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2011年5 月24日 (火)

LIGHTな気道リモデリング

LIGHTな気道リモデリング

本日の朝のトピックは、Nature Medicine 5月号から喘息の重篤化に関わる気道リモデリングにLIGHT(TNFスーパーファミリーに属するサイトカインの一種)が主に関与していることをマウスで証明したという論文。発表者は創薬生命薬科学科4年のYukiちゃん。気道モデリングは慢性炎症により気道壁が肥厚し、不可逆的な狭窄状態を引き起こすことを指し、喘息の重篤化と密接に関係し、吸入ステロイド等は有効ではないことから新たな創薬ターゲットが求められてきている。LIGHTは活性化されたリンパ球上に発現し、それを受容する受容体は上皮細胞やストローマ細胞に発現しているという。この論文では2種類の喘息モデルにおいてノックアウトマウス等によりLIGHTが気道リモデリングの病態を引き起こし、そのメカニズムには、肺胞マクロファージからのTGF-βと好酸球からのIL-13の産生増加によることを示している。肺胞マクロファージと好酸球における受容体が異なることから、LIGHT(リガンド)のブロックする遊離型の受容体を用いれば、症状が改善できるが、他のリンホトキシンの作用をブロックするため、現時点では、LIGHTのモノクローナル抗体しかないか。論文の実験プロトコールからすると、予防的というより、治療的(増悪化)に効くことが予想される。ただし、腹腔内への頻回投与の効果である。過去の臨床報告において、LIGHTの病態との関与が示唆されており、今後、この論文発表を端緒に、臨床における裏付けデータがさらに増えてくることを期待したい.

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