2019年6 月18日 (火)
脳の加齢化を抑制するメカ(マウス編!?)脳の加齢化を抑制するメカ(マウス編!?)
Nature 4月号から。Shotaのプレゼン。Mariの座長。脳内の掃除役であるミクログリアは加齢に伴い、機能が低下することが報告されていた。これは、アルツハイマーを含む神経変性疾患の原因ともされている。本論文では、in vitro と in vivoのRNA seq解析により、CD22という、ミクログリアのファゴサイトーシスを抑制する分子を同定し、この分子が加齢とともに増加することが問題であることが示された。さらに、CD22抗体の脳室内投与により、加齢による機能低下、アルツハイマーやパーキンソン病のモデルマウスの機能低下を抑制ることも明らかにした。しかしながら、Shotaが他の関連論文を調べた結果、マウスでは、CD22はミクログリアが主な発現細胞であり、ヒトでは、オリゴデンドロサイトが主な発現細胞であるという過去の報告もあることから、この論文の成果はマウスにおける現象かもしれないという。
面白いことに、MRI拡散テンソル画像(DTI)という新しい脳イメージング法により、アルツハイマー型認知症の脳では、白質の異常やミエリン(オリゴデンドロサイトによる形成される)が著しく減少しているという「ミエリン仮説」が注目されているという。オリゴデンドロサイトにおけるCD22の役割はどうだろうか。
CD22のリガンドはシアル酸であることも面白い。