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2015年12 月 8日 (火)

T-ALLに対するNotch1阻害薬の抵抗性のメカニズム

T-ALLに対するNotch1阻害薬の抵抗性のメカニズム

Nature Med. 10月号から。B3のMisakiちゃんのプレゼン。T-ALL (T cell acute lymphoblastic leukemia) という白血病において、NOTCH1の活性化変異はよく見られる(60%以上)。したがって、Notch1の阻害薬(γセクレターゼ阻害薬)が有効と考えられるが、臨床試験においていい結果は得られていないという。本論文においては、Notch1阻害により、グルタミナーゼの発現を増加させ、グルタミンの分解による代謝亢進が治療抵抗性のメカニズムという。したがって、Notch1阻害薬とグルタミナーゼ阻害薬を併用すると相乗的な抗がん効果が認められたという。しかし、もし、PTEN(脱リン酸化酵素)というがん抑制遺伝子が欠失していると、その併用効果が全く認められず、そのメカニズムとしては、PTEN lossによる解糖系の亢進という別経路により抵抗性が生じるという。ということは、T-ALLの20%でPTEN 変異が認められているため、その場合には、上記の併用効果は無効の可能性がある。

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