2013年10 月 8日 (火)
プリオン病とアルツハイマー病の共通の発症メカニズムプリオン病とアルツハイマー病の共通の発症メカニズム
Nature Med. 2013, 9月号から。Mocchnのプレゼン。PI3Kの下流分子PDK1の活性化がTACEの細胞内移行を促し、TACEの作用を抑制する。その結果、正常プリオンの分解が抑制され、異常プリオンの感染を増悪させるとともに、アミロイド前駆タンパク質のアミロイドβへの変化が促進される。アミロイドβはプリオン蛋白に相互作用し、PI3K-Src1-PDK1の経路を活性化し、さらに、症状を悪化させる。この論文では、PDK1阻害薬をin vitroおよび in vivoにおいて処置すると、プリオン病だけでなく、アルツハイマー病の症状を改善するということをクリアに示していた。アルツハイマー病の患者の脳においてもPKD1の関与が証明されていた。
News & Viewsにも取り上げられている。Alzheimer's and prion diseases: PDK1 at the crossroads
過去の報告を併せて考えると、プリオン病とアルツハイマー病の増悪において、共通の分子(PDK1)あるいは原因蛋白分子の相互作用が重要であることが証明されたという内容。面白い。PDK1の阻害薬は本当に薬として成り立つのかがポイント。抗がん薬として可能性を示唆する論文は色々と出てきている。糖尿病などの副作用が問題になるか!?うまくいけば、1つの薬でプリオン病もアルツハイマー病も治療する素晴らしい話。