今年も終わりですね。

今年もあと３日になりました。今年は、私にとって４月以降、ずっと１２月の様に師走でした（笑）。先週末に、D4のYukarinも博士論文の提出をしました。今年の年末年始は、締め切り間近の原稿や研究費申請をやりつつ、日向と椎葉を訪ねます。特に４日は椎葉村成人式で講演を頼まれました。故郷への恩返しと思っています。また、７日には、以下の様に国際シンポジウムを開催します。来年、１月からももう師走です。後進のために何かを残していくために頑張ります。

　本年、フィリピン大学ロスバニョス校との交流協定を締結したのを受け、薬学と獣医学の領域の融合という観点から、新たな国際連携研究教育を立ち上げる為のキックオフシンポジウムであります。本シンポジウムでは、生命資源研究・支援センターの国際的なマウスバンクや種々の研究支援活動などについても紹介いたします。本シンポジウムを機に、さくらサイエンス事業の一環として、東南アジアの獣医研究者あるいは学生を招聘し、熊本大学での短期実習などを行い、「スーパーグローバル大学創成」の留学生増に貢献できればとも考えております。ご興味のある方々に、広くご参加頂けましたら幸いです。

　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　記

【　日時　】　平成２８年１月７日（木）　１２：３０～

【　場所　】　薬学部大江総合研究棟　２F　多目的ホール　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　　

 

Jan 7 (Thu)

12:00-12:30　Reception

12:30      Opening remarks

                Hirofumi Kai (Kumamoto University, Japan)

                Shinji Harada (President, Kumamoto University, Japan)

Session I : Research and Education on Pharmaceutical and Veterinary Sciences in Asia

12:40      Thiravat Hemachudha, MD, FACP   (Chulalongkorn University Hospital, Thailand)

                How to maximise the benefit of One Health: view from different angle

13:05      Maria Catalina T. de Luna, BS, DVM, MAgrSc  (University of the Philippines Los Banos, Philippines)

                College of Veterinary Medicine, UPLB: Education and Service to the Nation

13:30      Loinda Rugay Baldrias, DVM, MVS, PhD   (University of the Philippines Los Banos, Philippines)

                Antimicrobial Usage in Animal Production and Antimicrobial Resistance

13:55      Mary Elizabeth G. Miranda, DVM  (Research Institute for Tropical Medicine, Philippines)

　　　　　Public-private partnership and good governance for sustainable rabies control programmes.

14:20-14:35          Coffee Break

Session II : Research and Education on Pharmaceutical and Veterinary Sciences in Japan

14:35     Shogo Misumi, PhD　(Kumamoto University, Japan)

                Nonhuman Primate Models for HIV/AIDS Vaccine Development

15:00     Masahiko Kato, DVM, PhD　(Kyushu University of Health and Welfare, Japan)

                The measures against the zoonoses in Japan

15:25     Yoshiharu Okamoto, DVM, PhD 　(Tottori University, Japan)

　　　　　Photo Induced Immunotherapy by Indocyanine Green Modified Liposome:Principle and Application to Clinical Medicine

15:50-16:05          Coffee Break

Session III : Bioresource Technologies in Kumamoto University

16:05      Toru Takeo, PhD 　(CARD, Kumamoto University, Japan)

                CARD method leads a global network of mouse repositories

16:30     Kimi Araki, PhD 　(CARD, Kumamoto University, Japan)

                Genome Engineering of mice; Transgenic, Knock-out and Genome Editing

16:55     Masatake Araki, PhD 　(GTC, Kumamoto University, Japan)

                Database for the Exchangeable Gene Trap Clones (EGTC)

17:20      Closing remarks

                Hirofumi Kai　(Kumamoto Univ., Japan)

第２回薬草キャラバン in 南小国

本日は朝から南小国町で、熊本大学COCの一環として、薬草キャラバンが薬学部主催で開催された。午前10時から山野の散策による薬草、有用植物観察会を2時間、昼に、薬膳料理やハーブティを味わい、その後、渡邉教授の講演等、一般の方々（九州各地から参加）約20名と熊薬の学生10名くらいを対象に実施された。

大学発ベンチャービジネスコンテスト

朗報です。

本日、熊薬の今福君(B6)が代表として提案したビジネスプランが、福岡市で開催された第15回大学発ベンチャー•ビジネスプランコンテストにおいて、グランプリに次ぐ、第２席の九州経済産業局長賞を受賞し、グランプリ者と共に、九州の代表として、東京で開かれるキャンパスベンチャーグランプリ全国大会に参加する権利を得ました。本コンテストは、九州各地の大学等から、57のビジネスプランの応募の中から第一次書類審査、第２次プレゼンテーション審査を経た7プランの争いでした。今福君が落ち着いたプレゼン、質疑を堂々とこなしました。大変誇りに思いました。今福君は国家試験もクリアし、東京での全国大会にも頑張るとのことです。新聞各社来ており、熊日など種々の新聞にも載るでしょう。ベンチャーキャピタルも大変興味を持っていました。富永さんと共に受賞を受けました。

 

実際に、大学発ベンチャーとして動かすことができれば、熊薬としても素晴らしい実績になると思います。

 

 

ASCB2015

12日土曜日に福岡ーインチョンーロスアンジェルスーサンディエゴのルートでASCBに参加した。ロスアンジェルスで、うっかり居眠りし、1便遅い便になってしまったが（空席待ちでギリセーフ）、無事、plenary lectureに間に合い、参加することができた。先にサンフランシスコ経由でサンディエゴ入りした組と合流し、かつ、アトランタ組とも合流し、Welcome receptionにて食事をし、ホテルの部屋でdiscussionでした。13日の日曜日の朝から学会会場に向かい、恒例の全ポスターを見て回り、シンポジウムに参加し、今年のサイエンスの動向や進展を肌で感じた。月曜日全日、火曜日の午前まで、しっかり感じることができた。火曜日の昼から、帰る準備をし、サンディエゴの海岸沿いを1時間強🏃、シャワー後、夕方の便で、ロスアンジェルスへ、そして、深夜便でインチョンに向かい、17日の朝に到着し、福岡には、午前11時、そして、新幹線で熊本へと帰還できた。午後からは、いつもの会議や書類の決済で、。。

メッセージ

今、熊本がある話題で全国ニュースや新聞に大きく取り上げられている。根本は、企業倫理という問題だろう。ただ、この企業のおかげで、多くの人が救われてきたことも事実。大学も、自治体も、銀行もその企業による多大な恩恵を受けてきたのも事実。今、その企業にとって一番辛い時期であるのは疑いもない事実。しかし、敢えて、今回の隠された問題は何も知らず、苦しむ患者を救うためにというプライドを持って一生懸命頑張ってきた、そして、今なお頑張っている、多くの研究員、社員、仲間たちに心からエールを送りたい。マツダやアップル社もかなり大変な時期があった。それでも、底辺から再興していき、今、新たな社会貢献をしている。その再興のためには、トップからの、社員一致団結して頑張ろうという熱いメッセージがいかに重要であるかを教えてくれている。アップル社の場合は、瀕死の状態にジョブスが帰ってきて、最初にやったことはアップル社が何をすべき会社なのか、Think Differentを社員に伝え、再興していった。マツダは、社員向きビデオであるブランドエッセンスビデオ/ Mazda Brand Essence Moviesや開発スピリットビデオ（「アベレージの車を作る事はできる。世界一の車を作るとなると全然考え方を変えないといけない」）でもって、トップからのメッセージが、残ってくれた社員に伝えられたという。我々の会社は何のためにあるのかをもう一度問い直し、社員が一致団結していくことしかない。重要な社会貢献をする企業として。

 

「Change or Die」というのは、長期の経営方針として重要であるという。大学経営もそうかもしれない。

アドラーの心理学

嫌われる勇気。勇気の心理学。これまでの私の源はこれだったのだと気付かされた。共感した。

「アドラー心理学の特徴は、「すべての悩みは対人関係の悩みである」とした上で、フロイト的な原因論を根底から覆す「目的論」の立場をとるところにある。たとえば、「子どものころに虐待を受けたから、社会でうまくやっていけない」と考えるのがフロイト的な原因論であるのに対し、アドラー的な目的論では「社会に出て他者と関係を築きたくないから、子どものころに虐待を受けた記憶を持ち出す」と考える。つまりアドラーによれば、人は過去の「原因」によって突き動かされるのではなく、いまの「目的」に沿って生きている。こうしてトラウマを否定するアドラーは、人生（生き方）とはいつでも選択可能なものであり、過去にどんなつらいことがあったとしても、これからどう生きるかには関係がない、と唱えた。人は変われないのではなく、ただ「変わらない」という決心を下しているに過ぎない。いま幸せを実感できない人に足りないのは、能力でもないし、お金でもないし、恵まれた環境でもない。変わること（幸せになること）に伴う「勇気」が足りないのだ。」（オフィシャルウェブサイトより）

がん治療薬としてのFAK阻害薬

Cell 9月号から。B3のTaiseiのプレゼン。がんが効率よく免疫排除できればよいのだが、がんには免疫回避機構が存在していることは良く知られている。今回の論文は、FAKが発現しているがん細胞において、核内に移行したFAKがサイトカインCcl5の発現を上げ、ccl5がTregを誘引し、細胞性免疫の攻撃を抑制していることを明確に示している。マウスを用いた実験であるが、正常な免疫機能が維持されている状態で、FAK阻害薬の顕著な有効性も明確に示されている。正常細胞では、FAKは核へ移行していないことから、FAKの核移行はがん組織特異的な現象であるという。これまで、FAK阻害薬の使い方が変わるかもしれない論文かもしれない。

T-ALLに対するNotch1阻害薬の抵抗性のメカニズム

Nature Med. 10月号から。B3のMisakiちゃんのプレゼン。T-ALL (T cell acute lymphoblastic leukemia) という白血病において、NOTCH1の活性化変異はよく見られる（60％以上）。したがって、Notch１の阻害薬（γセクレターゼ阻害薬）が有効と考えられるが、臨床試験においていい結果は得られていないという。本論文においては、Notch1阻害により、グルタミナーゼの発現を増加させ、グルタミンの分解による代謝亢進が治療抵抗性のメカニズムという。したがって、Notch1阻害薬とグルタミナーゼ阻害薬を併用すると相乗的な抗がん効果が認められたという。しかし、もし、PTEN（脱リン酸化酵素）というがん抑制遺伝子が欠失していると、その併用効果が全く認められず、そのメカニズムとしては、PTEN lossによる解糖系の亢進という別経路により抵抗性が生じるという。ということは、T-ALLの20%でPTEN 変異が認められているため、その場合には、上記の併用効果は無効の可能性がある。

GATA4依存性（p53非依存性）の細胞老化とSASP

Scienceの9月号から。B3のKojiharuのプレゼン。細胞老化とは、細胞に不可逆的な細胞周期の停止が起こる現象をいう。細胞老化と個体老化および加齢に伴う疾患との関連性については様々な研究がなされている。高齢者の特徴として、低レベルの不稔性慢性炎症状態があり、それが老年病発症の一因と言われている。高レベルの放射線照射によりDNA損傷がおこると細胞老化が促進される。その際、細胞周期が停止し、p53依存性にアポトーシスが起こる。老化した細胞は、細胞周期を停止しているだけでなく、炎症性サイトカイン、細胞増殖因子、MMPなどの種々の生理活性因子を分泌し、この現象はSASP (Senescense-associated secretory phenotype)と呼ばれている。このSASPの制御にはp53が重要であり、p53はSASP発現に抑制的に働くと報告されている。一方、SASPはp53非依存的であるという報告もなされてきており、他の因子が存在するのではと考えられていた。本論文では、GATA4という転写因子がTRAF3IP2とIL-1Aを介してNFkBを活性化し、SASPを誘導すること、GATA4は老化に伴い、マウスやヒト脳で増加すること、その増加は、mRNAレベルではなく、p62によるGATA4選択的オードファジー経路による分解抑制によるタンパク質レベルの増加であることが明らかにされた。DNAの損傷により、オードファジー経路の抑制が起こるメカニズムはわかっていない。今後が楽しみな展開である。ナイスプレゼンでした。

 

 

1周忌

ラガーのマスターの一周忌。出張等のために命日には行けなかったため、5日の土曜日にロードバイクで墓参り。実家で線香あげて、墓へ。来れない熊薬OBのために🙏

墓の側に可憐な花が。