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2012年4 月19日 (木)

肝臓におけるインスリンの新たな糖代謝メカ

肝臓におけるインスリンの新たな糖代謝メカ

Nature Medicineの3月号から。Okaちゃんのプレゼン。インスリンが肝臓におけるインスリン受容体に作用するとAktが活性化され、転写因子であるFoxo1をリン酸化され、糖新生関連遺伝子発現を抑制することにより血糖値を低下させるという経路がそのメカニズムとして一般に広く認められてきた。今回は、肝臓のAkt-Foxo1経路が必ずしも機能しなくてもインスリンにより糖代謝が改善されるということをクリアに証明した論文。新たなインスリンシグナル経路はAkt非依存的であり、通常Foxo1により抑制されている可能性があるということらしい。肝におけるAkt-Foxo1経路が全く機能しなくても、全身的にみると、インスリンが肝以外の組織に作用し、間接的に肝臓における糖代謝を正常にしている可能性も論じている。この新たなインスリンシグナル経路が通常、どの程度機能しているかがポイントだろう。生体の制御機構は単純ではないですね。研究者は自分たちにとって説明しやすいように単純に解釈し、分かった気になっていることはよくある話。実験で得られる様々な現象を常に新たな気持ちで観察することは大切です。よく知識を得て整理している研究者は、過去の知見を基に、これはこうだと説明し、だからこれ以上実験をする意味は無いと実際に手を動かして実験しないということが多いという。知りすぎても知らなすぎてもダメなのが研究者かな。

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