ガン細胞等の増殖には影響は無いのであろうか。安全性のデータがもう少しほしいし、数種の病態モデルでの効果についても知りたい。ハーバード大学のホームページでも大きくクローズアップされている。