昨日、今日と首藤先生が実行委員長の表記のシンポジウムが薬学部で開催され、約180名の参加者で活発な議論がなされた。本日のランチョンでは、OBの関君が、学生達へのメッセージと共にSTAP問題についての話をしてくれた。大変明快な講演であり、今から研究者を目指す者およびラボを運営する者にとって有意義であったと思う。運営スタッフとして、研究室のメンバーが奮闘しており、首藤先生を中心にきちっとした学会運営がなされていた。今年の春の薬学会の運営経験も活かされたのであろう。本当にお疲れさまでした。本シンポジウムでは、本研究室を代表するかのようにNomanが優秀ポスター発表賞を受賞した。おめでとう。
2014年11 月16日 (日)
2014年11 月14日 (金)
論文受理 初の線虫論文
EBIOMEDICINEに続き、PLOS ONEから論文受理のメールが来ました。マツシンの博士論文に関する主論文。EBIOMEDICINEの報告にもある、ヒトでも認められている特定パルス微弱電流によるAMPKの活性化を線虫を用いて、そのメカニズムをクリアカットに証明した内容である。本研究室に線虫の系を立ち上げたのは5年前?。Yano君からスタートし、今ようやく形にして、公表できるようになりました。メカニズムをクリアカットに証明するためだけでなく、研究費が乏しくなった時の頼み綱にもなることも期待して、立ち上げたのだが、線虫を用いた薬理学的な研究は色々な意味で大変面白い。いつの日か線虫ラボと言われる日が来るのか(笑)。
投稿情報: 08:33 | 個別ページ
2014年11 月13日 (木)
臨床試験論文受理
ついに、特定パルス微弱電流と温熱併用療法の臨床試験の論文が公表されました。待ち待った論文です。以下に、プレス発表として流しました資料を添付します。今朝、熊日新聞(これまでの経緯を良く知る)が真っ先に取り上げてくれました。
日本発:肥満2型糖尿病に対する新規医療機器の臨床的有用性を証明
~薬を用いない、あるいは併用による新たな医療の提案へ~
熊本大学大学院生命科学研究部代謝内科学分野の近藤龍也助教、荒木栄一教授らは、同大薬学部遺伝子機能応用学分野の甲斐広文教授らと共に開発してきた日本発の医療機器(今後、薬事申請、上市予定)の有用性を、メタボリックシンドロームおよび肥満 2 型糖尿病患者を対象にした臨床試験にて証明しました。
本医療機器は、医薬品開発と同様の基礎研究によって、最適化された物理的刺激(温熱とパルス微弱電流の同時処置)を活用したものであり、その作用メカニズム等が分子レベルで証明されてきた極めてユニークな医療機器です。現在、地元の中小企業(つちやゴム)ならびに国内の医療機器メーカーと密に連携を取りつつ、開発が進められています。本医療機器は、経済産業省 医工連携事業化推進事業(平成 24 年度〜平成 26 年度)のプロジェクトとしても委託を受けて います。
本臨床研究により、糖尿病の予防あるいは治療にも有効であることを明らかにしただけでなく、現在、糖尿病治療薬を服用しているが、効果が不十分な患者に併用しても有用であったことが大きなポイントです。また、過体重や高齢のために運動療法が困難な状況の患者に対しても、適切な治療が可能となります。
本研究は、2014 年 11 月 11 日に『EBioMedicine』オンライン版に、受理論文として公表されました。『EBioMedicine』は Cell Press & The Lancet が編集プロセスをサポートし、トランスレーショナル研究成果を掲載する新規ジャーナルです。
さらに当該論文に対して、温熱療法の世界的権威である Phillip. L Hooper 先生から同誌上にコメンタリー(DOI: 10.1016/j.ebiom.2014.11.006 URL: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352396414000309) を頂きました。
<本研究のポイント>
-
この臨床研究は、メタボリックシンドローム該当者や 2 型糖尿病患者を対象に、最適化された微弱電流と温熱刺激の併用治療を施行したものである。
-
この新規物理的治療法は、対象者の内臓脂肪を減少させ、血糖値・耐糖能・インスリン抵抗性を改善、さらに慢性炎症状態を抑制した。
-
この治療法は、生活習慣病治療に対して新たな価値ある選択肢を提供するものである。
<論文名>“Mild electrical stimulation with heat shock reduces visceral adiposity and improves metabolic abnormalities in subjects with metabolic syndrome or type 2 diabetes: Randomized crossover trials”
(微弱電流と温熱刺激の併用は、メタボリックシンドロームや 2 型糖尿病に対して内臓脂肪を減少させ、代謝異常を改善する:無作為化クロスオーバー介入試験)
<電子ジャーナル: EBioMedicine>
DOI: 10.1016/j.ebiom.2014.11.001
URL: http://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S2352396414000255
<著者名> 近藤龍也、小野薫、北野さやか、松山利奈、後藤理英子、川崎修二、井形元維、河島淳司、 本島寛之、松村剛、荒木栄一(熊本大学大学院生命科学研究部(医学系)代謝内科学分野) Mary Ann uico、甲斐広文(熊本大学生命科学研究部(薬学系)遺伝子機能応用学分野)
<研究の背景>
1962 年、Ritossa らによる温熱刺激が生体の遺伝子発現を制御する発見に端を発し、熱ショック応答経路(HSR: heat shock response)が生体防御や環境適応に重要な役割を果たしていることが示されてきた。1999 年には New England Journal of Medicine 誌に Hooper らが適切な 温熱療法が糖尿病患者の代謝異常改善に寄与することを報告し、その後、糖尿病患者では HSR によって特異的に誘導されるタンパク質である HSP(heat shock protein)72 が低下しており、種々 の方法で HSP72 の発現回復を行うと糖代謝異常が改善することが示されてきた。
筆者らは、最適化された微弱パルス電流(MES)と温熱(HS)の併用が、HSP72を効果的に発現増強させ、糖尿病モデル動物の血糖値を低下、耐糖能およびインスリン抵抗性を改善し、内臓脂肪と肝脂肪沈着を減少させ、インスリン感受性を増強させることを報告した(PLoS ONE. 2008)。また MES+HS により、インスリン分泌低下型糖尿病モデルにおいて、インスリンを合成・分泌する細胞である膵β細胞の保護効果も示した(Diabetes. 2012)。さらに、本研究で用いた微弱パルス電流には、HSP 以外にも影響する作用があることも明らかにしてきた(J. Biol. Chem. 2013)。これらの基礎研究にて HSR 活性化など、MES+HS により引き起こされる生体防御機構が、糖尿病の重要な治療標的であることが明らかとなった。
<研究の内容>
上記、基礎研究を踏まえて、健常人での安全性試験を経て、本研究では 40 例のメタボリックシンドローム該当者と 40 例の肥満 2 型糖尿病患者を対象に、臨床試験を行った。臨床試験では被験者を無作為に抽出し比較する、非盲検無作為クロスオーバー介入試験を施行した。42°Cの温熱刺激に加え、特殊パルス直流電流刺激(1.4 ± 0.1V/cm、持続時間 0.1 ミリ秒、55 パルス/秒)を、週に 4 回、1 回あたり 60 分で腹部にパッドを用いて施行した。機材に関しては、つちやゴム(株)より貸与いただいた。その結果、メタボリックシンドロームでも 2 型糖尿病でもほぼ同様に、内臓脂肪減少・耐糖能改善・インスリン抵抗性改善などの臨床的有効性を確認した。血液検査において糖尿病管理の指標として用いられる HbA1c に関しては、2013 年採択された【くまもと宣言】にて糖尿病における血糖コントロール指標として HbA1c 7.0%未満が提示されている。本研究における HbA1c 7.0%未満の達成率は MES+HS 治療により 52.5%に達した。体内の炎症反応を促す炎症性サイトカインの値も MES+HS 治療により低下が認められた。また末梢血単球を単離し、炎症シグナルを制御する NF-κB の核への移行を検討すると MES+HS 治療により、明らかに NF-κB の核移行が抑制されており、炎症性サイトカインの mRNA 発現低下も確認された。さらにインスリン抵抗性を改善する酵素、AMPK の活性化も観察されることから、HSP72 の発現増強と合わせて、MES+HS 治療は運動療法に極めて類似し た効果をもたらすと考えられ、幅広い糖尿病患者、とくに過体重や高齢化などで運動療法の施行が困難な状況においても適切な治療が行える新しい選択肢となりうることが示された。
投稿情報: 13:40 | 個別ページ
老化に伴う筋萎縮に対する創薬戦略
Nature Med. 10月号から。Okitaの10回目のプレゼン。老化に伴い、筋衛星細胞(成長時、骨格筋損傷時における骨格筋の増大、再生に重要な役割を担う、骨格筋の基となる細胞)の数が減少し、筋再生能が低下することは知られていた。このメカニズムを明らかにすることが、高齢者のQOLの向上や筋萎縮性疾患の改善に繋がる。本論文では、マウスの年齢の増加に伴い、筋衛星細胞において、JAK-STATシグナルの過剰な活性化が認められ、JAK-STAT阻害薬の投与により、筋繊維の直径が増大したり、筋衛星細胞数の増加があったという。JAK-STATの活性化は慢性炎症により起こることから、老化に伴う慢性炎症を抑制する手段があれば、筋力低下も抑制できるのかもしれない。高齢者の適度な運動療法がQOL向上に有用であるメカニズムかもしれない。JAK-STATを完全に阻害すると筋分化は抑制されるため、適度な阻害が重要ということは同じ号の本雑誌のLETTERSに掲載されているという。本研究室で研究している医療機器の応用という観点から大変興味深い。また、抗がん薬として期待されるJAK-STAT阻害薬を投与されている患者においてこの作用が認められているかどうかが気になるが、年齢に伴う筋萎縮を臨床的に評価する(画像評価はできるが)ことは、様々な影響により個人差が大きく難しいかもしれない。筋ジストロフィーのモデルマウスでも有用という知見があるので、そういった方向からの開発は期待できるだろう。
投稿情報: 08:11 | 個別ページ
2014年11 月12日 (水)
熊薬の同級生の活躍
熊本大学薬学部で青春時代を一緒に謳歌した仲間達の活躍は嬉しいものである。
今日、同級生のKikuchi氏が訪ねてきた。現在、大手製薬企業の部長、兼、子会社の取締役。これまで、多くのプロジェクトを提案、展開し、大きな成功を収めてきた。その実績は凄まじい。最近、産經新聞にも活躍の様子が掲載された。 産経新聞、20141105をダウンロード
彼は、趣味のゴルフでも全国の社会人大会で上位入賞するレベルであり、新聞にも紹介されているという。仕事と私生活の切り替えが素晴らしい、私の自慢の同級生である。学生の頃は、入学時から本当に色々と一緒に青春を謳歌しあった仲間である。思い出は沢山ありすぎるが、ひとつだけ紹介すると、私のアパートの部屋で、一緒に定期試験勉強をして、ほとんど徹夜になり、二人とも眠り込んでしまい、起きたら、もう10時前。1限目の試験終了は10時10分。黒髪から薬学部まで自転車?でダッシュし、試験終了数分前に到着。名前だけ書いて終了。それでも当時の先生方は優しかった。日改め、追試で受け直した記憶がある。ここでは、紹介できないことも多いが、本当に懐かしい思い出が色々と蘇ってくる。そのような同級生の活躍は自分のことのように嬉しいものである。
投稿情報: 17:18 | 個別ページ
中枢性に肥満を改善する新たなメカ
Cell Metabolism 9月号から。Yoshioのプレゼン。昨日に続き、プロピオメラノコルチン(POMC)と肥満の話。肥満等の刺激が、視床下部の弓状核のPOMCニューロンにおいて、小胞体ストレスを誘導し、POMCニューロンにおけるインスリン抵抗性やレプチンシグナルを抑制した結果、何らかのメカニズムを介して末梢における糖代謝異常を引き起こすという。この論文は、スプライスされたXbp1sをPOMCニューロンに増加させることにより、改善できるという。Xbp1sはERストレスでも増えるので???
投稿情報: 08:23 | 個別ページ
2014年11 月11日 (火)
肥満と老化による中枢のTGFβの過剰産生が
Nature Med.9月号から。マリアムのプレゼン。肥満や老化によりアストロサイトからTGFβが産生される。その結果、視床下部などにあるプロオピオメラノコルチン(POMC)産生(神経)細胞のTGFβ受容体が刺激を受け、RNAストレスが誘導され、IkBαのRNA量が低下し、NFkB系が活性化されるという。TGFβを視床下部に投与すると肥満誘導性の耐糖能障害やインスリン抵抗性を示すという。POMC産生細胞特異的にTGFβ受容体をノックアウトすると肥満誘導性の耐糖能障害やインスリン抵抗性を改善できるという。高齢マウスをカロリー制限をすると視床下部におけるTGFβ発現が低下するという。NFkBの活性化に関わる上流因子であるTLR4やMyD88、IKKなどは関係なく、RNAストレス顆粒の形成によりIkBαのmRNAの分解が促されるというメカニズムであったというのも面白い点である。2型糖尿病とアルツハイマー病発症との連関も示唆され、興味ある論文である。日本語もパーフェクト。多くの日本人学生以上、すごいですね。
投稿情報: 08:33 | 個別ページ
2014年11 月 3日 (月)
ENPO Journal受理
恒例になりました、54歳での遠歩。幸いにも雨も無く、順調。阿蘇の草千里の駐車場もそれほど寒くなく。昨年と同様、元気のよい本学体育系サークルと混じり、スタートラインの先頭に並ぶ。スタートの合図と共に、最初ののぼり坂はダッシュ。が、、、、。私だけ。最高齢の私だけがダッシュで先頭?先導する主催者の自転車に並びながら走り、振り返ると若者が来ない。。100mくらい行ったところで、じわりじわりと追い抜かれる。下り坂に入り、まあまあ順調。ただ、昨年と違い、何となく違和感が。そう、昨年より積み上げられてきた腹部の5kgアップの自然ダンベルが腰のひねりを抑制している。例年の走り方と違い、仕方なく、膝を前に進めながら走っていると次第に太ももに張りが出てくる。それでも、昨年通り、山下り16kmは1時間半。30位くらい。それから、次のチェックポイントまでも昨年通りで、40位くらいか。しかし、立野に行き着くまでに様々なところに異変が起こる。辛いのは太ももの筋肉痛とひどい股擦れと親指の爪の痛み。ここで時間をロスし、研究室の学生達にごぼう抜かれ。その後は、走ろうにも太ももが上がらず、歩いたり走ったり。しかし、午前7時前に原水チェックポイントの先でJono家の応援を受け、再び、ランニング開始。何が何でも9時には着くと決め、ひたすら根性で足を運んだ。最後のチェックポイントで、Noguchi親子の応援を受け、最後の5kmはほぼ走り通し、9時フラットに赤門にゴール。家に戻り、色々な傷がしみるが、風呂に入り、バタンキュー。翌日は、参加賞のタオルを持ってラガーのマスターのお見舞いに。今回のENPO Journalの受理には苦労した。。
ゴール後、ぜんざい食べてホッと一息。
Jono家の差し入れのカップヌードル(42km過ぎ?)
その後、辛そうな後ろ姿を盗撮される。
ただ、それからは、再度、走り始めた。
ラガーマンも再起に向け、頑張って走り続けている。
投稿情報: 10:40 | 個別ページ