2012年7 月 5日 (木)
糖尿病腎症とROCK糖尿病腎症とROCK
Cell Metabolism 2012年2月号からの論文。創薬生命薬科学科3年のMotomu-の初ゼミ。高血糖により糖尿病腎症におけるポドサイトや血管内皮細胞はアポトーシスを起こしている。この高血糖により、これらの細胞においてDrp1のリン酸化がおこりミトコンドリア分裂(ROS産生過剰)が誘導され、このメカニズムにROCK1の活性化が関わっていること(Drp1をリン酸化し、Drp1のミトコンドリアへの移行を促進)を明らかにした論文。ROCK阻害薬であるファスジルにより糖尿病腎症の進行が抑制されることは2008年にDiabetesに報告されていた。糖尿病の症状は改善しないが合併症への進展抑制になるという。ファスジルは日本で生まれた薬(三重大学、旭化成)であるが、経口薬であるのが残念。開発はずいぶん前なので、経口投与可能な阻害薬が開発されていないのか.落ち着いて良いゼミだった。次回は短時間でひとりで準備できるよう期待したい。