一昨日、島内君の結婚式が鹿児島でありました。大変、心のこもった披露宴で、サプライズの手紙の連続で感涙続きでした。7年の付き合いの後のゴールインです。お幸せに。
ミトコンドリアストレスは、神経変性疾患、難聴や老化などで起こっているらしい。ミトコンドリア内のタンパク質の恒常性維持のために必要なシグナル伝達系として、ミトコンドリア内のタンパク質のフォールディング異常をHAF-1が感知し、ATFS-1を介して、核内のUPR関連遺伝子を活性化することはわかっていた。今回、Shoさんが紹介したScienceの論文は、ATFS-1には、核移行シグナルだけでなく、ミトコンドリア移行シグナルがあることがわかり、ミトコンドリアストレスが起こると、HAF-1がATFS-1のミトコンドリア移行を抑制し、核移行へ向かわせること、一方、ミトコンドリアストレスが無い状態では、ATFS-1はミトコンドリアに移行し、ミトコンドリア内において、蛋白質分解を受けることがわかった。ATFS-1をノックダウンすると線虫の発生障害を起こし(ミトコンドリアストレスが無い時は、ノックダウンしても影響無い)、ATFS-1はミトコンドリアストレス時に誘導される391遺伝子の制御に関わり、ミトコンドリア機能の維持に重要であるという。
投稿情報: 08:06 | 個別ページ
ついに、掲載です。表紙のデザインは社会的風刺もあり、カバーレターの説明文にその詳細を記載していたのですが、編集部に見事に消されていました。風刺が強すぎたのでしょう(笑)。気持ちは、我々の知見が示したように、細胞でさえ、非常時に備え、幾重ものバックアップ機構が備わっているのに、先の震災の発電所はあらゆることを想定したバックアップ機構をどうして持っていなかったのかということでして、私のデザイン構想をプロのデザイナーに伝え、構成しながら最終的に2案を編集部に送ったところ、そのうちの一つが受理されました。デザインから雰囲気を感じ取って下さい。
表紙の説明から消された風刺文を共同著者のNishitoh先生にお見せしたところ、ナイスなコメントを頂きました。 「是非全文載せて欲しかったです。今回の論文のERサーベイは内腔で行われているように、原発や◯電も内側からその危険をサーベイしてもらわなくてはいけませんよね。でないと国がアポトーシスしてしまいます。 また同じ事を繰り返さないことを願います。」さすがです。
投稿情報: 09:29 | 個別ページ
Nature Med.の6月号から、Okaちゃんの論文紹介。痛みがある糖尿病患者の血液中において、痛みを有さない糖尿病患者に比べメチルグリオキサールが有意に高いこと、痛みがある糖尿病の患者の血液は神経培養細胞をより活性化すること、高血糖によりメチルグリオキサールが末梢神経に蓄積しやすいこと、glyoxalase1(メチルグリオキサールを代謝し不活性化する酵素)阻害薬やglyoxalase1ヘテロ欠損マウスで痛覚過敏が起こること、糖尿病モデルマウスの痛覚過敏がメチルグリオキサール補足ペプチドで抑制されること、メチルグリオキサールが末梢神経に局在するNaチャネルのうちNav1.8の不活性化ゲート(アルギニン残基)を糖化することにより活動電位の発生を起きやすくすることが明らかになった。さらに、痛みを伴う糖尿病患者のNav1.8も糖化されていることが確認されている。かなりしっかりとした信頼度が高い論文である。過去にストレプトゾトシン糖尿病モデルマウスで、侵害受容ニューロンでのglyoxalase1の発現低下と痛覚過敏増強が起こることが報告されていた。いずれにせよ、血糖値を下げるしか手が無い。
投稿情報: 09:13 | 個別ページ
ついに、隣のラボ(山縣先生)の中村先生(筆頭著者)達の研究成果(NIHとの共同研究)がNature誌(7月12日号)に公表されました。熊日の朝刊にも二人の顔写真が掲載されていました。研究成果はNature誌のNews & Viewsにも紹介されていました。すばらしい成果であることの証でもありますね。ポイントは、勝手に名付けると、動的X線解析、あるいは、時間のファクターが入った、4次元的X線解析法(と言って良いかな)を用いて、「酵素の活性変化に伴い、タンパク質の構造が数十秒単位でどう変化していくのかが可視化され、新たな面が見えて来た」ということだと、私なりに解釈しています。News & Viewsには「ーDNAの複製の現場をとらえるー DNAポリメラーゼがかかわる反応経路のいくつかの段階でこの酵素を凍結することにより、一連のX線結晶構造が得られた。これらから、この酵素がDNAを複製する仕組みが示され、その詳しい機構の一部が意外なものであることが明らかにされた。」と記載されています。このような研究が熊薬から発信されて行くことは学生達にも大きな刺激となり、また、10年前のラボの立ち上げから、お互いずっと一緒に共同研究もしながら進んできた仲間の成果は、大変嬉しいですね。中村先生、山縣先生、おめでとうございます。Mol.Cellはいよいよ明日です。表紙の芸術センスと風刺センスに注目。
投稿情報: 09:58 | 個別ページ
Cell Metabolism 2012年2月号からの論文。創薬生命薬科学科3年のMotomu-の初ゼミ。高血糖により糖尿病腎症におけるポドサイトや血管内皮細胞はアポトーシスを起こしている。この高血糖により、これらの細胞においてDrp1のリン酸化がおこりミトコンドリア分裂(ROS産生過剰)が誘導され、このメカニズムにROCK1の活性化が関わっていること(Drp1をリン酸化し、Drp1のミトコンドリアへの移行を促進)を明らかにした論文。ROCK阻害薬であるファスジルにより糖尿病腎症の進行が抑制されることは2008年にDiabetesに報告されていた。糖尿病の症状は改善しないが合併症への進展抑制になるという。ファスジルは日本で生まれた薬(三重大学、旭化成)であるが、経口薬であるのが残念。開発はずいぶん前なので、経口投与可能な阻害薬が開発されていないのか.落ち着いて良いゼミだった。次回は短時間でひとりで準備できるよう期待したい。
投稿情報: 18:19 | 個別ページ
2012年3月のCancer Cellより。創薬生命3年のNomanの初プレゼン。ゲフィチニブ耐性のガン細胞に対して効果を示す薬の開発に繋がる分子の発見。その分子は、肺腺ガン細胞で高発現したROR1というチロシンキナーゼであり、ガン増殖に繋がるシグナルも複数の経路を介していることも明らかにされた。ゲフィチニブに感受性細胞にもROR1の抑制を併用することにより抗ガン効果がより増強するという。ROR1の活性は、キナーゼ活性の抑制で説明できることからキナーゼ阻害薬は有望な抗ガン薬になる可能性が高い。さらに、ROR1はEGFRの活性化機構にも影響する可能性も示唆されており、今後のさらなる検討が楽しみである。セミナーもしっかりと準備をしたものであった。この論文は、抗ガン薬の開発において重要な知見を提供しているのではと思う。この論文が3月に発表された時に、Web上で騒がれた。『肺ガンのアキレス腱を発見」と紹介されたのも納得がいく。国内外の製薬企業は阻害薬を既に所有しているのではーー。
投稿情報: 08:52 | 個別ページ
Cell Meta. 2012年4月号よりの論文。創薬生命3年のOkita君の初ゼミ。以前より知られているパルミチン酸による直接的な膵β細胞の機能障害にくわえ、膵β細胞のTLR4を介してM1マクロファージを誘導し、マクロファージ由来の炎症性サイトカインによる機能障害が起こりうることが証明された。他の脂肪酸ではこのような作用はないという。糖尿病モデルマウスであるdb/dbやKK-Ayでもこのマクロファージを介した炎症が膵β細胞の障害のメカになっているという。パルミチン酸による直接の障害作用よりも今回の間接的な影響の方が大きいというデータになっている。パルミチン酸エチルを静脈内に14時間投与するという特殊なモデルだからこのような結果になったという可能性も否定できないが、いずれにせよ、高脂肪食の食べ放題を毎日やるのはまずいのは確かであろう。落ち着いたセミナーで、ポイントを抑えて質疑ができていた。さらなる成長が楽しみである。それにしても最近の熊本は、断続的な小雨に、時々、ゲリラ的な豪雨があるというような、気持ちがスカッとしない天候が続いている。もういい加減に、梅雨が終わらないかな。日曜日の千葉戦勝利でロ◎ッソの梅雨は明けたのにーーー。
投稿情報: 08:26 | 個別ページ
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