PAGE TOP

2016年11 月17日 (木)

血管内皮における炎症とインテグリン

血管内皮における炎症とインテグリン

Nature Cell Biol.の9月号から。こじはるのプレゼン。アテローム性動脈硬化症における粥状傾向の血管では、ラミニンや4型コラーゲンなどではなくフィブロネクチンが沈着しており、インテグリンを介して内皮細胞に炎症シグナルを伝えているという。インテグリンはαとβ1であるが、α2の場合は、ラミニンや4型コラーゲンの結合を介して抗炎症性に、α5の場合は、フィブロネクチンの結合を介して炎症性に働くという。この論文では、そのメカニズムが明確になった。α5にはホスジエステラーゼPDE4D5が結合し、通常のPGI2の産生を介したcAMPーPKAによるNFkBの抑制という現象が、cAMPの分解により、この抑制が解除され、炎症増強に働くという。炎症時にα5にPDE4D5が結合するメカニズムについては、通常は、PDE4D5はErkによりリン酸化されていることで、α5に結合できないが、Erkが炎症時に未明のメカニズムより抑制されることにより、以上の現象が起こっているという。マウスモデルでもPDE4D5の発現を抑制することにより明確な効果が認められている。

ご意見メール
clear_both