2013年6 月12日 (水)
腹八分がアルツハイマー進展を抑制するメカ!?腹八分がアルツハイマー進展を抑制するメカ!?
Cell Metabolism 5月号から。Yukiちゃんのプレゼン。アルツハイマー型認知症において、アミロイドβの産生に関わる酵素のβセクレターゼ (BACE1)の発現量は、症状の進展あるいは治療という観点から重要である。今回の論文は、カロリー制限によって、BACE1の発現量が抑制され、アミロイドβの産生を抑制することがわかった。そのシグナル経路には、SIRT1-PPARγ−PGC1が関与していることが示された。また、ロシグリタゾンというPPARγアゴニストでは影響がないため、リガンド非依存的なメカニズムという。面白いのは、今まではCoactivatorであるPGC-1が、今回は、PPARγと協調してrepressorとして働くという点。
今まで、BACE1欠損マウスでは、アミロイドの沈着が減少する報告、アルツハイマー型認知症患者の脳において、BACE1の発現上昇がアミロイドβの産生やアミロイドの沈着を亢進するという報告はされていた。また、カロリー制限がSIRT1-PPARγ−PGC1経路を活性化することも報告されていた。今回の論文は、これらの過去の知見を結びつけたという点で意味がある。アルツハイマー型認知症だけでなく、様々な生活習慣病の予防は、カロリー制限食や適度な運動等、いわゆる”生活習慣薬”が一番なのだろう。「食い放題、飲み放題」というビジネス戦略は病因ともなり、これを禁止すると、病気の予防に繋がり、保険財政を救うことになるだろう。ただ、「飲み放題や食い放題」は、現代社会においては、ストレス解消の方法のひとつにもなっているのだろう。食事で精神的な満足感を感じさせることで、ストレスを打ち消しているのだろう。「ストレス」ー「食べまくる」ー「生活習慣病」という負のロードではなく、「ストレス」ー「運動(仕事)して汗を流す」ー「健康の維持」という術が健康寿命延長に繋がるのは言うまでもない。