2013年6 月25日 (火)
臓器移植後の拒絶反応の軽減や自己免疫疾患に朗報か!?臓器移植後の拒絶反応の軽減や自己免疫疾患に朗報か!?
Nature Med. 6月号から。Okita君のプレゼン。免疫の誘導と抑制のバランスが重要。近年、免疫寛容を目的として、制御性T細胞 (Tr)を用いた細胞療法が臓器移植後の拒絶反応を抑制するため、さらにも自己免疫疾患を抑制するために注目を集めている。今回の論文は、今まで重要であるということはわかっていたけれど、細胞表面マーカーが同定されていないために、単離できずに活用できなかったT regulatory type 1 cell (Tr1)の表面マーカーが明らかにされ,そして、臨床応用できるレベルになるのではという話。結論は、CD49bとLAG-3の共発現がTr1の特異的なマーカーになるということである。純度高く単離されたTr1は、末梢で成熟し、抑制性のサイトカインであるIL-10の産生能が高く、免疫抑制作用(エフェクターT細胞の抑制)がより強力であることがわかった。サラセミアの患者(地中海貧血)に骨髄移植した症例で末梢血中のTr1が臨床的なマーカーとして応用可能であることも示されている。今後、Tr1に関する研究がさらに推進されるとともに、Tr1細胞を用いた細胞療法が期待できるかもしれない。胸腺が年齢と共に萎縮していくことで、自己免疫疾患が起こりやすいか、起こりにくいかの個人差を決めているのが、末梢で成熟するTr1かもしれないと考えると面白い。