2015年12 月 7日 (月)
GATA4依存性(p53非依存性)の細胞老化とSASPGATA4依存性(p53非依存性)の細胞老化とSASP
Scienceの9月号から。B3のKojiharuのプレゼン。細胞老化とは、細胞に不可逆的な細胞周期の停止が起こる現象をいう。細胞老化と個体老化および加齢に伴う疾患との関連性については様々な研究がなされている。高齢者の特徴として、低レベルの不稔性慢性炎症状態があり、それが老年病発症の一因と言われている。高レベルの放射線照射によりDNA損傷がおこると細胞老化が促進される。その際、細胞周期が停止し、p53依存性にアポトーシスが起こる。老化した細胞は、細胞周期を停止しているだけでなく、炎症性サイトカイン、細胞増殖因子、MMPなどの種々の生理活性因子を分泌し、この現象はSASP (Senescense-associated secretory phenotype)と呼ばれている。このSASPの制御にはp53が重要であり、p53はSASP発現に抑制的に働くと報告されている。一方、SASPはp53非依存的であるという報告もなされてきており、他の因子が存在するのではと考えられていた。本論文では、GATA4という転写因子がTRAF3IP2とIL-1Aを介してNFkBを活性化し、SASPを誘導すること、GATA4は老化に伴い、マウスやヒト脳で増加すること、その増加は、mRNAレベルではなく、p62によるGATA4選択的オードファジー経路による分解抑制によるタンパク質レベルの増加であることが明らかにされた。DNAの損傷により、オードファジー経路の抑制が起こるメカニズムはわかっていない。今後が楽しみな展開である。ナイスプレゼンでした。