Nature 3月号から。Yurippeのプレゼン。骨は内分泌器官でもあり、これまで、2種類のホルモン(FGF23, osteocalcin)を分泌することが知られていた。本論文では、第3のホルモンとして、lipocalin2があり、これが食欲抑制に関わっていることが明らかにされた。その作用機序としては、膵β細胞に直接作用し、β細胞数の増加やインスリン産生、糖代謝亢進などを及ぼすだけでなく、lipocalin2は血液脳関門を通り、視床下部脳室周辺核のメラノコルチン4受容体に作用し、摂食を抑制することが明らかにされた。lipocalin2は脂肪からも産生されることは知られていたが、今回の検討により、脂肪由来は重要ではなく、骨芽細胞由来が重要であることが明確に証明された。あくまでも想定であるが、閉経後に骨粗鬆症へと向かうと、骨由来のlipocalin2量が減り、その結果、食欲が増し、腰回りに脂肪が貯まってくると、その脂肪由来のlipocalin2が代替的に増えることになり、結果的に、摂食の制御が正常化されるのかもしれない。色々と考えさせられる。面白い。ナイスプレゼン。
投稿情報: 09:30 | 個別ページ
Cell Rep. 3月号から。Kojiharuのプレゼン。細胞老化の制御機構は重要な研究分野となっている。本論文では、繊維芽細胞に発現しているインテグリンαvβ3がTGFβ経路非依存的、p53/p21経路依存的に老化を誘導しうること、さらに、インテグリンβ3の発現は、TGFβの産生を促し、オートクリン、パラクリン的にTGFβ受容体を介して老化を誘導することも明らかにしている。インテグリンβ3の発現はヒトおよびマウスにおいて、老化と共に増加すること、若いヒト由来の繊維芽細胞にインテグリンβ3を発現させると老化が促進されるということ等も明らかにしている。何となくデータの質に疑問があるが、皮膚の繊維芽細胞の老化も同様に考えることができれば、化粧品のターゲット分子として面白いかもしれない。ナイスプレゼン。
投稿情報: 08:22 | 個別ページ
Nature Med. 1月号から。Taiseiのプレゼン。成人白血病の長期生存率(5年以上)は40から50%(治療計画等により異なる)であり、長期の抗がん薬の使用による副作用も問題であるという。小児の急性リンパ性白血病には既存の治療法により90%に効果を示す。この論文は、絶食(食事制限療法、1日おきに絶食を数サイクル行なうだけ)が成人急性リンパ性白血病に有用であることを示し、その作用メカニズムにレプチン受容体の発現増加が関わっているという。このレプチン受容体の発現増加がB細胞、T細胞の分化を促進し、急性リンパ性白血病を改善するという。レプチン受容体の下流にあるPRDM1(B細胞、T細胞の分化に関与する転写因子であり、リンパ系悪性腫瘍におけるがん抑制遺伝子)の発現上昇が重要であるという。これまで、絶食のサイクルが腫瘍の成長を抑制し、化学療法に対する感受性を高めるということ、絶食模擬食によりT細胞の抗腫瘍活性が上昇するということが報告されていた。本論文では、急性白血病患者2023名について調べ、急性リンパ性白血病患者由来の細胞におけるレプチン受容体発現が健常者由来の正常細胞より低下していることも明らかにされている。絶食でもレプチン耐性が起こらないか次第であるが、臨床的にすぐにでも検討可能であり、今後の展開が楽しみである。
投稿情報: 08:06 | 個別ページ
Cell 3月号から。Misaki ちゃんのプレゼン。老化した細胞の除去が健康寿命を延長させることできるのではということは、以前報告されていた。本論文では、細胞老化の制御因子として、FOXO4に注目し検討した。FOXO4が老化細胞をアポトーシスを促進すること、p53とFOXO4との相互作用により、アポトーシスを抑制することも知られていたため、本論文では、この相互作用を抑制するD-retro inverso修飾したFOXO4のペプチド(FOXO4のp53結合領域を逆から読んだアミノ酸配列を含む)を作成し、in vitro, in vivoで投与したところ、老化細胞選択的にp53依存的なアポトーシスを誘導し、老化に伴う症状を改善したという。腹腔内投与であるが、単回でも効果が出るらしい。たとえば、インフルエンザワクチンを年に1回注射するように、このFOXO4-DRIを60歳以降の誕生日に注射をすると健康寿命が延長するかもしれない。脳への移行性は不明であるが、少なくとも老化した末梢組織のリセットに有効であるかもしれない。気になる点は、老化した細胞が共存する状況で恒常性が維持された体において、急に、老化細胞がなくなると、発熱等、何らかの体調不良が起こる可能性はないのだろうか。ただ、その副作用があったとしても一過性だろう。将来、これが普及すると、高齢者の医療費削減に大きく貢献するかもしれない。面白い。
投稿情報: 08:24 | 個別ページ
Nature Med. 2月号から。Shota君のプレゼン。2型糖尿病において骨格筋はインスリン抵抗性を示し、骨格筋におけるMetabolic inflexibility(摂食後の糖利用効率が低下など、代謝の切り替え異常)の改善が2型糖尿病に繋がることは期待されていた。末梢組織における代謝は、概日リズムと相関を示し、概日リズムの異常はMetabolic inflexibilityと関連しており、そのメカニズムには、HDAC3が関与していることは著者らは見いだしていたが、今回の論文において、筋肉におけるHDAC3のノックアウトは、運動時における糖利用率は低下し、代謝関連遺伝子の発現が変化すること、HDAC3は概日核内受容体Rev-erbを介して代謝関連遺伝子の発現変動を制御していることが明らかにされた。
投稿情報: 08:02 | 個別ページ
Cell 2月号から。M1の今井君のプレゼン。インスリン産生する膵β細胞の再生は、特に1型糖尿病に対して有効であることは言うまでもない。過去に本論文の著者らは、絶食を模した低カロリー低タンパク質食(FMD)を開発し、老齢マウスや健常人に与えたところ、膵β細胞の再生を示唆する良好な結果が得られたことから、本論文では、膵β細胞の再生という観点から膵β細胞の破壊による1型糖尿病病態を用いて、FMDの効果を調べている。その結果、FMDにより、病態モデルの膵β細胞を再生すること、膵発生時に重要であるNeurogenin3が、内分泌前駆細胞において発現が増加し、膵β細胞の分化が促進されることがわかった。1型糖尿病患者から得た膵細胞においても、短期の低栄養メディウム処置によりNeurogenin3の発現が増加し、膵β細胞の再生が認められたという。人の場合は、1日あたり、1日目は、約1100キロカロリー、2日目から5日までは、約700キロカロリーを月1回を実施し、その際の内訳は、タンパク質が約10%、脂肪45%、炭水化物45%であり、1日目の食事にはオリーブオイルが多いという感じである。バランスを考えた食になっている。まるで、月に1回の軽い断食を行なうようなイメージである。興味ある人は論文を読んでほしい。
投稿情報: 08:29 | 個別ページ
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