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2016年4 月13日 (水)

母乳は重要。腸内細菌との関連から

母乳は重要。腸内細菌との関連から

Cell 2月号から。Maruちゃんのプレゼン。栄養失調による成長不良の子どもが世界には1億6000万人いるという。栄養補給治療も2歳以降での治療は効果が薄い。水の汚染も薬を服用するときに問題となっている。栄養失調の子どもは腸内細菌叢のバランスが崩れていることは知られていた。WHOは生後6ヶ月までは母乳のみで栄養を摂取することを推奨しているという。母乳には様々な生理活性物質が含まれていることが知られているが、その中でもフコースやシアル酸で修飾されたオリゴ糖(HMO:多くは吸収されず、善玉菌の生育を促す)が重要とされていたが、そのメカニズムは不明であった。本論文では、マラウイ人女性の母乳を解析し、健康な子どもを持つ母親の母乳にはHMOが多く含まれ、栄養失調の子どもの母親の母乳では少ないこと、マラウイ人の食事をまねた餌を与えたマウスを用いた実験において、シアル化オリゴ糖が体重増加や骨形成が促進されたこと、その際の腸内細菌層が大きく変化し、シアル化オリゴ糖の一次消費菌がB.frgilisで、二次消費菌がE.Coliであること、ただそのふたつ以外の菌も生育効果に必要であること、シアル化オリゴ糖により生育に必要なカルニチン等が増加し、同様な効果がブタを使った実験でも再現されたことを明らかにした大変重要な論文である。Scienceにも関連の興味深い論文が発表されている。離乳の年齢の世界平均は6歳という話がある。日本では早く離乳させた結果、アトピーを含む様々な疾患誘発と関係しているのだろう。日本でも戦前の頃に、小学6年まで母乳を飲んでいたという人の話を聴いたことがある。栄養状態が良い、あるいは腸内細菌叢が良い国や人々がシアル化オリゴ糖を接種しても意味があるかどうかは今後の検討が必要。

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