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2013年6 月16日 (日)

第8回トランスポーター研究会年会シンポジウム4

第8回トランスポーター研究会年会シンポジウム4

シンポジウム4 チャネル・トランスポーター研究の最前線2

 1)沖米田先生(関西学院大学):嚢胞性線維症の薬物療法を目指したCFTRコレクターの分類と相乗効果

 カナダのマギル大学から帰国して、4月から関西学院大学にて独立ラボを持った、OBの沖米田先生。学生の頃から一貫してCFの研究をやってきた。今回の発表内容は、CellやScienceやNature Chem.Biol.などに掲載されたCFTRコレクターに関する最先端の研究。タンパク質の構造から不安定化機構を明らかにし、そのサイトをターゲットにした薬剤のスクリーニングを行い、いくつかのリード化合物を見いだしたという内容。緻密なストラテジーでクリアな結果である。

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 2)紺谷先生(東京大学):リソソームへの物質輸送に介在する低分子Gタンパク質ARL8

 リソソームは多数の加水分解酵素に富み、様々な物質の分解を担う膜オルガネラである。リソソームは他の膜オルガネラと融合し、正常な物質分解に関わる。本発表では、低分子量Gタンパク質ARL8がHOPS complex(6量体の構成因子のうちVps41)との相互作用を介して、リソソームと後期エンドソームやファゴソームの融合を制御していることを示した。ARL8は多細胞生物間で高度に保存されている。ARL8の欠損変異株(線虫)を用いたクリアな結果。

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 3)中山先生(東京学芸大学):細胞内オルガネラ膜で働き機械受容チャネル

 機械的刺激を生体が認識する時に関わるセンサー分子を機械受容チャネルという。大腸菌が低浸透圧ショックを受けると、MscSは細胞破裂を防ぐために開口して、生存させる。本発表では分裂酵母(真核生物)のMscSホモログ(Msy1とMsy2)は細胞内オルガネラ上で物理的な力を感知する分子として働いていることを示し、その受容機構を提起した。分裂酵母に低浸透圧刺激を与えると、細胞の膨張時に一過性に細胞内のCaイオンの上昇が認められるが、Msyの変異はその上昇が増強されるという。Msyの細胞内局在は小胞体であり、Msy1は核周囲に存在する小胞体内にCaを取り込むという。一方、細胞膜直下の小胞体にあるMsy2は細胞質内へのCaの排出を促すという。

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 4)小山先生(東京大学):NKCC1の抑制によるてんかん発症の阻止

 側頭葉てんかんによって誘導される神経回路の形成異常を時空間的に解析し、その治療ターゲット分子を示した研究。熱性けいれんの動物モデルにおいて異所性顆粒細胞が出現することを明らかにし、海馬切片培養を用いたタイムラプスによる顆粒細胞の移動の評価系を確立。どのような分子が関わるのか検討したところ、新生仔期の熱性痙攣によりGABAa受容体の発現量が上昇し、GABAの興奮作用を調節するNa-K-2CT共輸送体(NKCC1)が関わり、これをブロックする(ブメタニドの投与等)と熱性痙攣が抑制されることを明らかにした。発表の最後に話された今後の展開も面白い。Nature Med.2012に掲載された内容

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