2017年4 月18日 (火)
老化をリセットする薬が!?老化をリセットする薬が!?
Cell 3月号から。Misaki ちゃんのプレゼン。老化した細胞の除去が健康寿命を延長させることできるのではということは、以前報告されていた。本論文では、細胞老化の制御因子として、FOXO4に注目し検討した。FOXO4が老化細胞をアポトーシスを促進すること、p53とFOXO4との相互作用により、アポトーシスを抑制することも知られていたため、本論文では、この相互作用を抑制するD-retro inverso修飾したFOXO4のペプチド(FOXO4のp53結合領域を逆から読んだアミノ酸配列を含む)を作成し、in vitro, in vivoで投与したところ、老化細胞選択的にp53依存的なアポトーシスを誘導し、老化に伴う症状を改善したという。腹腔内投与であるが、単回でも効果が出るらしい。たとえば、インフルエンザワクチンを年に1回注射するように、このFOXO4-DRIを60歳以降の誕生日に注射をすると健康寿命が延長するかもしれない。脳への移行性は不明であるが、少なくとも老化した末梢組織のリセットに有効であるかもしれない。気になる点は、老化した細胞が共存する状況で恒常性が維持された体において、急に、老化細胞がなくなると、発熱等、何らかの体調不良が起こる可能性はないのだろうか。ただ、その副作用があったとしても一過性だろう。将来、これが普及すると、高齢者の医療費削減に大きく貢献するかもしれない。面白い。