2013年9 月 4日 (水)
新たな糖尿病治療薬の開発につながるか!?新たな糖尿病治療薬の開発につながるか!?
今朝の朝ゼミはNature Med.の8月号から、M2のYukiちゃんが紹介。末梢のカンナビノイド受容体の選択的な抑制薬が2型糖尿病の新たな治療薬として期待できるということを分子メカニズムを明らかにすることで強く示唆している論文。以前、カンナビノイド受容体のCB1のインバースアゴニスト(中枢への移行性がある)が抗糖尿病効果を示すことは報告されていたが、その分子メカニズムは、末梢なのか中枢なのかも含め、よくわかっていなかった。今まで、この受容体に作用する内因性リガンドとして、anandamideや2-arachidonoyl glycerolが知られていた。この論文では、2型糖尿病の病態時に、高グルコースやパルミチン酸刺激により増加したanandamideが、マクロファージに選択的に作用し、NLRP3 inflammasomeを活性化し、サイトカインを賛成し、パラクリン的にβ細胞にアポトーシスを引き起こすという。そして、CB1のインバースアゴニストJD5037(中枢への移行性がない)が体重には影響を与えずに2型糖尿病の様々な症状を改善するという。
過去に2型糖尿病患者にCB1受容体拮抗薬を投与する治療的効果を示すことは知られていたが、中枢作用が現れ、副作用のため開発中止になった経緯があったという。インバースアゴニストは、アンタゴニスト(拮抗薬)とは異なり、単にアゴニストの結合を阻害するのではなく、受容体の活性をさらに抑制する作用を持つものを言う。中枢移行しないインバースアゴニストであるため期待できる。CB1受容体がマクロファージNLRP3 inflammasomeの最上流にあるらしい。2型糖尿研究において、大変重要な知見と思う。
また、本論文で用いている、
CB1R siRNA delivery vehicles composed of β1,3-D-glucan–encapsulated siRNA particles (GeRPs) for 10 d to induce macrophage-specific knockdown of CB1R.
はマクロファージにおける分子の関与を証明するために有用である。