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2019年1 月 7日 (月)

2型糖尿病において、腸内細菌により産生されるイミダゾールプロピオン酸

2型糖尿病において、腸内細菌により産生されるイミダゾールプロピオン酸

Cell 11月号から。B3 Aoiのプレゼン。2型糖尿病と腸内細菌との関連については多くの報告がなされてきているが、今回の論文は腹腔鏡下の手術の機会を利用して、門脈血のメタボローム解析を行い、腸内細菌が関与して生成されたイミダゾールプロピオン酸がインスリン抵抗性を明らかにしているという新しい知見である。イミダゾールプロピオン酸は、p38 MAPKを直接作用し、自己リン酸化させ、p62-mTORC1-S6K1を介して、IRSを分解を促し、インスリン受容体からのシグナルを抑制するという。全身血でなく、門脈血なので、血液を用いたバイオマーカーにすることは難しいが、便にヒスチジンを添加して、ウロカニン酸を介して、腸内細菌中のウロカニン酸レダクターゼにより産生されるイミダゾールプロピオン酸を測定することはできる。よって、たとえば、食事療法の有効性を早期に評価する方法として、便を活用したイミダゾールプロピオン酸の測定は有用かもしれない。また、門脈血のみに変化が見られる理由は、イミダゾールプロピオン酸が肝臓に作用したのち、初回通過効果を受けているのかもしれない。肝臓は、インスリン抵抗性において重要な組織であるので、そこに作用するだけで、2型糖尿病の誘因にはなりうる。さらに、p38MAPKの阻害薬の中に、イミダゾールプロピオン酸に類似した構造を有するものがあり、そのターゲットアミノ酸も明らかになっていることから、イミダゾールプロピオン酸による自己リン酸化誘発のメカニズムも明らかにできるかもしれない。意義のある研究である。プレゼンも正確で、わかりやすかった。

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