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2012年4 月26日 (木)

喘息におけるIL-17Aは平滑筋に直接的!?

喘息におけるIL-17Aは平滑筋に直接的!?

喘息の発症におけるIL-17Aの役割を明らかにしたNature Medicine 3月号の論文を薬学科6年のNukyが紹介した。この研究者らは樹状細胞特異的にintegrin αvβ8欠損させたマウスを作製し、様々な炎症・アレルギー症状発症に対する影響を検討している。これまでIL-13, TNFαが気道平滑筋の増強に関与すること、また、そのメカニズムは、IL-13, TNFαが最終的にミオシン軽鎖キナーゼ脱リン酸化酵素をリン酸化により抑制し、AChやヒスタミンの下流のミオシン軽鎖キナーゼを活性化し、筋収縮を増強することがわかっていた。今回は、樹状細胞特異的にintegrin αvβ8欠損させるとTGFβの活性化が抑制され、結果的にTh17細胞の分化が抑制され、IL-17Aの産生が低下することを明らかにした。さらに、IL-17Aが気道平滑筋に作用し、NF-kB経路を活性化し、IL-13, TNFαと同様に、筋収縮増強を起こすことも明らかにしている。今まで,喘息患者の痰や肺洗浄液中のIl-17Aが高濃度に存在し、かつ、IL-17Aの好中球の遊走が促進され炎症を悪化し、気道過敏性を増強していることが言われていた.今回の論文で、IL-17Aは炎症の増強ではなく、平滑筋直接的に作用し、気道過敏性を増強していたことが明らかになった。IL-17Aは、ヒトの気道平滑筋でも気道過敏性を直接誘発している。治療薬としては、integrin αvβ8をターゲットにする吸入薬ということになるのだろうが、実現性という観点から、樹状細胞特異的にintegrin αvβ8欠損させたヘテロマウスのデータが知りたい。

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