新年度、最初の朝ゼミ。薬学科6年のRUIちゃん。Nature Med.2月号から。腎臓の機能を復活させることができる薬ができるかという話。TGF-β1/BMP7シグナル経路が腎病態において重要であることは知られていた。BMP7をアゴニストとする細胞内シグナル経路は炎症や線維化抑制につながり、TGF-β1をアゴニストとする経路は炎症促進、線維化促進につながるという。今回、BMP7の受容体のうち、腎尿細管上皮細胞において高発現しているBMP receptor activin-like kinase 3 (ALK3)の欠損が腎機能を低下させることを見いだし、ペプチドライブラリーからALK3に対する選択的ペプチドアゴニスト(経口投与もできる?!)も発見している。さらに、このアゴニストが様々な慢性腎臓病モデルに有効であることを明らかにした。ALK3ペプチドアゴニストの副作用や体内動態など気になるところは色々あるが、今後の展開で、small compoundが開発されていけば尿細管病変を改善(腎の再生)することが可能であろう。ただ、糸球体病変は不変であったという。この関連の研究がさらに進展し、透析への移行を抑制するどころか、透析からの離脱も可能であればーーーー。