2013年10 月23日 (水)
パーキンの新たな役割ーA table for twoパーキンの新たな役割ーA table for two
Nature 9月号から。Chosa君の紹介。パーキンはパーキンソン病の原因遺伝子として有名であり、また、タンパク質をユビキチン化するE3 ligaseとしても知られている。ミトコンドリアが進化の過程で真核細胞に共生体として入り込んだバクテリアであるということ、機能不全に陥ったミトコンドリアは、細胞にとって非自己となり、Mitophagyというオートファジーの機構により分解されること、さらに、この分解機構にはPINK1とperkinが関わることは知られていた。今回の論文では、機能不全に陥ったミトコンドリアを除去する機構と同様に、病原性のバクテリアをマクロファージが除去する機構においてもPerkinが重要であることが細胞、マウス、ショウジョウバエの実験系で証明された。Perkinが病原菌に対する感染抵抗性をもたらすことが明らかにされたということになるが、ポイントは、進化上、別系統に属する生物においてもPerkinの免疫(感染防御)機能が保存されていることが明らかになったことであろう。また、以前の研究で、Perkinのpolymorphismと細菌に対する易感染性に関連性があること、および、パーキンソン病の患者がライ病などに罹りやすいことなどの裏付けが取れたらしい。News & Viewsに本論文がA table for twoというタイトルで紹介されていた。大学の生協でも出されるA table for twoのランチは、それを食べることによって売り上げの一部は貧しい国の子供たちの1食分になるという支援事業であるが、この研究成果では、twoが機能不全に陥ったミトコンドリアと病原菌を指し、A tableがPerkinによる分解機構を指しているが、これがautophagy(貪食機構)という観点からA table for twoという言葉が素晴らしくマッチしている。日頃からA table for twoを常に意識して支援している研究者でない限り、このような発想は出てこない。Natureらしい。素晴らしい。