2016年7 月26日 (火)
寒冷刺激が皮下脂肪を減らすメカ:パート2寒冷刺激が皮下脂肪を減らすメカ:パート2
Cell 7月号から。Misatoちゃんのプレゼン。昨年の9月10日の朝ゼミ「寒冷刺激が皮下脂肪を減らすメカ」では、寒冷刺激による白色脂肪細胞におけるアディポネクチンの発現を上昇させ、M2マクロファージを介して、ベージュ細胞を増加させ、白色脂肪細胞を減らすという話があった。今回はそれとは異なるメカニズムの話。寒冷刺激により、白色脂肪細胞からベージュ脂肪細胞に分化することは知られていた。白色脂肪細胞は内分泌器官として機能するが、ベージュ細胞や褐色脂肪細胞から内分泌機能については知られていなかった。寒冷刺激後のベージュ細胞や褐色脂肪細胞において発現する(UCP1により制御される)遺伝子を調べたところ、PM20D1を見いだしたという。このPM20D1は高発現させるとエネルギー消費を増大させ、UCP1非依存的なメカニズムが関与していることが明らかになった。さらに詳細に検討した結果、PM20D1はほ乳類M20ペプチダーゼファミリーの一種であり、PM20D1が生体内におけるN-アシルアミノ酸の合成酵素および分解酵素としての性質を持ちうることが明らかになった。N-アシルアミノ酸はUCP1非依存的な内在性の脱共役剤として働くという。N-アシルアミノ酸はミトコンドリア内膜タンパク質であるプロトンの内膜透過トランスポーターSLC25ファミリーなどに直接結合して作用しているという。アシル基の長さも最適な範囲があり、また、アミノ酸側もある程度疎水性であることが重要等、色々な条件が必要であるという。とにかく、ベージュ脂肪細胞や褐色脂肪細胞から産生されたPM20D1は白色脂肪細胞に作用し、N-アシルアミノ酸の産生により、UCP-1非依存的なミトコンドリア脱共役を介してエネルギー恒常性を調節しているという。